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JTCOメルマガ『風物使』

2012年01月24日 配信
 「金平糖に幸願う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒・大寒号

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 「金平糖に幸願う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒・大寒号
    vol.32 2012年01月24日発行(旧暦 01月02日・睦月)

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拝啓
全国的に、寒く雪の多い年の初めとなりましたが、皆さまいかがお過ごし
でしょうか。体を温める食べ物を選んで摂ったり、適度な運動をしたりし
て、寒さに負けず冬を楽しく過ごしましょう。


+‥‥+ 2012年小寒・大寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… キリスト教布教の手段だった?:『金平糖』
 ・季節の行事………… 神門神社師走祭り [宮崎県東臼杵郡美郷町] 
 ・JTCOからのお知らせ 岩谷堂箪笥訪問記事・伝統工芸新規掲載 
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【菓子】キリスト教布教の手段だった?:『金平糖』

「上戸には、ちんた、ぶだう酒、・・・下戸には、かすていら・ぼうる・か
るめひる・あるへい糖・こんぺい糖などをもてなし・・・」
(小瀬甫庵『太閤記』)

(訳:酒好きの者には赤ぶどう酒、ぶどう酒・・・酒を飲めない者には、カ
ステラ、ボウロ、カルメ焼き(?)、アルヘイトウ、コンペイトウなどを振
る舞い・・・)

本年も多くの方々が新年の初詣にお出かけになったことと思います。神社に
お参りされた方の中には、神饌として「コンペイトウ」をお受けになった
方々もいらっしゃるのではと思います。コンペイトウは、神饌のほか、皇族
のご婚礼の引き出物としても贈られるおめでたいお菓子とされています。も
ともと、カステラやボウロと並ぶ「南蛮菓子」とされていたコンペイトウが、
深く日本人の生活に取り入れられるようになったのには、どのような経緯が
あったのでしょうか。

コンペイトウ(ポルトガル語の"confeito"(砂糖菓子)より)は、戦国時代
にその頃砂糖の生産地を支配していたポルトガル人によってもたらされまし
た。ポルトガル人が日本にやってきた目的は、交易とキリスト教の布教であ
り、宣教師たちは、有力者に謁見して布教の許しをもらう際、贈答品として
メガネやラシャ織の合羽、香料などともに、砂糖漬けの菓子やコンペイトウ
を献上していました。1569年、のちに戦国時代の貴重な史料となる「日本
史」を著したイエズス会宣教師、ルイス・フロイスは織田信長と京都で謁見
し、「ギヤマン(ガラス)の壷」に入ったコンペイトウを、数本のろうそく
とともに献上しました。甘口であったと言われている信長は、この贈り物を
大変気に入り、当時の仏教界のあり方に業を煮やしていたこともあって、畿
内でのキリスト教布教を許可しました。

冒頭の『太閤記』の一節にあるように、イエズス会宣教師たちは、珍しい洋
酒や、当時非常に貴重であった砂糖を使った甘いお菓子を人々に振舞って精
力的に布教活動を行ったと伝えられています。今も昔も、おいしいものが
人々の心を惹きつけるのに変わりはありませんね。

日本で初めてコンペイトウが製造されたのは17世紀後半の長崎でした。江戸
時代に井原西鶴が書いた『日本永代蔵』には「外国の人もよきことは秘すと
みえたり。」という一節があり、外国人がなかなか製法を教えてくれなかっ
たこと、その後苦心して製法を編み出した男が大もうけしたことが記されて
います。

コンペイトウの製法は19世紀はじめには江戸まで伝わり、現在のようなハッ
キリしたイガのあるカラフルなものが日本独特のコンペイトウとして作られ
るようになりました。中でも幕府に献上するものは特別だったようで、表面
のイガは「六合(天地と東西南北、支配の及ぶ範囲、すなわち国)」にちな
んで36個でなければならないとして、コンペイトウ担当の役人まで置いて一
つ一つ完成品を調べてから献上したそうです。

明治期に入るとコンペイトウは全国規模で製造されるようになり、駄菓子屋
の定番になっていきます。しかしながら、大正期に入るとキャラメルや飴玉
におされて、昭和初期にはすでに懐かしい部類の菓子になっていました。再
びコンペイトウが注目されるようになったのは皮肉にも戦時下で、他の飴玉
のように湿気を含むことなく長期間の保存に耐えるコンペイトウは、戦地で
の甘味として激しい戦闘の合間に兵士たちの心身を癒したのでした。

伝来してから450年を経た今、コンペイトウは身近な甘味としても、高級な
贈答品としても愛され続けています。神饌や婚礼の引き出物として選ばれる
理由には、かつて献上品であったこととともに、何十年を経ても風味が変わ
らないとされるその永続性が好まれるのかも知れませんね。



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

神門神社師走祭り [宮崎県東臼杵郡美郷町] (1月の最終週)

http://www.gurunet-miyazaki.com/topics/maturi/siwasumaturi/siwasumaturi.htm

かつて、百済と日本が密接なつながりがあった頃、国を追われた百済王一族
がこの地に落ち延びたあと、朝鮮半島からの追撃で没したとされています。
そのときから1000年以上にわたり、一族の霊を慰めるために毎年行われてい
る大変歴史のあるお祭りです。

※師走まつりの謂れ詳細
http://www.0503ak1025.net/siwasu.html


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

岩谷堂箪笥インタビューレポート(1)掲載しました。
3回シリーズでお届けします。
http://www.jtco.or.jp/tradition_report/?id=8

『伝統工芸館』に新規記事が追加されました。
2012年1月掲載:石州和紙・東京染小紋・近江上布・駿河雛具
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/index.html


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第32号(2012年小寒・大寒号)を最後までお読みくださったみな
さま、誠にありがとうございました。

2012年の最初のテーマは、知人から神饌としていただいたコンペイトウを
選ばせていただきました。コンペイトウが伝来して450年、中には「和菓子
なのでは?」と思っていた方もいらっしゃるのでは。「日本文化」「日本
人」の形成の過程には、常に渡来人や異国の文物の影響があるのです。「世
界の中の日本文化、日本人」を意識しつつ、今年も『風物使』をお届けいた
します。なにとぞご愛読のほどお願い申し上げます。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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