JTCOメルマガ『風物使』
2011年08月12日 配信「波しぶきに千鳥舞う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号
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「波しぶきに千鳥舞う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号
vol.26 2011年08月12日発行(旧暦 7月13日・文月)
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このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
ジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただ
いている個人/団体/法人様にお送りしています。
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拝啓
全国的に厳しい暑さの続く今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
暦の上ではもう秋。体の熱を取ってくれる食べ物や、涼しい装いで残暑を
乗り切りましょう。
+‥‥+ 2011年立秋号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
・今号のテーマ…………… 【柄】カキ氷には欠かせない:『波にチドリ』
・季節の行事 ……………… 金魚ちょうちん祭り (山口県柳井市)
・JTCOからのお知らせ …… 姫革扇子ケース販売開始しました!
・編集後記
,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…
【柄】カキ氷には欠かせない:『波にチドリ』
「淡路島 かよふ千鳥の なく声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守」
(源兼昌(みなもとのかねまさ)『金葉集』冬・270)
(訳:冬の夜、淡路島から渡ってくるチドリの物悲しい鳴き声に、須磨の
関守は幾夜目を覚ましたことだろうか。)
今年のような酷暑には、体温を下げてくれる冷たい食べ物が本当にありがた
く感じます。海辺やお祭りのカキ氷屋さんで目にする、おなじみの『波にチド
リ』のサインは、いかにも夏の風物使という感じで見ただけでちょっぴり涼し
い気分になりますね。
日本では古来、野山や水辺で無数に群れる小鳥たち、特にチドリの仲間を
「たくさんの鳥」という意味で「千鳥」と呼んで親しんできました。歌の世界
では冬の浜辺を象徴する鳥とされ、冬の季語になっています。その啼き声が冬
の海の寂寥感を際立たせるからか、妻や友人を慕って啼くものとして多くの和
歌に詠まれています。
涼感を醸す夏物の着物柄には、流水や波しぶきにチドリの舞う柄がよく描かれ
ています。この柄自体、とても見た目に涼しいものですが、歌の世界を知る人
であれば歌に詠まれた寒々とした冬の情景を思い起こすので、気分的にでも冷
気を取り込んで夏の暑さを和らげようとしたのかもしれませんね。
同じ水辺の鳥でも、カモメやウなども身近なはずだったのですが、伝統文様に
はほとんどこれらの鳥は描かれていないのだそうです。清少納言が「何も何も、
小さきものはいと、うつくし。」(『枕草子』第155段)と書いたように、古
来から日本人はチドリのように小さくて愛らしいものにより美しさを感じ、暮
らしを彩るデザインに取り込んできたのでしょう。
無数に舞うチドリたちは、さらに抽象化されて「千鳥格子」になり、平安時代
の絵画によく利用されました。国宝である平安末期の絵巻物『伴大納言絵巻』
に描かれた市井の人々の着物柄にも千鳥格子が見られ、高貴な人々の装束には
見られないことから、当時は広く庶民に流行していた柄であったことが伺えま
す。
冷房や冷凍庫など、技術的に冷感を作り出すことができるようになったいま、
水辺に舞い踊るチドリを目にした私たちが、涼感を醸すスナップショットとし
てその光景を捕らえることができるでしょうか。節電が叫ばれる今年の夏は、
知恵と感性で夏を過ごしたかつての日本人に、敬意を感じずにはいられません。
,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
金魚ちょうちん祭り 8/6~13(山口県柳井市)
江戸時代の商家が立ち並び、「白壁の街並み」と呼ばれる山口県柳井市の
夏の夜を、かわいらしい金魚ねぶたが彩ります。金魚ちょうちんは、江戸時代
に青森のねぶたをヒントにつくられたものといわれ、柳井の郷土民芸品となっ
ています。
(柳井市観光協会)
http://www.kanko-yanai.com/page/season/fes/kingyo.html
,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
JTCO企画:姫革扇子ケース発売開始しました!
暑い夏のお出かけには欠かせない扇子を上品に持ち歩ける、すてきな姫革細工
の扇子ケースの販売を開始いたしました。洋装にも和装にもお使いいただける、
見ているだけで幸せになるような蝶と桜の舞う柄が魅力です。お気に入りの
扇子に、贈り物に、ぜひご利用ください。
伝統工芸・和雑貨ショップ『和遊苑』
http://www.piconet.co.jp/jtco/
,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
『風物使』第26号(2011年立秋号)を最後までお読みくださった
みなさま、誠にありがとうございました。
今年は節電対策で、できるだけ冷房を入れないで過ごすようにしているので
すが、そうすると体ががんばって一生懸命汗をかくからなのか、例年の夏と
比べて暑さからくるだるさがない気がしています。
熱中症が増えた原因の一つに、空調に慣れきってしまったために体温調整が
うまくできなくなったことがあるといわれています。無理は禁物ですが、少し
ずつ暑さに慣れていくことも必要ですね。
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【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
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特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
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・季節の行事 ……………… 金魚ちょうちん祭り (山口県柳井市)
・JTCOからのお知らせ …… 姫革扇子ケース販売開始しました!
