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JTCOメルマガ『風物使』

2016年11月07日 配信
「枯野に鷹飛翔す」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立冬号

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  「枯野に鷹飛翔す」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立冬号
    vol.101 2016年11月7日発行(旧暦 10月8日・神無月)

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拝啓
最近日がだいぶ短くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。16時
半頃には太陽も傾き、気が付けばあっという間に暗くなっています。こんな秋
の夜長には、静かにリラックスできるよう有意義に過ごしたいものですね。

+‥‥+ 2016年立冬号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【生物】権力の象徴 :「鷹狩」
 ・季節の行事…………   高千穂夜神楽まつり [宮崎県高千穂町]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【印伝】長財布<唐草・黒 赤漆×ゴールド
パール、紫漆×ゴールドパール>
 ・JTCOからのお知らせ   12月歌舞伎座は、注目の墨染と和小物!
 ・編集後記

,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【生物】権力の象徴 :「鷹狩」

「我(われ)が身はとかへる鷹となりにけり年は経れどもこゐは忘れず」
(左大臣・源俊房『後拾遺集』661 )

(訳:私は気づけばいつもの鳥屋に帰っている鷹のようになってしまっていた
よ。時を経ても鷹が木居(こゐ=止まり木)を忘れないように、私も恋を忘れ
ることはないのだ。)

今から4か月ほど前、7月上旬の小暑の末候に、「鷹乃学習(たか すなわち が
くしゅうす=鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える)」というものがあります。8月の
夏のさなかに独り立ちし、秋を迎えた若鷹たちは、今頃山野で逞しく生きてい
ることでしょう。卓越した飛翔力で大空を自在に滑空し、鋭い鈎爪で獲物を捕
らえるタカは、尚武の象徴として世界中で愛されてきました。

タカと人との関わりと言えばやはり鷹狩ですね。秋から冬にかけての農閑期が、
鷹狩のシーズンとなります。

鷹狩に使われる鳥は、ワシ、タカ、ハヤブサなどで、オスより身体が大きく狩
猟能力に優れるメスが特に珍重されます。鷹狩の発祥地や時期は不詳ですが、
記録に残る最古の鷹狩は、紀元前8世紀のアッシリア(現代のイラク)に遡り、
それ以降中国やヨーロッパなど各地の文献に見られるようになります。多くの
地域で鷹狩は権力の象徴と捉えられ、王侯貴族の娯楽として愛好されてきまし
た。※1)

『日本書紀』には、仁徳天皇の時代に、百済王・孫酒君が訓練したタカで鷹狩
を行ったという記録があり、その後タカを調教する鷹甘部(たかかいべ)が設
置されました。古墳時代の埴輪にもタカを手に留まらせた人を象ったものが出
土しており、この時代には鷹狩が天皇の生活の一部として定着していたことが
わかります。※1)

奈良・平安時代の代々の天皇も鷹狩の愛好者が多く、嵯峨天皇は世界で2番目
に古い鷹狩の技術書『新修鷹経(ようきょう)』(818年)を編纂させています。
天皇だけでなく、一部の貴族の間でも鷹狩が許されており、歌人として名高い
大伴家持や在原業平などが鷹狩の名手として知られていました。大伴家持は武
門の出であり、在原業平も武官を務めた経歴がある人物で、貴族と言えども政
治や和歌だけにかまけていたわけではなく、文武両道であったことが伺えます。
※1)

またこの時代には無為な殺生を禁じる仏教思想が広まったために、鷹狩の規制
と緩和が繰り返されました。蝦夷平定の武功で知られる坂上田村麻呂もまた鷹
狩の名手でしたが、鷹狩の規制は、タカの飼育やタカによる狩猟で生計を立て
ていた蝦夷の生活を圧迫し、反乱の遠因となったとも言われています。※1)

平安末期以降、武士の力が強くなると尚武の象徴としてのタカの存在が強まり、
家紋にも鷹の羽紋が使われるようになります。『蒙古襲来絵詞』には、文永の
役で武功を立てた肥後の御家人、菊池武房の軍旗に「並び鷹の羽」が見られま
す。菊池氏のように、南九州の武家の家紋に鷹の羽紋が多いのは、阿蘇神社の
神紋が「違い鷹の羽」であるためです。※2)

