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JTCOメルマガ『風物使』

2017年10月12日 配信
「新涼に灯火親しむ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』寒露号

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  「新涼に灯火親しむ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』寒露号
    vol.113 2017年10月12日発行(旧暦 8月23日・葉月)

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拝啓

秋たけなわの今日この頃、まだまだ日中は暑さがぶり返す日もありますが、
紅葉の便りも聞こえ始め、北の大地からは初冠雪の知らせがと届く時節と
なりました。

春と並んで、日本の四季の美しさをひとしお感じられる秋のひと時。
休日などには、気の合う仲間と紅葉狩りとしゃれこみたいものですね。


+‥‥+ 2017年寒露号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【生活】読書の秋(1)
                  人づくりには欠かせない:本
 ・季節の行事…………   曽根天満宮秋祭り[兵庫県高砂市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【丹後ちりめん】ブックカバー
 ・JTCOからのお知らせ   10月歌舞伎座催事:なにわべっ甲
「エスプリ・マ」
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【生活】読書の秋(1)人づくりには欠かせない:本

「秋の風 書むしばまず 成にけり」 与謝蕪村

(解釈:秋の風が吹くころになり、涼しくなったので、読書がはかどるように
なったよ。)

食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。うだるような暑さが去って過ごし
やすくなると、心身ともに力を取り戻して、夏の間は気が進まなかったことに
も取り組もうとお考えの方は多いのではないでしょうか。

さて、「食欲の秋」、「スポーツの秋」と言われる理由は、気温が体調に与え
る影響からわかりやすいのですが、なぜ読書が秋の風物詩となったのでしょう
か。

これは、今から遡ること1200年余り、中唐の文人、韓愈(かんゆ・768-824)
が、息子の符(ふ)に宛てた「符読書城南(符 書を城南に読む)」(『全唐
詩 』341巻)という漢詩の一節、「燈火可親(灯火親しむべし)」がもとにな
っていると言われています。

時秋積雨霽  時秋にして積雨霽(は)れ 
新涼入郊墟  新涼 郊墟(こうきょ)に入る
燈火稍可親  灯火稍(ようや)く親しむべし
簡編可卷舒  簡編 卷舒(けんじょ)すべし

(大意:秋の長雨がすっきりと上がったので、初秋の涼しさのなか郊外に行き、
灯火のもとで本を開くがよい。)

この詩の全文を読むと、儒教思想に基づき、父が息子に立身出世のための学問
の大切さと、立ち居振る舞いを指南する内容になっています。そして冒頭の一
節には、まずはよき人格形成のために、儒家の主要な経典である「詩経」「書
経」を体得せよとあります。今で言えば、実学より先に道徳を学べということ
でしょうか。

古代中国のみならず、「学び」の根幹をなすのが思想や教えであったことは洋
の東西を問わないようです。人類史上最も多く発行された本として、聖書や毛
沢東関連書籍、コーランなどが揺るぎないトップを占めていることにそれがう
かがえます。もちろん、これには歴代の為政者たちの明確な意図があったわけ
ですが、各国の文化や制度、人々の思考・行動様式が、これらに基づいて構築
されていったことを考えると、書籍が人類に与えた計り知れない影響を思い知
らされます。

そして日本でも、現存する最古の書籍とされているのは聖徳太子の肉筆と言わ
れている、飛鳥時代の『法華義疏(ほっけぎしょ)』(全4巻、611-615)と
いう法華経の注釈集です。あとに続く奈良時代でも、現代に伝えられる書籍の
多くは仏教の経典であり、政治制度と併せて、仏教に基づいた国造りの拠り所
とされました。

そして仏典に遅れること約一世紀、国のアイデンティティを明確にするための
史書として『古事記』(712)と『日本書紀』(720)が奈良時代に成立します。

※これ以前にも、『天皇記』『国記』などの史書は存在していたようですが、
残念ながら火災で焼失するなどで失われ、現存しません。

すでに仏教思想に基づいた国造りを進めていたにも関わらず、仏教伝来以前か
ら言い伝えられてきた神話・伝説を書籍として改めてまとめることで、国の起
源を確認し、共有したのです。それまで、一つの場所に何となく考え方や習慣
を共有しながら暮らしてきた民草が、数冊の本によって「秋津島(あきつしま
=日本の古名)」の住民というアイデンティティを与えられ、一つの国民とし
てまとまっていくことになるのですから、まったく本の持つ力は絶大なものが
あります。

