NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
日本語 | English
JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization
メルマガ一覧
 2024年
 2021年
 2019年
 2018年
 2017年
 2016年
 2015年
 2014年
 2013年
 2012年
 2011年
 2010年

JTCOメルマガ『風物使』

2017年06月23日 配信
「露草に朝露咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号

:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,

  「露草に朝露咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号
    vol.111 2017年6月23日発行(旧暦 6月21日・水無月)

,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,


┏‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓  
このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
 ジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただ
 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┛


拝啓
今年の梅雨は、いつにない大雨で水害が出ている地域があるかと思えば、反対
に雨が降らず既に取水制限が行われている地域もあり、例年と少し違っている
ようです。
地球温暖化以外の要因も多くあるのかとは思いますが、私達自身の生活を守る
ためにも、日々の生活様式を見直していく必要に迫られているのだと感じる今
日この頃です。

皆様も、熱中症だけでなく天気の急変にもお気をつけてお過ごしください。


+‥‥+ 2017年夏至号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【植物】夜明けの夢色:ツユクサ
 ・季節の行事…………   全国くちびる美人コンテスト[山形県天童市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】扇子ケース
 ・JTCOからのお知らせ   「夏雑貨特集」開催中!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【植物】夜明けの夢色:ツユクサ

「月草のうつろひやすく思へかも 我が思ふ人のことも告げこぬ」
(大伴坂上大嬢『万葉集』巻4-583)

(訳: 私の心はツユクサの色のように移ろいやすいと思っているからなので
しょうか。私の想う人が何も言ってきてくれないのは。)

今年の梅雨前線も本州の北端に到達し、お住まいの地域でも雨模様の日が増え
てきたかもしれません。雨に濡れたアジサイの青紫や赤紫が目に鮮やかなこの
時期、ひそかにしっとりと、美しい青紫の小さな花をつけ始めるのがツユクサ
です。

ツユクサは万葉時代から多くの和歌に詠われており、さまざまな別名がありま
す。冒頭の歌にある「月草」という呼び名には、夜明け前に月の光を受けて咲
くから、また色が衣につきやすいから、などの説があります。そのほかにも、
草に留まる蛍に見立てて「蛍草」、または蝉のように見えるところから「碧蝉
花(へきせんか)」、その色のとおり「藍花」などの呼び名があります。現代
の「露草」という名も、朝露に濡れる時間だけ咲く花、という解釈もでき、い
ずれも風情のある名前がつけられている花です。

「生絹(すずし)の単(ひとえ)のいみじうほころび絶え、はなもかへり、濡
れなどしたる、薄色の宿直物(とのいもの)を着て・・・」
(清少納言『枕草子』200段「野分のまたの日こそ」)

(訳:生絹の単衣がひどくほころんで縫い目の糸が切れ、はなだ色も色あせて、
濡れなどしている、その上に薄色の夜着を着て・・・)

幼いころ、ツユクサの花を水に浸して色水遊びをした方もいらっしゃることで
しょう。堅牢度の高い藍に取って代わられるまで、ツユクサの花は古代から青
色の染料として使われていました。上記の『枕草子』の一節は、台風の翌日の
宮中の様子を描写したものですが、おそらくここで言う「はなだ(縹)色」の
単衣とは、水に濡れると色褪せてしまう、ツユクサで染めた青い衣だったので
はないかと思います。花の儚さとともに、このように染料としても褪せやすく
色移りしやすいツユクサは、冒頭の歌のように短命で移ろいやすいものの喩え
として詠われています。

しかしながら、このツユクサの色落ちのしやすさは、その後染色の世界で大活
躍することになります。友禅染めの下絵書きには、「青花」という染料が使わ
れますが、これはツユクサの花を集めて作られたもので、着物の需要が高かっ
た頃にはなくてはならないものでした。

滋賀県草津市は、ツユクサの花を絞った青い汁を、厚く重ねた和紙に80~90回
も塗っては乾かしを繰り返して作られた「青花紙」の産地として有名です。早
朝から小さなツユクサの花を大量に摘む作業、その絞り汁を和紙に塗り込めて
いく作業は重労働で、その辛さから草津ではツユクサを「地獄花」と呼ぶこと
もあったそうです。反面、かつては仲買人が競って買い求めた高級品であり、
多くの現金収入をもたらしたことから、「小判花」とも呼ばれたそうです。戦
後、青花紙は化学染料に取って代わられましたが、今でも伝統の染料として作
り続けられています。

