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JTCOメルマガ『風物使』

2018年01月15日 配信
「これからの時代を学ぶ講書始」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号

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 「これからの時代を学ぶ講書始」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号
    vol.115 2018年1月15日発行(旧暦 11月29日・霜月)

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 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
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拝啓

今年は穏やかな気候だった年末年始から一転、いつになく厳しい寒さと雪が続
く日々。
今日からは少し天候も回復するようで、ほっと一息といったところでしょうか。

ここで皆様に一つ質問です。『前回着物を着たのはいつですか?』
今年の成人式では日本の伝統である「着物」に関する、非常に残念が事件が起
きてしまいました。
今回の事件で筆者は、業者の行ったことが許されるものではないことは前提と
して、私たちも『着物は一生に一度』のものではなく、『ちょっとしたオシャ
レを楽しみたいときの選択肢』になるような努力が必要だと、改めて考えさせ
られました。

まずは、着物を着て出かける回数を増やすことから、始めてみたいと思います。


+‥‥+ 2018年大寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【生活】自らが学ぶ力を:出版と教育
 ・季節の行事…………   千手院賢明寺の節分会式 [津市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革細工】二つ折り財布
 ・JTCOからのお知らせ   和遊苑販売商品の再入荷について
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【生活】自らが学ぶ力を:出版と教育

「将軍家、御読書始(ごとくしょはじめ)、相摸権守(さがみごんのかみ)、
御侍読たり。」
(『吾妻鏡』1204年 (建仁4年) 1月12日)

訳:将軍実朝が、孝経(孔子の言動を記した書)で御読書始めをされた。相模
権守である、源仲章(みなもと の なかあきら)が侍読(じどく=教育係)
である。

2018年戌年は、皆さんはどのようにスタートされましたか。ご家庭や個人で定
番の初詣に始まり、学校での「書初め」や御用始めの「出初式」など、一年の
業を始めるにあたり行われるさまざまな行事が、日本の新年には欠かせません
ね。

冒頭の『吾妻鏡』の一節は、鎌倉時代の新年に行われた『御読書始(ごとくし
ょはじめ)』の記録です。御読書始とは、もともとはお正月には関係なく貴人
の子弟が初めて学習を始めるときに行われた儀式で、最古のものでは9世紀半
ばの平安時代に記録が見られます。この儀式では、初めに「侍読(じどく)」
と呼ばれる先生が『孝経』『史記』などのテキストの表題を読み上げ、「尚復
(しょうふく)」と呼ばれる助手がこれを復唱します。それから侍読がお手本
として本文を読み上げると、学習を始める子どもとその侍臣・家司が復唱し、
最後に尚復が締めを行います。

実朝の生きた時代には、年始の学習初めの行事として行われ、近世では藩校や
私塾でも採り入れられました。明治以降は、「講書始(こうしょはじめ)」と
呼ばれる年始の宮中儀式として、形を変えて引き継がれました。現代でも、毎
年1月10日前後に、人文科学・社会科学・自然科学の三分野の権威を招いて、
皇族と衆参両院議長ほか参列のもと、皇居正殿の松の間において行われていま
す。本年の講書始もニュースになっていましたね。

このような儀式が古代に始まった背景には、学問が支配階級にのみ許された特
権であったこと、また本が非常に高価で希少なものであったということが考え
られます。時代が下るに従い、学問は一般化していきますが、これには本の発
行が写本から印刷へ移行して安価になったことはもちろん、何より識字教育に
対する一般庶民の関心や熱意がありました。

活版印刷を実用化し、出版業を創設したのは15世紀ドイツのグーテンベルクで
すが、印刷技術が最初に発明されたのは中国と言われています。この技術は日
本にも伝えられ、年代の特定できる世界最古の印刷物として、8世紀の「百万
塔 陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)」が日本に残っています。これは「陀羅
尼」(ダーラニー=サンスクリット語のまま唱える仏教の呪文)を100万部印
刷し、小さな塔に収めて主要な寺院に奉納したもので、木版または金属版によ
り印刷が行われたと考えられています。

その後東アジアでは、11世紀に中国で陶器による活版印刷、13~14世紀には高
麗で金属による活版印刷が行われました。しかしながら、ヨーロッパ言語がア
ルファベットの26文字を組み合わせればよいのと異なり、漢字は文字数が膨大
で版下を組み直すのに大きなコストがかかるため、東アジアでは活版印刷は普
及せず、近代までもっぱら木版印刷が主流でした。

日本では、江戸時代に商業印刷が隆盛し、仮名草子や草双紙(絵入り本)など
が庶民の読み物として普及します。本が一般庶民に普及するためには、当然そ
れなりの数の読み書きのできる人口が必要になりますが、日本では室町時代に
はすでに、かなりの庶民が読み書きができたことが日本を訪れた外国人によっ
て記されています。

