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JTCOメルマガ『風物使』

2017年01月31日 配信
「鶏が常世を告げる」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号

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  「鶏が常世を告げる」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号
    vol.105 2017年1月31日発行(旧暦 1月4日・睦月)

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拝啓
先日は4月並みの気温で、季節外れの穏やかな1日となりました。明日から真冬
真っただ中の2月。風邪やインフルエンザも流行しておりますので、暖かくし
てお過ごし下さいませ。



+‥‥+ 2017年大寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【生物】この世の救世主: ニワトリ
 ・季節の行事…………   八戸えんぶり [青森県八戸市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】ギャルソン財布
 ・JTCOからのお知らせ   箱根寄木細工の再入荷・新柄
 ・編集後記



,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【生物】この世の救世主: ニワトリ

「には鳥は かけろと鳴きぬなり。起きよ。おきよ。我がひと夜妻。人もこそ
見れ」
(催馬楽―平安時代に隆盛した古代歌謡。)

(訳: ニワトリがカケロと鳴いたよ。起きろ。起きろ。私の一夜妻よ。人が
見るから。」

2017年は酉年。今年の初詣に、縁起を担いでニワトリとゆかりのある寺社にお
参りした方もいらっしゃるでしょう。現代では卵も含め、ニワトリは食材とし
て欠かせない生き物となりましたが、食用として一般的になったのは近代にな
ってからでした。それにはどんな理由があったのでしょうか。

ニワトリは弥生時代に中国から日本に伝来したと考えられており、埴輪も多く
見つかっています。古くはその鳴き声から「カケ」、もしくは「庭にいる鳥」
という意味の「ニワツトリ」と呼ばれており、後者が「ニワトリ」として現代
まで残りました。

ニワトリの日本の文献での初出は、『古事記』・『日本書紀』に収められてい
るおなじみの「天岩戸(あまのいわと)」です。太陽神である天照大神が弟の
素戔嗚尊(すさのおのみこと)の蛮行を嘆き怒って天岩戸に籠ってしまうと、
世の中が真っ暗になり禍が次々と起こります。天照大神を何とか外に誘い出そ
うと八百万の神が集めて鳴かせたのが、常世長鳴鳥(とこよのながなきどり)、
つまりニワトリでした。

神社のシンボルは言わずと知れた鳥居ですが、これは常世長鳴鳥の止まり木か
ら来ているという説があります。また神社の境内でしばしばニワトリが飼育さ
れているのは、この故事に倣いニワトリが神使とされているためです。天照大
御神をお祀りする伊勢神宮の内宮では、「神鶏」と呼ばれる尾長鶏や小国鶏
(しょうこく)といった美しいニワトリたちが自由に境内を闊歩しています。
興味深いのは、20年ごとの式年遷宮でもっとも重要な「遷御の儀」(旧殿から
新殿へ御神体をお移しする儀式)が、「カケコー」と三回唱える「鶏鳴三声
(けいめいさんせい)」に始まることです。神様は今でもニワトリの鳴き声で
お出ましになるのですね。

さてこのように神様とつながりの深いニワトリですが、奈良時代にはウシやウ
マなどとともに卵も含めニワトリを食することが禁じられたため、主に愛玩動
物として飼われ、時を告げる鳥として神聖視されました。ニワトリを詠んだ奈
良・平安時代の歌には、冒頭の歌のようにニワトリが告げる夜明けを恨めしく
思う内容のものが数多く残っています。

平安期の源平の興亡を描いた軍記物『源平盛衰記』には、養鶏について面白い
記述があります。京都七条の修理大夫(内裏の修理造営を掌る長官)・信隆と
いう人が、白鶏を1000羽飼えばその家に帝の子孫が出るということを聞いて10
00羽を目指してニワトリを育てていたところ、みるみる4500羽にまで増えたた
め田畑を荒らされて困ったが、そのご利益なのかのちに出世したという内容で
す。平安時代には娯楽や賭博として闘鶏が盛んだったとのことですが、野鳥は
ともかくニワトリは卵も含め、まだ食用としては見做されていなかったようで
す。信隆のニワトリたちが験担ぎのためだけに飼われていたのか、大繁殖した
あとどうなったのかなどは分かりませんが、ともかくニワトリがツキを呼ぶと
考えられていたことは分かりますね。

