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JTCO日本伝統文化振興機構
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JTCOメルマガ『風物使』

2021年01月28日 配信
「鉢巻きに神宿る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立春号

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   「鉢巻きに神宿る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立春号
    vol.118 2020年1月28日発行(旧暦 12月16日・睦月)

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 このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
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 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
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拝啓

2021年も来週ははや立春。1月には日本各地が大雪に見舞われましたが、先週
より梅の開花ニュースも届くようになりました。

人の営みに関わらず、季節は必ず巡ってきます。心塞ぐときには、少しいつも
の生活から離れて、自然の中に身を置いてみませんか。


+‥‥+ 2021年立春号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ       【装束】祈りを込めて締める:「鉢巻き」
 ・季節のレシピ       【石川県】にしん漬け(大根寿し)
 ・和遊苑 おすすめの一品 【金襴・緞子】名刺入れ
 ・編集後記


∞* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【装束】祈りを込めて締める:「鉢巻き」

1月下旬からは、受験シーズン真っ盛り。受験生は、「ねじり鉢巻き」でこれ
までの学習の成果を発揮すべく頑張っていることでしょう。

「ねじり鉢巻き」とは、「頑張る」ことの比喩として使われますが、運動会や
お祭り、各種イベントなど、鉢巻き姿を目にする場面は年間を通して意外に多
いものです。現代の鉢巻きには汗止めという実用的な用途もあるものの、気合
を入れて頑張る場面で象徴的に使われるようになったのには、どのような理由
があったのでしょうか。

鉢巻きの起源は定かではありませんが、史料としては古墳時代の出土品に鉢巻
きのようなものを巻いた埴輪が見られることから、この頃には何らかの用途に
使われていたと考えられています。平安時代には、非常時に参向する武官や加
茂競馬の乗尻(のりじり=騎手)が、抹額 (まっこう)または末額 (もこ
う)と呼ばれる赤い布で冠の縁を巻いて固定するのに使用していました。鎌倉
時代になると、武士が烏帽子の縁に布を巻き、その上から兜を着けて動いても
兜が揺らがないようにしました。兜の頭を覆う部分、もしくは頭部そのものを
「鉢」と呼んだことから、この頃から「鉢巻き」の呼称が生まれたと言われて
います。

古代・中世には、人前で頭髪をあらわにするのは大変恥ずかしいことと考えら
れていましたから、どんな場面でも冠を落とすわけには行かず、そのために動
きの激しい武官や武士たちにとって鉢巻きは重要な実用アイテムであったので
しょう。また彼らが臨戦態勢に入る際に鉢巻きを使用したことで、気持ちを引
き締める意味合いも出てきたとも考えられます。

鉢巻きは武士たちの間だけではなく、神官や一般の人々の間でも広く利用され
てきました。

神話の世界では、天宇受賣命(あまのうずめ)が天石屋戸(あめのいわと)か
ら天照大神を誘い出す際、ツタを頭に巻いて踊ったという話があり、これが現
代の巫女の鉢巻きにつながると言われています。また鹿島神宮など、神職が禊
に臨む際、白鉢巻きに白ふんどしを締める習わしが残る神社があります。

歌舞伎や時代劇で、紫の鉢巻きを左の額に結んだ人が出てきたら、この人は病
人という意味になります。これを病鉢巻(やまいはちまき)と言い、鉢巻きは
抗炎症・解毒・解熱の効能のあると言われるムラサキの根で染められています。
紫は高貴な色で邪を払うとも考えられており、病鉢巻きは薬効とともにおまじ
ないでもありました。産婦が鉢巻きを締めるのにも、同じような意味があった
と考えられます。

日本各地の地域文化での正装やおまじないでも、鉢巻きには特別な意味が見ら
れます。

伊豆諸島では、女性たちが儀式や社寺参詣の際、ヒッシュ(またはアカテヌグ
イ)と呼ばれる、赤、紫、浅葱(あさぎ=薄い藍色)などに染められた六尺
(訳1.8メートル)の布を額に巻いて長く垂らし、正装とする習慣がありまし
た。

琉球王朝では、冠位十二階に相当する制度があり、儀式の際の正装として鉢巻
き状の冠が用いられました。沖縄衣装で男性が被る頭巾のような布は、ティー
サージと呼ばれる織り物で、かつては男性たちが漁や航海に出る際、姉妹や恋
人たちが安全を祈願して織って贈ったものであったそうです。また、北海道の
アイヌ文化でもマタンプシという刺繍の鉢巻きがあり、古くは狩りで山に入る
男性のために女性が刺して贈ったものでした。女性たちは刺繍のない長い布を
祝儀・不祝儀で結び方を変え、頭に結んで装いました。

このように、鉢巻きは実用品であるとともに、人々が特別な場面で祈りを込め
て用いる日本文化に深く根差したものでした。鉢巻きを締めるとなぜか不思議
と気合が入るのも、古くからの人々の願いが今に伝わっているからなのかも知
れませんね。


▼参考サイト(2020年1月26日参照)

「鉢巻」(コトバンク)
https://kotobank.jp/word/%E9%89%A2%E5%B7%BB-602087
「鉢巻」(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%A2%E5%B7%BB
「鉢巻についての考察」(神社挙式研究会)
https://jinjakyosiki.jp/beauty_hachimaki.html
「病鉢巻の憂いと色気」(歌舞伎いろは)
https://www.kabuki-bito.jp/special/knowledge/secom-anzen/post-anzen-06/
「ティーサージ」(沖縄方言辞典)
https://hougen.ajima.jp/e2744
「マタンプシ」(平取町立二風谷アイヌ文化博物館)
http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/juyo_yukei_minzoku/nah-a-0005.htm

ほか


∞* 季 節 の 食 卓 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【石川県の郷土料理】にしん漬け(大根寿し)

高級なぶりを使ったかぶら寿司に対し、にしん漬けは庶民の味。 簡単に漬け
られそれぞれの家庭の味があります。甘い麹と歯ごたえのある大根を味わって
ください。

♪♪♪レシピはこちら♪♪♪
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/245.html
※PCサイトのみ


∞* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【金襴・緞子】isozaki 名刺入れ
https://wayouen.jp/?mode=grp&gid=2084638


掛け軸などの表具に使われる、精巧・繊細ながら丈夫な「裂地」を利用してお
仕立てするファッションアイテムブランド・isozaki。

日本の伝統織物をベースに、日常にお使いいただける洗練されたバッグやポー
チを中心に、定番アイテムとともに毎シーズン新しいスタイルを展開していま
す。

入社や転勤のシーズンももうすぐ。この春は、一味違う名刺入れで迎えてみま
せんか。シンプルなものから個性的なデザインまで、豊富なバリエーションか
らお選びいただけます。

★☆彡催事情報★☆彡
1/27(水)~2/2(火)まで、銀座三越・本館3階プロモーションエリアで、
商品を実際に手に取っていただけます。春の新作をたくさん取り揃えてお待ち
しております。


∞* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

昨年はコロナ禍で世界中が揺れ動く1年となりました。外出を控え、いつもと
違う生活をするようになって、今まで気付かなかかったことに気づいたり、考
え方が変わったりした方も多いかと思います。

長らくお休みをいただいておりました、当機構『風物使』は、本年より再開い
たします。皆さまにとりまして、2021年が良い意味での変化の年になりますよ
う、心よりお祈り申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL: 03-3431-5030 FAX: 03-6450-1555
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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