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JTCO日本伝統文化振興機構
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江戸情緒を伝える心地よい揺らぎ~和船友の会(2)

インタビューレポート(2)
いよいよ乗船!~ヴァーチャルリアリティによる「いまここで乗る和船」

※前号はこちら
全ての人に和船体験を~和船友の会の活動

さて、インタビューも終わり、いよいよ乗船体験です。救命胴衣を身に着け、桟橋からいざ乗船です。

和船には、今でもその名が残る「屋形船」など、用途に合わせたさまざまな種類があります。和船友の会では、下記の4種類の船を管理しています。

網船(あみぶね):
投網(とあみ)漁に使われた船で、敷板(すいた)を外すと「いけす」になっています。


網船の「ゆりかもめ」。全長は9.11m。お隣のボートを漕ぐのは女性の船頭さん。


網船の敷板(すいた)を外したところ。かなりの量の魚を収納できそうだ。

猪牙船(ちょきぶね):
舟の先方が尖った、比較的小型で軽量の船足の速い船です。かつてはタクシーのように、浅草の吉原通いなどに盛んに使われました。
※和船の速度は、通常2ノット程度(およそ3.6km/h)


猪牙船の「どりーん」。尖った船首が特徴。

伝馬船(てんません):
大型船で運んできた荷物を小分けして陸に運ぶ、いわゆる「艀(はしけ)と呼ばれる船です。特徴は、船底が平らで安定性はありますが、速度はあまり速くありません。


伝馬船の「はくちょう」。船首・船尾が平らになっている。

荷足船(にたりぶね):
もともと荷物を運搬するための船なので、1トンくらいの積載に耐えられます。かつては釣り客を乗せて河口まで出て漁をするのにも使われました。


和船友の会で管理している和船。

船の推進力となる「へ」の字型の櫓は船に固定はされておらず、船尾についた突起(櫓杭:ろぐい)を、櫓側にある凹部(入子:いれこ)にさしこんで、体重を上手く掛けて、押し引きの動作を繰り返します。腕力が要るかと思いきや、意外にも女性や子どもでも上手く漕げるそうです。ただ、風の影響を受けやすいので、風の強い日は注意が必要とのことでした。


櫓は固定されておらず、船尾についた突起(櫓杭:ろぐい)を櫓側の凹部(入子:いれこ)に差し込んで漕ぐ(赤丸部分)。


5~6メートルくらいはあると思われる和船の櫓。手前の突起(櫓柄:ろづか、赤丸部分)を左手で掴んで漕ぐ。

今回乗せていただいたのは、網船の「かるがも」と「ゆりかもめ」です。乗船だけでなく、船頭さんの指導のもと、実際に櫓漕ぎを体験することもできます。記者は挑戦しませんでしたが、同乗した中学生の方は、足を前後に開いて体重を交互に移す独特の漕ぎ方をすぐに習得されていました。


誰でも船頭さんと一緒に櫓漕ぎ体験ができる


夏休み期間中、「子ども体験教室」が開催される。参加すると、写真の「櫓漕ぎ体験証」が発行される
※2017年は、7月23日(日)~8月最後の日曜日まで。詳しくは、和船友の会 公式HPを参照。

Youtubeに360°カメラで乗船中の風景を撮影した映像がアップされています。ぜひ皆さんも、PCやスマートフォンのYoutubeアプリで和船乗船をお試しください。
※スマートフォンの場合、VR用のゴーグルやカードボードが必要になります。




VRでは、臨場感あふれる体験をしていただけますが、木の香り、水の音、独特の揺らぎなどは実際に乗船していただかなければ感じることができません。百聞は一体験に如かず。ぜひ皆さんも、乗船日をご確認の上、船上から江戸情緒を体験してみてください。

▼関連リンク
和船友の会 公式HP

開成中学校の生徒さんによる和船体験イベントの記事はこちらから:
「VRで体験する江戸情緒~今ここで乗る和船」