戦国時代以降、ポルトガル人の上陸により卵を使った南蛮菓子がもたらされる
ようになりましたが、日本人が卵を常食とするようになったのは無精卵の存在
が知られるようになった江戸初期以降でした。ヒヨコが孵らない無精卵であれ
ば、殺生はしなくて済むというわけです。養鶏が広まったのもこの時期以降に
なりますが、当初は採卵が目的で、鶏肉としての利用は江戸中期以降、武士が
狩りをしなくなり、都市に住み着くようになってからでした。キジやカモ、ガ
ンなどの野鳥は食されていて、鶏肉が食されていなかったのは何とも不思議で
すが、もしかすると古来からの神鶏の思想や、家禽としての愛着がそうさせて
いたのかもしれません。

大寒の末候は、「鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく=鶏が卵を産み始め
る)」となっています。本来、ニワトリの産卵期は春から秋までなので、冬の
お休みのあと、春が近づく今頃の季節からまた卵を産み始めます。冬のない養
鶏所で暮らすメンドリたちのおかげで、現代の私たちは栄養のある卵を一年中
食べることができ、また2か月から長くても3年以内で一生を終えるニワトリた
ちのおかげで日々美味しい鶏料理を愉しむことができるのです。

暗闇を破り、太陽の女神を呼ぶその鳴き声で古来から神聖視されてきたニワト
リ。時にはその卵でさえ食べることを憚られていた時代もあったことを思い出
し、日々命をいただいて生かされていることを感謝したいものです。


【参考サイト】 2017年1月28日参照
1) Wikipedia, “ニワトリ”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%AF%E3%83%88%E3%83%AA
2) 語源由来辞典, “ニワトリ”
http://gogen-allguide.com/ni/niwatori.html
3) Wikipedia, “鳥居”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E5%B1%85
4) 折口信夫 『鶏鳴と神楽と』 青空文庫.
http://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/46313_25540.html
5) 『源平盛衰記』
http://www.j-texts.com/seisui/gsznb.html
6) 畜産ZOO鑑, "鶏の一生"
http://zookan.lin.gr.jp/kototen/tori/t121_4.htm



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

八戸えんぶり
[青森県八戸市](2月17~20日)

八戸地方の代表的な民俗芸能、八戸えんぶり。昭和54年に国の重要無形民俗文
化財に指定され、「みちのく五大雪まつり」のひとつとしても知られています。
2月17日から4日間にわたり、市並びに周辺の農村で行われる豊年祈願のお祭り
です。

「えんぶり」とは田をならすのに用いる「えぶり」という農具に由来すると言
われています。太夫という踊り手たちが馬の頭をかたどった烏帽子をかぶり、
種まきから稲刈りまでの稲作の様子を舞で表現します。

厳しい冬の東北で春の訪れを待っています。


※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/11132



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【姫革・白なめし革】ギャルソン財布

ご家族や友達とショッピングしたりバーゲンに出かけたりすると、ついついお
買い物が多くなってしまいますよね。たくさんの荷物を抱えながら会計するの
はちょっと大変。そんなときにおすすめなのが、たっぷり入る容量と使いやす
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,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

箱根寄木細工の再入荷・新柄発売のお知らせ

長らく欠品となっておりました、寄木らしい人気の「小寄木」柄が再入荷しま
した。この再入荷に合わせ、新しく入荷した色柄も2月に販売を開始します。

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いただける、ステーショナリー3種からお選びください。

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,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第105号(2017年大寒号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今号にニワトリの鳴き声として「カケロ」「カケ」というものが出てきました
が、「コケコッコー」という鳴き声は、明治以降、尋常小学校教科書に掲載さ
れたことで日本中に浸透したのだそうです。

逢瀬の暇を破られて恨めしいと思う反面、太陽を呼び戻す鳴き声には漆黒の闇
からの解放を意味したので、勇気づけられた人も多いと思います。

私も久々に爽やかな朝に元気なニワトリの声で送り出されてみたいと思います。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
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