1968年にノーベル文学賞を受賞した川端康成は、『美しい日本の私』を、94年
受賞の大江健三郎は『あいまいな日本の私』を授賞式で講演しました。いずれ
のスピーチにも、受賞者自身と、日本人に対する深い洞察が、影響を受けた文
学や思想とともに語られています。

私たちは、幼いころに読み聞かせてもらった童話をはじめとして、大人になる
までに知らず知らずのうちに多くの本に接し、それにより人としての在り方や
考え方を少しずつ培ってきていると思います。大人になると、自分を形作って
きた何かを振り返り、自分の在り方を見つめ直す機会はなかなかないものです。
この秋は、あなた自身のルーツを本と共にたどってみませんか。

【参考サイト】2017年10月9日参照

符讀書城南 韓愈(韓退之) <166>Ⅱ中唐詩772 漢文委員会kanbuniinkai
 紀頌之の漢詩ブログ2844
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6734994
.html

世界の古書・日本の古書 ABAJ(日本古書籍商協会), 日本の書物の歴史
http://www.abaj.gr.jp/history.php

Japan, the Beautiful and Myself (Yasunari Kawabata - Nobel Lecture)
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/literature/laureates/1968/kawa
bata-lecture.html

Japan, The Ambiguous, and Myself (Kenzaburo Oe - Nobel Lecture)
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/literature/laureates/1994/oe-
lecture.html


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

唐津くんち
[佐賀県唐津市](11月2日~11月4日)

典雅な曳山囃子に合わせて「エンヤ、エンヤ」「オイサ、オイサ」と、掛け声
が響く。唐津くんちは、唐津っ子の産土神である唐津神社の秋祭りです。いな
せな法被姿の曳子たちが曳き廻る勇壮華麗な曳山(ひきやま)は、壮快無比な
景観です。

御神幸に従う曳山(ひきやま)は、「漆の一閑張り」という工法で作られ、江
戸後期から明治初期にかけて15台奉納され、14台が現存しています。


※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/10636



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【丹後ちりめん】ブックカバー

和遊苑では新たに「丹後ちりめん」の小物のお取り扱いを開始いたしました。
本日はその中からブックカバーをご紹介。

外出中のカフェでの一休み、人待ちの時間、どこかに向かう電車の中。そして
もちろんご自宅でも。スマートフォンだけでなく、思わず愛読書に手が伸びる
時間は意外と多いものです。

そんな読書時間を楽しく演出してくれる、お洒落なパターンの丹後ちりめんの
ブックカバー。布ながら、しっかりと織り込まれた高級感のある質感で、便利
なしおりもついています。

お揃いで各種ポーチのご用意もございますよ。
可愛くポップな小物たちに気分も上がること間違いなしです。

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=1685511&page=2



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【歌舞伎座】10月1日~15日まで、「草木染やまぐち」が
      10月16日~31日まで、なにわべっ甲「」エスプリ・マが出店!

毎回ご好評いただいております、銀座・歌舞伎座催事。10月は前半に、素材に
こだわった草木染が優しい風合いを生み出す「草木染やまぐち」が、後半に希
少な天然素材を繊細な細工で仕上げたなにわべっ甲「エスプリ・マ」が出店い
たします!

どちらも、自然が織りなす、全く同じもは二つとしてない一品をご用意。

あなただけのお気に入りを見つけに、ぜひ歌舞伎座地下二階木挽町広場にお越
しください。

詳しくはJTCOホームページで↓↓
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=162


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

今年のノーベル文学賞は、日本にルーツを持つカズオ・イシグロ氏に授与され
ることになり、書店では同氏の著作の品切れが続出。普段から本をたくさん読
む方にとっても、あまり本を手にしない方にも、受賞作である『日の名残り』
は、今年の秋の読書リストからは外せない作品になりそうですね。

英国で育ちながらも、どこか客観的に英国社会を見られるのは日本文化あって
とのこと。二つの文化の狭間で生きてきたイシグロ氏の世界観を、ぜひ味わっ
てみたいものです。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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