15世紀の朝鮮通信使、申 叔舟(シン・スクチュ)は、日本人が男女身分によ
らず全員が字を読み書きすると記録しており、16世紀に日本を訪れた宣教師の
フランシスコ・ザビエルや、ルイス・フロイスも、大部分の日本人が男女を問
わず読み書きができると記しています。

この背景には、商人が子女を寺院に預けて読み書きを習わせたり、寺で教育を
受けることができない地域では、旅の僧を草庵に留めて子どもたちの教育を頼
むという、庶民の自主的な教育に対する取組みがありました。
江戸時代に一般的になった寺子屋にしても、藩校などとちがい町人が自主的に
運営していた私塾であったにも関わらず、19世紀半ばの江戸の就学率は70-86%
と言われるほどの高さでした。

開国したころには地域によって識字率にばらつきがありましたが、明治5年(1
872年)には国民皆学を目指して「学制」(近代的学校制度を定めた教育法
令)が施行され、初めて中央政府による学校制度が始まりました。校舎や教師
不足を補うため、江戸時代の寺子屋はそのまま小学校として利用されることも
ありました。

その甲斐あって、明治32年(1899年)の20歳識字率(男子)は76.6%だったも
のが、大正14年(1925年)には、99.1%までになり、その10年後には女性でも
若年層の非識字者はほぼいなくなったようです。

この識字率の高さは、第二次大戦敗戦後に日本の「民主化」を推進しようとす
るGHQにより日本語のローマ字化が提唱されたときにも、漢字とかなによる日
本語を守る根拠にもなりました。

人生100年時代が盛んに議論されるようになったいま、技術や社会の変化はす
さまじく、身に着けた技術や知識があっという間に陳腐化するようになりまし
た。これからの時代には、既存の制度や常識が崩れても生き抜いていけるよう、
自ら学び、変化していく姿勢が必要になります。

幸いなことに、今はインターネットや各種教育の普及により、意思さえあれば
いつでもあらゆることを学習できる時代です。自発的に学び、働き、どんな時
代でもしなやかに生きてきた先人たちのように、現代の私たちもしかるべき準
備をしていきたいですね。


【参考サイト・文献】(2018年1月3日参照)
Wikipedia, 読書始
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E5%A7%8B
Wikipedia, 講書始
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AC%9B%E6%9B%B8%E5%A7%8B
Wikipedia, 印刷
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E5%88%B7
Wikipedia, 識字
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%98%E5%AD%97#%E6%97%A5%E6%9C%AC
中世の人も勉強熱心! 江戸時代以前でも識字率は高かった?
http://best-times.jp/articles/-/6116


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

千手院賢明寺の節分会式
[津市](2月3日)

津市久居元町の千手院賢明寺では、2月3日の節分に節分会式が行われ、厄歳
の男女役60人が、福豆や福餅を投げ、福を授けます。

午後になると、近隣の幼稚園・保育園の園児たちが自作の鬼の面を被り”鬼は
外、福は内”の掛け声に合わせて一斉に豆や餅を投げます。

※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/14829



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【姫革細工】二つ折り財布

今回は白地に映える鮮やかな文様が魅力の「姫革細工」二つ折り財布をご紹介!

姫革細工とは、姫路でしか作ることのできない、白くなめした牛革を使用した
革細工で、特殊な技法により着色や脱色をせずとも、地色が真っ白に仕上がる
のが特徴です。

さらに、光に当たれば当たるほど白く輝くという、不思議な性質を持っている
ため、毎日使うことで白さが保て、さらに表面に艶が増してゆきます。

美しく丈夫で、軽くしなやかな革で作られたお財布を、春財布にいかがでしょ
うか。

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=1644822



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

*和遊苑販売商品の再入荷について*

和遊苑では現在、年末年始の催事で予想を上回るご好評を賜り、商品が品薄と
なっております。
お客様にはご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。

欠品しております商品に関しましては、1月中旬より順次再入荷の予定でござ
います。
お急ぎのお客さまには誠に申し訳ございません。お待ちいただけるお客さまに
は、入庫次第順次出荷してまいりますので、通常通りご注文いただけますと幸
いです。
お待たせしまして恐縮ですが、なにとぞご了承くださいませ。

「伝統文化×和雑貨」和遊苑↓↓
http://wayouen.jp/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

年末は業務多忙により、久々の発行となり申し訳ございません。
2018年もすでに3週目に入りました。年末年始、伝統工芸品の販売で店頭に立
っておりましたところ、お財布をお買い上げいただいたお客さまより、「お財
布も要らなくなるかもしれませんけどね」というお声をいただきました。

その通りだと思います。日本人は現金決済がいまだ健在ですが、海外ではあら
ゆるお店でカードまたはスマートフォン決済が浸透するようになっています。

刀鍛冶や駕籠かきが時代の変化でほかの道を模索したように、今あるモノや
サービスがそのままでは必要とされなくなる時代はいつかきっとやってきます。
伝統とは過去の連続ではなく革新で作られていくもの。今年のJTCOは温故知新
をテーマにしたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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