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JTCOメルマガ『風物使』

2017年02月28日 配信
「獺月夜に戯る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』雨水号

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  「獺月夜に戯る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』雨水号
    vol.107 2017年2月28日発行(旧暦 2月3日・如月)

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拝啓
明日から3月に入り、ますます春の訪れを感じる頃になりますね。春の色合い
も増えてきて心も和んできそうです。桜が一面に広がる風景が待ち遠しいです
ね。


+‥‥+ 2017年雨水号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【生物】河童の子ども?:カワウソ
 ・季節の行事…………   長龍神事 [三重県多気町]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【箱根寄木細工】名刺入れ・カードケース
 ・JTCOからのお知らせ   3月の歌舞伎座は、関西・中部の職人が出店!
 ・編集後記



,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【生物】河童の子ども?:カワウソ

「水むすぶかひも渚のたはれ男と 誰かはうそを月の夜ごとに」
(木下勝俊『四生歌合・けだ物の歌合』)

(訳: 月夜の晩ごとに渚に出てきて、貝で水を掬って戯れるかわうそを、水
に恋した男という人がいるよ。)

雨水の初候を、中国では「獺祭魚(たつ うおを まつる=獺が捕らえた魚を並
べて食べる)」と言います。「獺祭(だっさい)」と言えば、有名な日本酒の
銘柄にもなっていますから、「獺=カワウソ」であるとご存知の方も多いこと
でしょう。かつては日本中に生息していましたが、残念ながらニホンカワウソ
は2012年に環境省により絶滅が宣言されてしまいました。今日は水辺にカワウ
ソが戯れた昔日を懐かしみながら、彼らが日本人にとってどのような生き物だ
ったのかを見ていきましょう。

「獺祭魚」とは、カワウソが捕えた大好物の魚を川岸に並べる習性を、ご先祖
様に供物を捧げるさまになぞらえたものです。唐の政治家・詩人の李商隠は、
カワウソのようにたくさんの書物を周囲に並べて詩を作ったことから、自らを
「獺祭魚」もしくは「獺祭」と呼びました。ここから、「獺祭」は多くの書物
を調べ、引用する人の意にもなりました。

平安中期の930年代に作られた日本最古の辞書、『和名類聚抄(わみょうるい
じゅしょう)』には、カワウソは「乎曽(ヲソ)」と記されています。「カ
ワウソ」とは、「川に棲む恐ろしいもの」の意であるという説が有力です。
その名の通り、日本にはキツネやタヌキ同様、カワウソが人に憑りついたり、
女に化けて男をたぶらかしたり、ときには食い殺したりする恐ろしい話が全国
に数多く残っています。

ニホンカワウソは体長65~80cm、体重5~10kgくらいのサイズだったそうで、
小動物としては大きな部類に入り、水生動物としては最強の捕食者と言われ非
常に大食漢であるため、獰猛な動物と考えられていたのかもしれません。また、
室町時代の国語辞典『下学集(かがくしゅう)』には、「獺(かわうそ)老い
て河童(かはらふ)に成る」とあり、一部地域では河童と同一視されていまし
た。

このように、カワウソは妖怪の一種と考えられていた一方、「鮫龍(ミズ
チ)」と呼ばれて水の精霊や水神として祀られていた地域もあります。「ミズ
チ」とは、ヘビや竜のことでもありますが、泳ぎの得意なカワウソが、長細い
体をしなやかにくねらせて水中を泳ぐさまは、確かにヘビや竜のようにも見え
ます。カワウソが最後まで生息していた地域の一つである愛媛県では、カワウ
ソの鬼瓦が屋根に取り付けられている家屋があり、火災除けのお守りとされて
いたと考えられています。

カワウソは妖力や神性を持つ存在として恐れられていただけでなく、身近な動
物として人に助けられた恩返しに漁を助けたり、魚を取ってきてくれたりする
民話も見られます。東京都の世田谷区には、こんな話が残っています。

赤子にあげる乳が出ずに困っている母親が、ある夜外から赤子の泣き声がする
ので見に行ったところ、かつて助けたカワウソがたくさんの魚を川岸に並べて
待っていました。カワウソはその中からとりわけ大きな魚を持っていくように
母親に勧めます。その日以来、カワウソは毎日魚を届けてくれるようになり、
母親にはたくさんの乳が出るようになりました。