染料としてだけでなく、花期の全草を蒸して干したものは、鴨跖草(おうせき
そう)と呼ばれる漢方薬として、解熱、下痢止め、扁桃腺炎に使われてきまし
た。また、利尿作用があり、糖質の吸収を抑えることから、ツユクサ茶として
むくみや高血糖の緩和に使われることもあります。花が咲く前の若芽は柔らか
く癖がないので、おひたしや和え物、サラダなどで副菜としても楽しめます。

ツユクサの花期は長く、6月から10月初めごろまで目にすることができますが、
一日のうちで花が開くのは日が高くなる前の時間だけです。ルビー色の朝焼け
の前、ほんの束の間だけの透き通った蒼い空を見ることがあれば、そっと足元
を見てみてください。夜明け前の空の色を写し取ったような、ツユクサの花が
咲いているかもしれません。

【参考サイト】(2017年6月19日参照)
1) Wikipedia, ツユクサ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%A6%E3%82%AF%E3%82%B5
2) 青花紙は今
http://kasanui.net/kasanui/aobananosato/aobana2.html
3) 和歌歳時記「露草 つゆくさ」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/saijiki/tuyukusa.html
ほか



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

天童温泉 全国くちびる美人コンテスト
[山形県天童市](6月1日~9月30日)

「全国くちびる美人コンテスト」は1989年(平成元年)から始まったイベント
です。
参加方法は天童温泉に泊まり、各旅館に備え付けの専用応募用紙に、リップ
マークをつけて応募箱に入れるだけ。
10月に審査会を開催し、次のような賞を決め、賞金や豪華商品が贈られます。

【審査部門】
●ベストリップ賞
●セクシーリップ賞
●カップルリップ賞
●チャイルドリップ賞
●ダンディリップ賞
●旅館えこひいき賞

※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/14372



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【姫革・白なめし革】蓋付き扇子ケース

日に日に暑さの増してくるこの季節。毎日のお出掛けに扇子が欠かせなくなっ
てきますね。
いつでもお気に入りの扇子を持って出かけたいものですが、「カバンの中で
ケースから出て傷んででしまった…」そんな経験、皆様もされたことがあるの
ではないでしょうか。

そんな時には蓋つきの扇子ケースがおすすめ!差し込み式の蓋がしっかりホー
ルドして、扇子の飛び出しを防いでくれます。

鮮やかな文様が映える白なめし革も、涼やかさを演出。まさに夏のマストアイ
テムですね。

その他、スタンダードなタイプのものや、男性用の扇子が入るサイズのものも
ご用意しております。
是非お気に入りの一品を見つけてみてください!

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=cate&cbid=1488756&csid=0&page=1



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

オンラインショップ『和遊苑』で夏雑貨特集開催中!

強い日差しにきらりと輝き、触ればひんやり、切子のミラー。
繊細に組まれた白木の寄木細工が何とも清々しい、手帳カバー。
ホワイトレザーに伸びやかに緑を伸ばす、唐草文様のサングラスケース。
…などなど、

和遊苑の夏雑貨特集ページでは、暑い毎日に涼しさを感じさせる、オシャレな
アイテムをご紹介して、皆様のお越しをお待ちしております!

▼夏雑貨特集はこちらから▼『2017 爽やか元気な夏雑貨特集』
http://wayouen.jp/?tid=3&mode=f7



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

最近、できるだけ休日は外で活動するようにしているのですが、目につくよう
になったのは「路傍の花」の可憐さです。先日友人がFacebookにドクダミの花
を素朴な陶器の花器に活けた写真をアップしていたのですが、とても風情のあ
るインテリアになっていました。

花屋さんの花もとても美しいですが、普段誰も気に留めない、道端の花にも言
いようのない魅力があります。夏の夜明けは早いので、目が覚めてもなかなか
起きる気になりませんが、たまには生活パターンを変えて、ツユクサ探しにで
も出かけてみようと思います。


+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

▼配信先の変更・メールマガジンの解除

JTCOサイトからお申し込みいただいた方:
https://www.ssl-im2.com/jtco/magazine/

メルマガ配信サービスからお申し込みいただいた方:
☆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0001175473.html
☆メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_187367/
☆メルモ(携帯用ダイジェスト版)
http://merumo.ne.jp/00581395.html

▼バックナンバーはこちら(PC用)
http://www.jtco.or.jp/pages/magazine.html

▼ご意見ご感想はこちらまで(PC用)
https://www.ssl-im2.com/jtco/inquiry/

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+


Copyright(C) 特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
All rights reserved.