鎌倉幕府の歴史を記す『吾妻鏡』では、神饌以外の目的で鷹狩を禁じるくだり
が何度か出てきます。これが仏教思想の影響なのか、権威の象徴としての鷹狩
を守るものなのかは不明ですが、室町時代に規制がなくなると、武勇がもては
やされた戦国時代にかけて鷹狩はますます盛んになっていきます。鷹狩好きで
有名だった徳川家康などは、今川氏の人質時代に隣家だった孕石元泰から、放
ったタカが孕石の屋敷に落とす糞や獲物のことで度々苦情を言われた怨嗟から、
のちに元泰に切腹を命じることになるのです。戦国時代はご近所付き合いも命
懸けだったのですね。※1), 3)

江戸時代には、江戸近郊に御鷹場、拳場(こぶしば)、御留場(おとめば)な
どと呼ばれる鷹場(鷹狩をする場所)が整備されます。現代に残る東京都三鷹
市の地名は、世田谷領・府中領・野方領に跨る将軍家・御三家の鷹場が集まっ
ていたことに由来すると言われています。5代将軍・綱吉の「生類憐みの令」
で一時的に鷹狩が廃止された時期もありましたが、武勇を好んだ8代将軍・吉
宗の代に復活し、御鷹場となった目黒などの農村地帯の田畑は踏み荒らされ、
農民泣かせだったと伝えられています。※4)

現代では、鷹狩の技術は鳥たちの習性を利用して空港のバードストライクの防
止や、鳥による食害の防止・糞害の防止など実利的に役立てられています。秋
から冬にかけて、各地で放鷹術(ほうようじゅつ)のデモンストレーションが
行われていますので、帝や武人たちを魅了したタカの雄姿をぜひ近くでご覧い
ただきたいと思います。

【参考サイト】
1) Wikipedia, 「鷹狩」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B7%B9%E7%8B%A9
2) Wikipedia, 「鷹の羽」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B7%B9%E3%81%AE%E7%BE%BD
3) 吾妻鏡入門第四十巻
http://adumakagami.web.fc2.com/aduma40-11.htm
4) 歴史を訪ねて 目黒の鷹狩り 1
http://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/shokai_rekishi/konnamachi/michi
/rekishi/hokubu/taka1.html


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

高千穂夜神楽まつり
[宮崎県高千穂町](11月22~23日)

高千穂地方に古くから伝承されている夜神楽三十三番。国の重要無形文化財に
指定されており、毎年11月末から翌年2月にかけて各農村で三十三番の夜神楽
を奉納し、秋の実りに対する感謝と翌年の豊穣を祈願します。夜神楽まつりで
は、夜を徹して二日間で奉納されます。

また会場となる高千穂神社と併せて、国の名勝天然記念物に指定されている高
千穂峡も見どころです。峡谷内には日本の滝100選に指定された真名井の滝を
はじめ、高千穂の魅力を十分に感じることができます。

※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/10777


,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【印伝】長財布<唐草・黒 赤漆×ゴールドパール、紫漆×ゴールドパール>

11月に入りますます寒さを感じるようになり、クローゼットの中を衣替えされ
た方も多いのではないでしょうか。お洋服とご一緒に、普段お使いのお財布も
シックで落ち着いた秋色アイテムに「衣替え」をしてみるのもいいかもしれま
せんね。

優美でクラシカルな唐草模様の【印伝】長財布はいかがでしょうか。印伝では
珍しい紫漆と人気の赤漆が黒の鹿革をシックに彩っています。伝統の印伝に華
やかさと上品さを兼ね備えた一品です。ご自分用はもちろん、ギフトとしても
ぜひご利用下さい。

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?pid=91093989


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

歌舞伎座催事:12月は、東京の「墨染」と「和小物」が出店します!

今年一年を締めくくる12月の歌舞伎座催事は、東京から雰囲気の異なる二つの
素敵なファッションアイテムのお店が出店します。

12/1-15は、シックで洗練された墨染の洋服とファッション小物の「ギルド工
房」、12/16-26は、和布を使ったほっこり可愛いバッグや数寄屋袋などの「mi
kigolon」が出店いたします。

いずれも、二つと同じもののない1点ものの作品になります。あなただけのお
気に入りに、またクリスマスギフトに、ぜひご利用ください。

詳しくは当機構ホームページで↓↓
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=132


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第101号(2016年立冬号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

かつて御鷹場の一つだった東京・汐留の浜離宮恩賜庭園では、毎年お正月に鷹
匠による放鷹術が行われているようです。私も何年か前にたまたま見たのです
が、よく訓練されたタカは、鷹匠の指示で降下し、飛び入りの見学者の腕にも
臆することなくふわりと止まっていました。また園内には、鷹場の遺構があり、
囮を使った狩りの方法の説明板も大変興味深いです。お散歩のついでに、しば
し昔日の鷹場の面影を見てみるのも楽しいものですよ。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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