カワウソのキューキューという鳴き声は、確かに赤ん坊の泣き声にも似ていま
す。こんなところから、母子に関わるお話が出てきたのかも知れませんね。

カワウソが日本から姿を消した理由は、開発により住処を奪われたこともあり
ますが、何よりその丈夫で暖かな毛皮を目的とした乱獲が行われたことです。
愛媛県では、まだカワウソが生息していることを前提に、2014年に絶滅危惧種
に引き続き指定しています。また、生きたカワウソが1979年に最後に目撃され
た高知県須崎市では、カワウソが市のマスコットキャラクターを務めており、
自然と共生する街づくりを目指しています。いつか日本のどこかで、月夜に水
と戯れるカワウソの姿を再び目にする日が来ることを願ってやみません。


【参考サイト】(2017年2月25日参照)
1) Wikipedia, カワウソ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%82%A6%E3%82%BD
2) Wikipedia, 獺祭魚
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%BA%E7%A5%AD%E9%AD%9A
3) 水族館ふりーく, 世界のカワウソ
http://gisu.exblog.jp/3508048/
4) まんが日本昔話, カワウソの手伝い
http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=481
5) No River No Life, カワウソ
http://www.kasetatsuya.com/norivernolife/otter.html



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

長龍神事
[三重県多気町](3月21日)

寛保元年7月(西暦1741年)から行われている長龍神事は、出雲系の神様
が祭られている八柱神社に伝わる神楽的な神事です。毎年春分の日に雨乞いと
豊作を祈願して奉納され、スサノオノミコト(赤天狗)がヤマトノオロチ(長
龍)を退治したという出雲神話を象徴化したものだと言われています。

雄龍頭をかたどった長龍の体内に飲み込まれた子どもたちを天狗と黒面が引き
ずり出す様が、見物客の笑いを呼びます。


※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/14458



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【箱根寄木細工】名刺入れ・カードケース

3月といえば卒業式や退職など、旅立ちやお別れをする方も多いのではないで
しょうか。お世話になった方や仲の良い友達に、感謝の気持ちを込めて贈り物
をしてみませんか。

しっかりとした牛革でライニングされ、全て天然の木材を自然の色のまま組み
合わせて作られた【箱根寄木細工】名刺入れ・カードケースはいかがでしょう
か。洗練された職人の技術で描かれた飽きのこないデザインは、ビジネスでも
プライベートでも毎日お使いいただける一品です。

優しい自然の温かさを持つ箱根の寄木細工、大切な方に贈るギフトにぴったり
です。


詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=578425&page=2



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

3月の歌舞伎座は、関西・中部の職人が出店!

明日3月からの歌舞伎座は、大阪欄間・高山茶筌・掛川手織葛布・駿河千筋細
工・大阪なにわべっ甲と、関西と中部の伝統工芸が盛りだくさんの出店となり
ます。

月の前半(3/1~3/16)は、大阪欄間・高山茶筌・掛川手織葛布・駿河千筋細
工。より広い世代のより多く方々に伝統工芸品に興味を持っていただきたい、
との思いから「D4」という伝統工芸品ブランドを展開しています。葛布ならで
はのナチュラルな風合いを活かした小物や細工の繊細さが高級感あふれる竹細
工の手提げ籠バッグなど、伝統工芸品を日常生活にも取り入れられるようバラ
エティーを豊富に取り揃えています。

後半(3/17~3/31)は今回出店3回目となる、なにわべっ甲。二つと同じ柄の
ない希少な天然素材で作られた美しいべっ甲のアクセサリーをご紹介いたしま
す。

ぜひ、銀座歌舞伎座地下二階、木挽町広場にお越しくださいませ。


詳しくは、JTCOホームページで↓↓
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=144


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第107号(2017年雨水号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

二ホンカワウソが姿を消してからすでに40年近くが経ちます。最近では、カワ
ウソをペットとして飼育している人もいますが、これは東南アジアなどに生息
する小型のコツメカワウソという種類です。

ニホンオオカミは、20世紀初頭に絶滅してしまいましたが、どちらかといえば
生態系の上にいる捕食者のほうが害獣として駆除の対象にもなりやすく、生き
延びることが難しいのかもしれません。

最近ではクマが人を襲ったために駆除されるニュースも聞きますが、動物たち
の住処を侵すことなく、うまく共生していけることを願わずにはいられません。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

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〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
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