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JTCOメルマガ『風物使』

2011年10月03日 配信
「野分跡に天が澄む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』秋分号

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  「野分跡に天が澄む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』秋分号
    vol.29 2011年10月03日発行(旧暦 9月7日・長月)

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拝啓
秋雨が続き空もぐずつきがちな今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょう
か。さわやかな秋晴れの日にはぜひ外に出て、澄んだ空と空気を楽しみまし
ょう。


+‥‥+ 2011年秋分号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 野を吹き分けていく風:『野分(のわき)』
 ・季節の行事………… 御坊(ごぼう)祭り [和歌山県御坊市] 
 ・JTCOからのお知らせ ショップ『和遊苑』で秋特集開催しています! 
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【天文】野を吹き分けていく風:『野分(のわき)』

「吹き飛ばす 石は浅間の 野分かな」(松尾芭蕉)

(訳:石を吹き飛ばす浅間山の嵐の景色は、何と荒涼としたことだろう
か。)

今年の台風は非常に雨風が強く、日本各地に大きな爪あとを残していきまし
た。二百十日(季節の変わり目となる雑節の一つで、立春から210日目の日
のこと)を過ぎると台風が来て天候が荒れやすいと言われており、かつては
この頃の嵐のことを「野分」と呼んでいました。

「野分」は江戸時代以降、秋の季語として盛んに俳句に詠まれるようになり
ました。「野分跡」とは台風が去った跡の荒涼とした風景、「野分晴れ」と
は台風のあとのカラリとした秋晴れのことを言います。台風の只中もそのあ
との情景も歌になったのですね。

明治以降に使われるようになった「台風(颱風)」という語の起源が
typhoonなどの外来語であるのに対し、万葉時代から使われていた「野分」
は、強い風が野の草花を掻き分けて吹いていく情景がそのまま言葉になって
います。かつてはどこでも家の前や街の近くに草原が拡がっていたのでしょ
う。普段目には見えない風が野を通り抜けていく光景を写しとった「野分」
という言葉は、非常に日本らしいと言えますね。

平安時代の「野分跡」の様子は、『源氏物語』や『枕草子』に描写されてい
ます。『源氏物語』第28帖『野分』では、光源氏の息子、夕霧が風見舞いに
方々の女性を訪れた際、父の美しい妻、紫の上や実姉だと思ってた玉鬘を
垣間見てしまいます。このとき15歳であった夕霧の、少年と大人との狭間で
美しい女性たちに心乱れる気持ちを、野分跡の光景に重ね合わせているので
しょう。『枕草子』には、嵐が格子の枠の一つ一つに、まるで人の手でした
ように木の葉を残していったその繊細な様子が、とても嵐の仕業とは思えな
いと書かれています。また嵐で吹き乱れた女性の髪が美しい、庭の後片付け
をしている様子を縁側で見やる女性の佇まいが趣深いなど、野分跡の荒れた
光景の中にも情趣を見出しているのがわかります。

かつての日本人は、今よりも自然の脅威に立ち向かうすべを持っていなかっ
たからこそ、荒れ狂う自然も当然のこととして生活を営んでいたのだと思い
ます。自然に対する畏敬の心を持ち、その変化を敏感に感じ取っていくこと
が、安心で豊かな生活を送るヒントになるのではないでしょうか。



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

御坊(ごぼう)祭り [和歌山県御坊市] 10月4日(火)・5日(水)
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/14884

小竹(しのう)八幡宮の秋の例祭で、300年あまりの歴史があります。祭り
の起源は明らかではありませんが、江戸時代の大名行列の先頭を務めた「奴
(やっこ)」を模したお祭りで、参加者は奴の装束を身につけます。奴たち
は、和歌山県指定無形文化財第一号である「けほん踊り」や、奴踊り、獅子
舞、雀踊りなどを奉納します。四ツ太鼓と呼ばれる勇壮で華麗な山車の行進
も見どころです。昔から「人を見たけりゃ御坊まつり」と言われるほどの見
物客を集める、日高地方最大のお祭りです。



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

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,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第29号(2011年秋分号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今年は天災の多い年です。かつてはこれを人間の行いに対する神の怒りと捉
え、それを鎮めるために人柱を捧げたこともありました。文明が自然の脅威
から守ってくれるいまも、自然は昔と同じ営みを繰り返しています。そのこ
とを忘れずに、自然の変化に常に注意を払っていくことが必要だと感じます。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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