・編集後記
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【柄】カキ氷には欠かせない:『波にチドリ』
「淡路島 かよふ千鳥の なく声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守」
(源兼昌(みなもとのかねまさ)『金葉集』冬・270)
(訳:冬の夜、淡路島から渡ってくるチドリの物悲しい鳴き声に、須磨の
関守は幾夜目を覚ましたことだろうか。)
今年のような酷暑には、体温を下げてくれる冷たい食べ物が本当にありがた
く感じます。海辺やお祭りのカキ氷屋さんで目にする、おなじみの『波にチド
リ』のサインは、いかにも夏の風物使という感じで見ただけでちょっぴり涼し
い気分になりますね。
日本では古来、野山や水辺で無数に群れる小鳥たち、特にチドリの仲間を
「たくさんの鳥」という意味で「千鳥」と呼んで親しんできました。歌の世界
では冬の浜辺を象徴する鳥とされ、冬の季語になっています。その啼き声が冬
の海の寂寥感を際立たせるからか、妻や友人を慕って啼くものとして多くの和
歌に詠まれています。
涼感を醸す夏物の着物柄には、流水や波しぶきにチドリの舞う柄がよく描かれ
ています。この柄自体、とても見た目に涼しいものですが、歌の世界を知る人
であれば歌に詠まれた寒々とした冬の情景を思い起こすので、気分的にでも冷
気を取り込んで夏の暑さを和らげようとしたのかもしれませんね。
同じ水辺の鳥でも、カモメやウなども身近なはずだったのですが、伝統文様に
はほとんどこれらの鳥は描かれていないのだそうです。清少納言が「何も何も、
小さきものはいと、うつくし。」(『枕草子』第155段)と書いたように、古
来から日本人はチドリのように小さくて愛らしいものにより美しさを感じ、暮
らしを彩るデザインに取り込んできたのでしょう。
無数に舞うチドリたちは、さらに抽象化されて「千鳥格子」になり、平安時代
の絵画によく利用されました。国宝である平安末期の絵巻物『伴大納言絵巻』
に描かれた市井の人々の着物柄にも千鳥格子が見られ、高貴な人々の装束には
見られないことから、当時は広く庶民に流行していた柄であったことが伺えま
す。
冷房や冷凍庫など、技術的に冷感を作り出すことができるようになったいま、
水辺に舞い踊るチドリを目にした私たちが、涼感を醸すスナップショットとし
てその光景を捕らえることができるでしょうか。節電が叫ばれる今年の夏は、
知恵と感性で夏を過ごしたかつての日本人に、敬意を感じずにはいられません。
,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
金魚ちょうちん祭り 8/6~13(山口県柳井市)
江戸時代の商家が立ち並び、「白壁の街並み」と呼ばれる山口県柳井市の
夏の夜を、かわいらしい金魚ねぶたが彩ります。金魚ちょうちんは、江戸時代
に青森のねぶたをヒントにつくられたものといわれ、柳井の郷土民芸品となっ
ています。
(柳井市観光協会)
http://www.kanko-yanai.com/page/season/fes/kingyo.html
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JTCO企画:姫革扇子ケース発売開始しました!
暑い夏のお出かけには欠かせない扇子を上品に持ち歩ける、すてきな姫革細工
の扇子ケースの販売を開始いたしました。洋装にも和装にもお使いいただける、
見ているだけで幸せになるような蝶と桜の舞う柄が魅力です。お気に入りの
扇子に、贈り物に、ぜひご利用ください。
伝統工芸・和雑貨ショップ『和遊苑』
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『風物使』第26号(2011年立秋号)を最後までお読みくださった
みなさま、誠にありがとうございました。
今年は節電対策で、できるだけ冷房を入れないで過ごすようにしているので
すが、そうすると体ががんばって一生懸命汗をかくからなのか、例年の夏と
比べて暑さからくるだるさがない気がしています。
熱中症が増えた原因の一つに、空調に慣れきってしまったために体温調整が
うまくできなくなったことがあるといわれています。無理は禁物ですが、少し
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【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
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〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
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