NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

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JTCOメルマガ『風物使』

2021年05月31日 配信
「独活(ウド)は大木にあらず」 ~季節の使い・JTCO『風物使』芒種号~

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「独活(ウド)は大木にあらず」
~季節の使い・JTCO『風物使』芒種号~
vol.121 2021年5月31日発行
(旧暦 4月25日・卯月)
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◆このメルマガは、オンラインショップ『和遊苑』/NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただいている個人/団体/法人様にお送りしています。

拝啓
例年より早めの梅雨、いかがお過ごしでしょうか。
アジサイの花も美しい季節になりました。旬の食とともに、今だけの楽しみを見つけましょう。

+‥‥‥+ 2021年芒種号 目次 +‥‥‥+

◆今号のテーマ
・【植物】「大木」にはなりません:ウド

◆季節のレシピ
・【山形県の郷土料理】山菜おこわ

◆新着記事
・【三重県の伝統工芸品】火縄

◆和遊苑 おすすめの一品
・【姫革】猫好きにはたまらない!姫路生まれの庭ネコグッズ
・【姫革】手触りに癒される!ノートPC・タブレットケース

◆編集後記


+。+ 今 号 の テ ー マ ━━━・・‥

【植物】「大木」にはなりません:ウド

「独活もはや 喰ハれぬ迄の 若葉哉」
(与謝蕪村)

(解釈: ウドも早や、食べられなくなるほど若葉が生い茂っているよ。)

春から初夏にかけては、山菜がおいしい季節です。灰汁や筋を取ったりと、下処理に時間がかかるものが多いので、なかなか食材として手の出ない方もいらっしゃるかもしれませんが、山菜独特の爽やかな風味や食感など、旬の味としてぜひ楽しみたいものです。

さて、「ウドの大木」として不名誉な表現で知られる「ウド」は、現代の食卓では数少ない日本原産の山菜・野菜です。食用にするのは若い根茎で、これが長ずると2mもの丈高となり、食べられなくなることからこのような表現が生まれましたが、木ではなく、ウコギ科(セリ科の近縁)の多年草です。

かつては洞穴のことも「ウド」と呼んでおり、植物の「ウド」という和名は、長じて葉が生い茂ると中空(うつろ)になることからついたと考えられています。平安時代に書かれた『延喜式』や『本草和名』には、「ウド=宇土、宇都」またはタラノキの仲間であることから「ツチタラ=都知多良、豆知多良)」という記述が見られます。「独活」という字は漢名から当てられたものですが、これは中国六朝時代の医学者・科学者である陶弘景によれば、茎がまっすぐに伸びて風にも揺られず独立しているさま(「一茎直上して、風に搖られず。故に獨活と曰う」※)から来ているそうです。

※「独活」と呼ばれる植物は多くあり、これはセリ科のハナウドを指しているようです。

中国では古くからウドの根茎や根を乾燥させたものが生薬として活用されています。日本で食されているウドは「九眼独活」と呼ばれ、解熱・鎮痛薬としてかぜやリューマチなどの症状の緩和に使われます。平安時代にはすでに、諸国から納められたウドが、宮中で生薬として使われていたようです。

全国の山に自生する黄緑色のウドはヤマウドと呼ばれ、スーパーなどで見かける白いウドは日光に当たらないよう、地下で軟白栽培したものです。江戸時代初期に成立した、農書とも言われる軍記物『清良記(せいりょうき)』(1654年頃)や、当時の農業技術をまとめた『農業全書』(1697年)には、ウドの栽培に関する記述があり、17世紀には広く栽培が行われていたことがわかります。

「貴賎皆このみ用ゆるものなれば、都近き所、又諸国の国都など、大邑ある近方にて、山野の余地あらば、多く作り立てゝ市中に出すべし」
(宮崎安貞『農業全書』1697年)
⇒訳:身分の高いものも低いものもみな好んで食すので、都の近くや諸国の国都など、大都市の近くでは、土地に余裕があればたくさん作って街に売るとよい。

同時期に作物についてまとめた『菜譜』(1704年)には、味を良くするために白く育てる軟白栽培についての記述があります。

「根の上にわらゐくたをあつくおほへば、其白茎長くして山より来るにまさる」
(貝原益軒『菜譜』1704年)
⇒訳:根の上に藁を厚く置いて覆えば、白い茎が長くなり山で採れたものより美味しくなる。

