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JTCOメルマガ『風物使』

2017年05月25日 配信
「蒼穹に青い春見る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小満号

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  「蒼穹に青い春見る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小満号
    vol.110 2017年5月25日発行(旧暦 4月30日・卯月)

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拝啓
日本各地、30度に迫る勢いで暑さの増してきた今日この頃、皆さまいかがお過
ごしでしょうか。強い日差しや熱中症だけでなく、まだ気温の寒暖差も大きい
季節ですので、体調管理には気をつけて過ごしたいところですね。


+‥‥+ 2017年小満号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
 ・今号のテーマ………   【色彩】果てしない色:青
 ・季節の行事…………   毛越寺 あやめ祭り[岩手県平泉町]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】ストラップポーチ
 ・JTCOからのお知らせ   「父の日特集」開催中!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【色彩】果てしない色:青

「水鳥の鴨の羽色の青馬の 今日(けふ)見る人は限りなしといふ」
(大伴家持 『万葉集』巻20-4494)

(訳: 1月7日の青馬の節会に、鴨の羽の色のような青い馬を見た人は、命限
りなしと言います)
※昔、宮中で中国の故事に倣い、1月7日に邪気を払うと言われる青毛の馬を引
き出して宴を催した。その後青毛ではなく白毛や葦毛の馬が使われるようにな
り、今でも一部の神社で、「白馬(あおうま)の節会」の神事として受け継が
れている。

5月も下旬になり、まだ肌寒い日もあるものの、日差しは日増しに強くなり、
空や木々も青々として、目にする風景が鮮やかに見える季節になってきました。

これから始まる夏を色で表すとすれば、やはり青なのではないでしょうか。空
や海が青く見えるのは、青色の光線は波長が短く、ほかの色よりも大気や水の
中で散らばりやすいからですが、海に囲まれ、水源も豊富な日本では、山野の
緑と並んでかつてもっとも目にしやすい色だったのではないでしょうか。

上古の日本では、ことばとして明確に表現される色は、「アカ(明)シ」「ク
ロ(暗)シ」「シロ(顕)シ」「アオ(漠)シ」という形容詞を持つ、赤・
黒・白・青の4色だけでした。「アオ」には、「漠」という字が充てられてい
ますが、字が示す通り、かつて青は非常に広い範囲の色を表すことばとして使
われていました。

「アオ」ということばの語源は、「アフ=会う、合う」もしくはその連用形の
「アヒ=間(隣り合う)」に由来しているという説があります。つまり、青と
は「黒と白の中間を取り持つ、赤ではない色」ということになるのでしょうか。
冒頭の歌の「青馬(あおうま、あおごま)」とは、青毛、つまり青光りする黒
毛の馬、または淡青色や淡灰色の馬のことです。時間や日の当たり方によって
は、このような体色の馬はより青みがかって見えていたのかもしれません。現
代でも、「青葉」「青梅」「青竹」などは本来緑ですが、青ということばで表
現されます。青とは、かつて緑や紫、灰色や黄色までをも含む色の名前でした。

現代でいう青とは、長く「縹(はなだ、花田色・花色ともいう)」や「藍」と
いう色名で表現されて来ました。「縹」はもとは「漂」と書き、糸が染料を溶
いた水の中を漂う様子を表現した色名です。平安時代に入り、藍が青色の染料
の主役になるまでは、ツユクサも染料として使われていました。ツユクサで染
めた衣は色が落ちやすいため、「花色」と言えば儚く、移ろいやすいものの喩
えでした。

万葉集に見られる青系の色は「月草」、「水縹(みなはだ)」や「青丹」など
です。月草はツユクサの別名、水縹はツユクサまたは藍を水に薄く溶いて染め
た、水色の古名です。「青丹」の「丹」は土の意味で、青緑色の孔雀石からつ
くる岩緑青のことでした。奈良が有名な産地であったため、「青丹よし」は奈
良の都の枕詞になりました。この色は現代の感覚から言えば、原料が示す通り
ピーコックグリーンやエメラルドグリーンになるでしょう。

