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JTCOメルマガ『風物使』

2011年07月11日 配信
「夏空に蝉の音聞く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小暑号

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  「夏空に蝉の音聞く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小暑号
    vol.24 2011年07月11日発行(旧暦 6月11日・水無月)

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拝啓
例年より早めの梅雨明け宣言が各地で出され、夏本番に入った今日この頃、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。節電で団扇や扇子、風鈴などがよく売
れている今年の夏、そろそろ暑中見舞いの準備もしたいですね。


+‥‥+ 2011年小暑号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……………… 【昆虫】移ろいを感じて:『セミ(蝉)』
 ・季節の行事 ……………… 豊作を願って:『虫追い』
 ・JTCOからのお知らせ …… 姫革細工のJTCO企画商品、近日発売!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【昆虫】移ろいを感じて:『セミ(蝉)』


「蝉の声 聞けばかなしな 夏衣 うすくや人の ならむと思へば」
(紀友則『古今和歌集』751)

(訳:セミの声が聞こえてくる夏が来ると悲しくなります。セミの羽のよう
に薄い夏衣のように、秋になればあなたの心もはかなくなる気がして。)

梅雨空が夏空に変わると、長い年月を土の中で過ごしたセミたちがそろそろ
地上に出てきて本格的な夏を告げてくれます。セミのあまりいないヨーロッ
パから明治期の日本に来た人々が、「なぜ木が鳴いているのか」とたずねた
といわれているくらい、日本のセミたちは暑い夏を力一杯鳴いて過ごします。

現代の私たちは、小さい体ながら時にはうっとおしいくらいの大きな声で鳴
くセミに、力強い生命力を感じずにはいられませんが、万葉の時代から文学
の中ではセミははかないもののたとえとして登場します。「空蝉(うつせ
み)」とは、セミの抜け殻のことですが、これは「現臣(または現人、うつ
しおみ)」、つまりこの世に生きている人や人の世を重ね合わせたもので、
それらを引き出す枕詞として使われています。

「うつそみの 人にある我れや 明日よりは 二上山を 弟背(いろせ)と我
が見む」(大伯皇女(おおくのひめみこ)『万葉集』巻2-165)

(訳:この世に生きている私は、明日から二上山を弟と思って見るのでしょ
うか。)

上記の歌は、謀反の疑いで処刑された大津皇子(おおつのみこ)のなきがらが
二上山に移されたときに、お姉さんの大伯皇女が詠んだものとされています。
身近な人を喪った虚ろな気持ちを、「うつそみ(空蝉)」という枕詞が引き
出しています。

源氏物語の第3帖『空蝉』は、冒頭の紀友則の歌と同じように、夏の薄衣を
脱ぎ捨ててさらりと源氏の君をかわした人妻の話で有名ですね。薄いセミの
羽や抜け殻は、人の心を掴もうとしてもしても掴みきれない、やるせない気
持ちを表現するのに適していたのでしょう。

セミの声を聞くと夏の到来を感じて力をもらったり、時には暑さを増幅させ
るのでちょっぴり逃げたくなったりもしますが、昔の日本人はその声よりも
薄い羽や抜け殻に、人の気持ちや命の移ろいを見たようです。今年の蝉時雨
を、あなたはどんな思いで聞くのでしょうか。



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

豊作を願って:『虫追い』

6月の終わりごろから、東北から九州にかけての全国で、『虫追い』の行事
が行われます。地方によって内容のバリエーションはさまざまですが、おお
よそ江戸時代に始まったこと、害虫を追い払い五穀豊穣を祈念する行事であ
ることは共通しています。

農薬のなかった昔、人々は夜たいまつを燃やして虫を引き寄せ、追い払いま
した。埼玉県越谷市では、7月下旬、麦わらのたいまつを持って神社を出発
し、田畑の続く道を練り歩く行事が毎年行われています。どなたでも参加可
能です。

▼北川崎の虫追い(7月24日)
http://www2.city.koshigaya.saitama.jp/miru/shiki/natu/musioi/index.html



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

オンラインショップ【和遊苑】:姫革細工の企画商品、近日発売します!

人気の姫革細工から、暑い夏にふさわしい商品がもうすぐ発売になります。
どうぞお楽しみに!


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第24号(2011年小暑号)を最後までお読みくださった
みなさま、誠にありがとうございました。

今年は夏の入りが早く、日本各地で連日酷暑が続いているようです。節電が
叫ばれる中、昔ながらの涼を呼ぶ智恵が見直され、団扇などは生産が追いつ
かなくなっているそうです。すだれに団扇、風鈴に打ち水。節電とともに、
夏の風情を楽しみたいものです。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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