NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
日本語 | English
JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization

【報告】第二回交流会&伝統文化講演会

2010/11/27
【報告】第二回交流会&伝統文化講演会

このイベントは終了いたしました。「活動報告」でイベントの様子をご覧いただけます。



2010/12/05
活動報告

去る11月27日(土)、金沢工業大学院虎ノ門キャンパスで、当機構の第2回講演会・交流会を実施いたしました。

JTCOは2009年に東京都による認証・登記を完了し、おかげさまで今年の10月で1周年を迎えました。今回は、伝統的工芸品産業に関する調査を中心としたこれまでの活動内容と、その中から考察した課題、およびその課題解決に向けたJTCOの今後の活動予定をお話いたしました。また、記念公演として、女性活弁士・麻生子八咫(あそう・こやた)さんをお迎えし、活弁の実演を織り交ぜて、これまでのキャリアや、今後の取り組みについてお話いただきました。

第一部:「日本の伝統工芸品産業の現地取材レポート」


今年7月に高知県の土佐和紙組合・企業さま、9月に東京で兵庫県の姫革細工企業の方、10月に岩手県の岩谷堂箪笥組合・企業さまにそれぞれお話を伺った内容をご報告しました。

いずれの伝統工芸品にも共通の課題として、

1) 生産に必要な原材料・もしくは加工に必要な道具や薬品などの調達が難しくなってきている。
2) 新しい販路の開拓が容易ではない。
3) 現代の生活に合った商品の提案に苦心している。

というものが挙げられます。姫革細工については、革製品ということで商品展開がしやすく、通信販売も行っているため、2)・3)については比較的
クリアしやすいのですが、現在県の伝統的工芸品として指定を受けているのが1社のみで生産規模が小さいため、やはり1)は今後も課題になっていくだろうということでした。2)・3)が解決されて市場が大きくなっていけば、それに伴い1)が解決されていく可能性は高くなると考えられます。

JTCOとしては、「よいものなのに知られていない、手に入りにくい」という状況をまず打開するために、認知度アップのための「伝統工芸品館」による工芸品の紹介や、オンラインショップ開設(2011年度)による販売機会の拡大を行っていく方向です。

また近い将来、新商品の企画開発や、伝統工芸・伝統技術の他分野転用(和紙製品・岩谷堂箪笥技術を活かした建材・インテリア商品など)のための業界調査なども行っていきたいという意向をお伝えしました。

第二部:「『21世紀を生き抜く 活弁士』~伝統とのはざまに」


ゲストスピーカー:
女性活弁士・麻生子八咫(あそう・こやた)さん
公式サイト: 麻生やた★子やた本舗
著書: 『映画ライブそれが人生』 麻生八咫・子八咫共著 (高木書房)

公演中の麻生八咫さんと子八咫さん
公演中の麻生八咫さんと子八咫さん


「活弁」=「活動写真弁士」の略で、映画が「活動写真」と呼ばれ、無声映画だったころに、一人の弁士が何役もの登場人物を演じたり、内容を語ったりする日本独特の話芸です。

現在活動する活弁士は10名ほどとのことで、話には聞いたことがあっても実演を見たことのある方は少ないのではないかと思います。麻生子八咫さんは、その中でも貴重な女性活弁士で、英語の活弁も行うことができ、アメリカ公演でも非常に好評を博しています。

子八咫さんは、師匠であるお父様(麻生八咫さん)の手ほどきを受け、わずか10歳で初舞台を踏みます。講演では、一人っ子で物静かだった子八咫さんが、活弁を通して自分を表現しつつ、人を楽しませることができるようになった経緯や、いま取り組んでいる子八咫さん用のオリジナル作品のことなど、活弁への熱い思いを語ってくださいました。

また、今回参加者へのプレゼントとして、「チャップリンの冒険(The Adventurer)」をまるまる一本実演をしてくださいました。参加者にとっては初めて観る活弁でしたが、子八咫さんの表情豊かな話芸は、チャップリン映画の面白さを最大限に引き出すのはもちろんのこと、活弁の魅力を伝えるに余りあるもので、非常に印象的な20分となりました。

近いところでは、2010年12月17日(金)19:00より、浅草リトルシアターで公演が行われますので、ぜひお出かけください。

また次回も皆さんに楽しんでいただける企画をしていきたいと思いますので、ぜひお気軽にご参加いただきたく存じます。