平安時代になると、色のバリエーションは格段に増え、色名もそれまで数十種
類だったものが百を超えるようになります。この時代の青は、どちらかと言え
ばより緑色を指していたようです。『枕草子』や『源氏物語』に盛んに出てく
る「青色の袍(上衣)」とは、現代でいう抹茶色、またはオリーブグリーンの
ような色のことを指していました。

江戸時代の草双紙(絵入りの娯楽本)は、内容によって表紙が色分けされてお
り、赤本・黒本・青本・黄表紙などがありました。青本の表紙は草の葉やクチ
ナシで染められており、草の葉で染めれば緑色に、クチナシで染めれば黄色か
ら黄味の強い緑になりますから、江戸時代ではさらに青が緑や黄色までを指し
ていたことがわかります。

明治以降、西洋からさまざまな合成染料や染色技術が入ってきて、天然色素に
左右されず人が欲しい色を主体的に作ることができるようになりました。それ
までの、自然の風物になぞらえた色名、また天然由来ならではの微妙な色合い
や、染め方を表現していた色名も次第に使われなくなっていき、青ということ
ばの示す範囲も次第に狭まっていったと考えられます。

現代の日本語では、「未熟だ」「若々しい」「瑞々しい」というニュアンスを
「青い」「青々とした」ということばで表現します。誰の心にも響く「青春」
ということばは、もとは五行説の春の色である青から来ていますが、そこには
本来「青」ということばが持つ、若さゆえの「漠=あいまいな、ぼんやりし
た」という意味も含まれているのかもしれません。天も地も青に包まれるこれ
からの季節、果てしない青の中で、人生の夏や秋にどのような自分になってい
たいか、考えてみるのもよいのではないでしょうか。

【参考サイト】2017年5月21日参照

Wikipedia, 「青」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92#.E8.89.B2.E5.90.8D.E3.81.A8.E3.81.97.E3.81.A6.E3.81.AE.E9.9D.92
Wikipedia, 「草双紙」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%89%E5%8F%8C%E7%B4%99#.E9.9D.92.E6.9C.AC
試験に出る色彩用語, 「縹色」
http://colorterms.kisochishiki.com/jis-colors/wa/hanada-iro.html
綺陽装束研究所, 「青色あれこれ」
http://www.kariginu.jp/kikata/iro-ao.htm
三浦 佑之(1996), 「日本神話と色彩」
http://miuras-tiger.la.coocan.jp/jiten-shikisai.html
語源由来辞典, 「青春」
http://gogen-allguide.com/se/seisyun.html
たのしい万葉集, 「万葉集:色、いろいろ」
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/color/home.html



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

毛越寺 あやめ祭り
[岩手県平泉町](6月20日~7月10日)

毛越寺のあやめは大泉が池周辺の約30アールのあやめ園に、300種、3万
株の花菖蒲が咲き誇ります。
あやめ園は、揚羽(あげは)や初鏡(はつかがみ)、初光(はつひかり)など
が大輪を咲かせ、紫、白、黄色と色鮮やかに咲き誇り、緑濃い浄土庭園との絶
妙のコントラストがさらに彩りを添えます。

このあやめ園は1953(昭和28)年に平泉町民の発案で現開山堂前に植え
たのが始まりで、翌年に明治神宮から100種100株を譲り受け、その後種
類を増やして今日に至っています。

まつり期間中は、延年の舞、茶会、写生大会などが行われます。

※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/10084



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【姫革・白なめし革】ストラップポーチ

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,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

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,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

『風物使』第110号(2017年小満号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

気がつけば、来月は6月。今年もすでに半分に差し掛かろうとしています。毎
年のことながらこれからの暑さは覚悟が必要ですが、空も海も草木も色鮮やか
な季節、自然の風物から力をもらって、2017年の残り半分を悔いなく過ごした
いものですね。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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