NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
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JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization

【報告】JTCO交流会&伝統文化講演会

2010/05/22
【報告】JTCO交流会&伝統文化講演会

NPO法人日本伝統文化振興機構は、第1回目の会員交流会&講演会を行いました。 場 所  金沢工業大学大学院虎ノ門キャンパス 時 間  平成22年5月22日(土曜日)午後1時半から午後4時 講 師   香道研究家 伊達 晟聴 (だて・せいちょう) 【講師プロフィール】本名: 佐々木 渉 (ささき・わたる)。JTCO理事。関西学院大学文学部美学科卒業。写真家・広告企画・出版活動の後、平成7年香道の研鑚に入る。以後、香道研究家として活動中。 活動の様子は、下記の「活動報告」をご覧ください。



2010/05/28
活動報告

5月21日からの2週間余りは、暦の上では「小満」といわれ、草木が生長して花が咲き、動物たちの活動も活発になる時期です。


JTCO第1回会員交流会は、初夏らしく晴れた少し汗ばむ土曜の午後に、金沢工業大学虎ノ門キャンパスのセミナールームにて行われました。


初めての交流会ということで、参加者のみなさまに今後の活動の方向性をご理解いただくとともに、日本の伝統文化に対する興味を深め、気軽に楽しんでいただけたらと、講演あり、ゲームあり、プレゼントありとかなり欲張りな内容となりました。


3時間近くと、会合としてはかなりの長丁場となりましたが、全員の方に最後までお付き合いいただき、お帰りの際に笑顔で「また呼んでください」とのお言葉も頂戴し、楽しんでいただけたのでは、とスタッフ一同ほっとしております。お越しいただきましたみなさまには、重ねてお礼申し上げます。


また、今回ご参加いただいたみなさまへの記念品として、株式会社高木書房さまのご厚意により、日本画家・出雲井晶さん著の新刊『日本神話の心』をお持ち帰りいただきました。日本の国や日本人の原点についてみなさんにより興味をお持ちいただけることを願うとともに、初回の活動にぴったりなテーマの本をご提供いただいたことに感謝いたします。


以下、プログラムの概要となります。

1. 「これから創る日本の伝統」


JTCOメンバーの海外経験に基づき、日本人自身が気づいていない評価すべき日本人の資質や感性を基点として、当会の設立経緯をご説明いたしました。また、当会の2大テーマである、



  • 「伝統文化を身近に!」

  • 「伝統文化産業・地方経済の振興」


という方針、およびこれからの具体的な活動予定についてお話しいたしました。 また、仏ブランドエルメスや、革新的な商品開発で日本の伝統を活用している日本メーカーの事例を挙げて、「伝統とは継承ではなく創造である」という考え方をみなさんと共有しました。


歌舞伎が元は女性が始めたものであるように、伝統とは一人の人間の決意によって始まり、時代とともに形を変えていくものです。また、日本の陶芸や織物など、多くの伝統技術は大陸から伝えられ、日本人の解釈や改良とともに発展してきたものです。既存のものの素晴らしさを認め倣いながら、常に新しいものを創り出していける、そんな日本であることを願いつつ、みなさんのご理解ご協力のもと、活動していきたいと考えております。


2. 「日本人と日本文化について」


香道研究家、伊達晟聴(だて・せいちょう)先生より、日本人とは何か、日本文化とはどのように成立してきたのか、日本人がこれからも大切にしていくべき感性は何なのか、といった内容をお話しいただきました。実物の縄文土器や、シンプルでありながら表情豊かな和紙人形を登場させながら、もと大手代理店などと仕事をされていた広告カメラマンであったご自身が、どのように香の道に入られたのかなど、ご自身の体験を交えながら日本文化の多様性や奥深さを熱く語ってくださいました。現在私たちが「日本文化」と考えているものや、日本人の感性の根本にあるものの多くが室町幕府八代将軍足利義政の時代に成立したこと、また応仁の乱による京の破壊、貴族階層の地方移住が皮肉にも都の文化を日本中に伝播させたことなど、意外性のある史実も学ぶことができました。「日本の伝統を楽しむためには、それを味わう感性が必要」とは、喪われかけている私たちの季節や自然に対する感性や美しい生き方を、ふたたび呼び醒ますことへの現代日本人のミッションとして受け止めました。


3. 交流会:「アナタニモデキル!平成にわか歌人大会」


伊達先生の講演の中で、たくさんの和歌が紹介されたことを受け、みなさんも気軽に一句、ということで、お題に沿ったもの、または自由課題で参加者の方に歌を詠んでいただきました。短い時間だったにも関わらず、みなさんとてもよく情景の浮かぶ歌を詠んでいただき、楽しいひとときとなりました。


参加者のみなさまの許可を得て、下記にご紹介させていただきます。


■お題1: 「場違いな服を着たあなたに対し」 その服で私に恥をかかすのか君ひとり私をおいてどこにいく(TO 様) 君だけが身にまとう色違いける(KM 様) 発表会ピアノもかすむ晴れ姿(KO 様) ■お題2: 「5月の情景に対し」 五月雨顔をかしげるサツキかな鯉のぼりサニーベールの庭に揚げ(TR 様) 傘させど力士に小さき五月雨大空に放流されたる鯉のぼり(HS 様) ■自由題: 神前に額づくひととき居合道シャラノ葉にホホぶつけたり雨シタタル(SK 様) アマガエル三歩進んで一休み新幹線窓の外を富士が飛ぶ(及川理事) 講評をお願いした伊達先生も、みなさんの一句一句に感心されていました。

4. プレゼント抽選会


最後にサプライズとして、プレゼント当選者の発表を行いました。受付時にみなさんにお渡しした和紙折り紙のコースターがくじになっており、開いて印があった方に、浜文様さんの手ぬぐいを差し上げました。


手ぬぐいは手や体を拭くにも早く乾いて清潔ですし、ちょっとした包みや敷物などにも使える上に、柄も多様でファッションやインテリアにも活用できます。携帯電話など電子製品にも見られるように、ひとつで何度でもおいしい機能、用途を追及してしまう日本人の特性がよく表れている生活用品ですので、ぜひ日常で便利に使っていただきたいと思います。


以上、長くなりましたが第1回目の交流会活動報告となります。最後までお読みいただきありがとうございました。ご興味いただいた方は、ぜひ次の機会にご参加くださいませ。