現代では北関東や東北がウドの主要産地ですが、東京の吉祥寺あたりはウド栽培発祥の地とも言われています。武蔵野には大きな川がなく稲作に適さなかったので、代わりに商品作物としてのウドが盛んに作られるようになり、香りのよいウドは江戸の人気商品となりました。

柔らかい春ウドのシーズンもそろそろ終わりですが、晩秋から冬にかけても寒ウドが出回ります。ウドの苦味は抗酸化作用があると言われるクロロゲン酸です。新陳代謝を促進し疲労回復に役立つアスパラギン酸、血圧を下げるカリウムなども豊富に含まれるウド。きんぴらやてんぷら、炊き込みご飯や煮びたしなど用途も広いので、まとめて下ごしらえして、常備菜の一つに加えてみませんか。


▼参考サイト(2021年5月31日参照)

跡見群芳譜 農産譜 「うど」
http://www.atomigunpofu.jp/ch4-vegitables/udo.htm

イー薬草・ドット・コム「うど」
http://www.e-yakusou.com/yakusou/033.htm

野菜ナビ「うど」
https://www.yasainavi.com/zukan/udo.htm

中村学園大学/中村学園大学短期大学部 貝原益軒アーカイブ
https://www.nakamura-u.ac.jp/institute/media/library/kaibara/table02.html

実は武蔵野市が発祥の地だった野菜”うど” 恒例の『うど品評会』開催
https://blog.musashino-kanko.com/?p=11803


+。+ 季 節 の レ シ ピ ━━━・・‥

【山形県の郷土料理】山菜おこわ

豊かな山菜を炊きこんだご飯は、山菜を手に入れたならまずつくりたいものです。
少しずつ動く山菜の旬にあわせて、組み合わせる材料を変えていくのもまた楽しみのひとつ。 山から取ってきた山菜を、おいしいお米と炊き立てで食べる、素朴な中にもその奥深い味に自然の豊かさを感じられます。

♪♪♪レシピはこちら♪♪♪
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/12.html
※PCサイトのみ。スマートフォンでも閲覧できます。


+。+ 和遊苑 おすすめの一品 ━━━・・‥

▼▽新柄・新商品▽▼

【姫革】猫好きにはたまらない!姫路生まれの庭ネコグッズ
https://wayouen.jp/?mode=grp&gid=258646

初登場!お庭で遊ぶネコちゃんたちにほっこりする、ちょっぴり北欧テイストの猫柄グッズです。
ネコ好きさんにも、そうでない方にも、このかわいらしさを届けたい。

【姫革】手触りに癒される!ノートPC・タブレットケース
https://wayouen.jp/?pid=157556623

ふんわり優しい手触りが楽しめる、13インチまで収納可能な姫革ノートPC・タブレットケースが登場。
ハードなお仕事に最中も、この手触りに癒されそう。


+。+ 新 着 記 事 ━━━━━━━・・‥

【三重県の伝統工芸品】火縄
古くは火縄銃などに使われ、今でも数は少ないですが、神社で行われている火を使った祭事・催しで使われるなどしています。

↓↓↓記事はこちら↓↓↓
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=412&p=24&c=15
※PCサイトのみ。スマートフォンでも閲覧できます。


+。+ 編 集 後 記 ━━━━━━━・・‥

最近は都会を離れ、郊外や地方に居を構える人が増えているそうです。

筆者も都心から郊外に引っ越して、近くの商店でおすすめされたり、ご近所さまからのおすそ分けなどで、これまで使ったことのない食材に触れることが多くなりました。人と言葉を交わすこともない、自動レジのお店ではありえなかったことです。

また毎年旬を逃してしまったり、あまり販売されることのない果樹の苗を買って、育ててみることにしました。

世の中が変わっていく中で、今まで気づかなかったこと、見えなかったことが顕在化することもあります。自分軸と自分の五感を大切に、社会の変化をチャンスと捉えて生き方を変えることも必要かもしれません。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月1~2回発行
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL: 03-3431-5030 FAX: 03-6450-1555
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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