NPO法人日本伝統文NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
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JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization

設立趣旨書

1. 趣旨

私たち日本人の価値観や風俗習慣は、明治維新から百数十年を経て、それ以前のものとは大きく変容してきました。しかしながら、有史以来それまでの千数百年間に培われた日本古来の文化は、現代においても日本人の精神的な礎となり、行動様式から生産物に至るまで、私たち一人一人の個人としてのあり方、またその集合体としての社会のあり方を形づくっているものです。

広義の日本文化が、日本人の国民性を形づくる思想や感性だとすれば、目に見える形を持った美術工芸品、芸能、文学作品などはその発露としての狭義の日本文化、また祭祀や礼法、年中行事などは、その中間に位置するものと言えるでしょう。広義の日本文化は、いかに生活が欧米化したとはいえ、これからも根こそぎ消滅することはないと思われますが、狭義およびその中間に位置する文化は、私たち一人一人が意識を持って守り育て、後世に伝承しなければ、いずれは消滅していってしまうものです。事実、近年の急激なライフスタイルの変容や人口動態の変化により、伝承者の減少や市場の縮小など、伝統文化や伝統産業を取り巻く社会経済環境は年々厳しさを増しています。

そもそも文化とは、それぞれの時代の世相や人々の価値観の変容によって、形が変わったり消えたりするものであることは事実です。しかしながら、私たち日本人を形づくってきたその礎を喪っていくことは、私たちのアイデンティティそのものを消滅させてしまうことにつながります。近年では、国内でも日本の伝統文化の素晴らしさを見直す動きが少しずつ盛り上がりを見せており、それ自体が持つ経済的な価値も認識され始めていますが、ファッションや観光・娯楽産業の領域に限られていることが多く、真に文化のもつ意味を理解し、生活の中に取り入れ、継承するには至っていないのが実情です。

日本伝統文化振興機構(以下、当機構)は、日本社会の礎となってきた伝統文化や、限りない美と機能性を生み出してきた伝統技術が、日本人はもとより世界中の人々にとって文化的、社会的、経済的に非常に大きな価値をもつものと認識しています。当機構の設立趣意は、これらを文献や博物館の資料、もしくは一部の人々のたしなみとして保存継承していくのではなく、できるだけ多くの人の考え方や行動様式、および生活に根ざしたものとして普及発展させていくために、非営利の民間組織として以下のような活動を行おうとするものです。

  • 日本の伝統文化・伝統産業・文化遺産に関する情報の収集、および国内外への発信
  • 日本の伝統文化・伝統産業の後継者の募集・育成、関係者間の交流、および商品やサービスの企画・販促を目的とした伝統文化・伝統産業振興のための諸活動
  • 上記を組み合わせた地域経済の振興

    なお、当機構で扱う日本文化とは、NPO設立後1~2年は下記(ア)の領域を中心とし、その後(イ)の領域に順次広げていきます。

(ア) 日本全国の伝統/美術工芸品、郷土の民俗文化・史跡・名勝など

(イ) 日本の有形・無形文化財(建築、造園、芸能、武芸、文芸、華道、茶道、香道などの伝統芸術一般)

2. 申請に至るまでの経緯

当機構の役員は、株式会社ぴこねっとの協力のもとに、日本各地に伝わる郷土文化の認知向上と活性化を目的として、2000年にウェブサイト「日本ねっ島(※1)」を立ち上げ、以来、郷土の祭りや伝統工芸品、郷土料理などの情報をインターネット上で発信してきました。このサイトには、全国の市民から居住している地域の郷土文化に関する情報が日々寄せられており、それまで他の地域では知られることの少なかった地方独自の文化の認知向上に役立っています。

「日本ねっ島」で発信される情報は、学校の総合学習の副教材として利用されたり、地方新聞などのメディアで紹介されたりした実績があります。また2007年の農林水産省による「日本の郷土料理100選」の企画では、このサイトの「全国の郷土料理(※2)」の内容が評価され、選考のための参考サイトとして採り上げられました。

このように、これまで当機構はその前身となる活動を営利企業の協力を得ながら行ってきましたが、後継者の数、および市場規模が先細る傾向にある伝統文化・伝統産業の振興という活動の性質から、営利を目的とすることのみが事業の継続や発展に寄与するものではないと判断いたしました。当機構が予定している活動には、伝統文化がより多くの人々の関心を集め、これに関連する産業が継続発展していくための広報や市場形成も含まれます。しかしながら、これは特定の団体や企業にのみ便宜を図ることで達成しようとするものではなく、啓発活動を通して広く一般の人々の伝統文化や伝統技術に対する認識を高め、その結果としてそれらが人々の日常生活の中に確実に根付いていくことを最終的な目的とする、極めて公共性の高いものになります。

以上のような理由から、当機構はこれまでの活動実績をもとに、前項の趣意に沿った諸活動を実行するべく、ここに特定非営利活動法人の設立を申請いたします。

平成21年5月22日

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構
東京都港区愛宕1丁目3番2号1401
理事長 小坂典子

(※1)「日本ねっ島」URL: http://www.piconet.co.jp/nippon-net/

(※2)「全国の郷土料理」URL: http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/index.html