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JTCOメルマガ『風物使』

2016年10月24日 配信
「木通の実に里山想う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』霜降号

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  「木通の実に里山想う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』霜降号
    vol.100 2016年10月24日発行(旧暦 9月24日・長月)

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 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
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拝啓
昼と夜の寒暖差が大きくなり始めた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょ
うか。季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ではありますが、衣服や暖かい
食べ物などで工夫しながら秋を楽しみましょう。



+‥‥+ 2016年霜降号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【食物】ご先祖様を運ぶ舟:「アケビ」
 ・季節の行事…………   胡子大祭 [広島県広島市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【東京切子】バッグハンガー
 ・JTCOからのお知らせ   TV出演・歌舞伎座催事情報
 ・編集後記



,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【食物】ご先祖様を運ぶ舟:「アケビ」

「さのかたは実にならずとも花のみに咲きて見えこそ恋のなぐさに」
(『万葉集』10-1928)
(訳: アケビのように実を結ばなくても、花を咲かせて姿だけでも見せてく
れませんか。恋の慰めに。)

「さのかたは 実になりにしを 今さらに 春雨降りて 花咲かめやも」
(『万葉集』10-1929)
(訳: アケビはもう実がなってしまいましたよ。今さら、春雨が降って花が
咲くことなんてありません。)

実りの秋には、美味しい新米、お芋や栗など、さまざまな秋の味覚が楽しめま
す。そんな中、すぐにはぱっと思い浮かばないかもしれませんが、隠れた秋の
味覚として知られているのが、山菜の一つに数えられるアケビです。

もしかすると、アケビは「つる細工」の材料としてご存知の方のほうが多いか
もしれませんね。東北の山間地では、古くから積雪期の手仕事として山ブドウ
やマタタビ、そしてアケビのつるを利用した道具が作られてきました。アケビ
の成熟したつるを採取して乾燥させ、それぞれの用途に合わせた方法で編まれ
たざるやかごは、非常に丈夫で何代にもわたって使うことができると言われて
います。※1)

冒頭の歌に詠まれているように、アケビは春雨の降る4-5月ごろ、かわいらし
い淡紫色の花を咲かせます。秋には10cm前後の、これも淡紫色の実をつけます。
この実は十分に熟すと種子を散らすためにぱっくりと二つに割れますが、これ
が食べごろのサインとなります。「アケビ」の語源は、この実が開いた様子か
ら「開け実」もしくは「あくび」から来ていると言われています。※2), 3)

たくさんの種子を含むゼリー状の果肉部分はほんのりと甘く、恰好の秋の甘味
となります。これを食べた動物や人間が種を遠くまで運んでくれるというわけ
です。まったく自然というものはうまくできているものですね。

東北や北陸では、春には「木の芽」と呼ばれるアケビの新芽をお浸しや炒め物
にし、秋にはほろ苦いアケビの実の皮を揚げ物や肉味噌詰めにして食します。
秋田では、江戸時代にアケビの種子から油を絞って高級油を生産していました。
明治の初期までは高級料亭で使用され、ごま油の5倍の価格で取引されていた
そうですが、搾油に手間がかかることから一時は生産が途絶え、平成になって
復活します。研究の結果、アケビ油は摂取しても体脂肪がつきにくいことがわ
かったそうです。漢方では、中空で空気が通ることからアケビのつるを「木
通」と呼び、利尿、鎮痛、消炎に用います。実は疲労回復の作用が、また葉や
根にも薬用成分があると言われており、まさにアケビは余すところなく利用で
きる万能植物と言えそうです。※2), 3), 4)

現在、アケビの生産量日本一の山形県では、山で拾ったアケビづるのかごが山
姥の草履だったという民話や、秋のお彼岸にご先祖様がアケビの舟に乗って帰
ってくるという言い伝えが残っており、仏壇のお供えにもアケビが使われます。
生活の道具、食生活、体調不良のときの薬など、アケビが生活に密着した山形
ならではですね。※ 3), 5)

実は北海道から九州まで、日本中に分布しているアケビですが、地域によって
はなかなか食卓に上る機会がありません。アケビの実のシーズンはそろそろ終
了になりますが、来春には新芽が楽しめますので、今年の秋に実を食べそこな
ってしまった人は、ぜひアケビを春の味覚として楽しんでください。


【参考サイト】
1) つる細工,日本伝統文化振興機構
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=311&p=7&c=15
2) Wikipedia, 「アケビ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%93
3) 果実の知識,アケビ
http://www.maruka-ishikawa.co.jp/fruits/items005/akebi.htm
4) 池本敦,「地域活性化を目指したアケビ種子抽出油脂研究会の活動」
http://www.bic-akita.or.jp/magazine/vol.300/angle.html
5) 7月18日の日本民話,やまんばと名刀
http://hukumusume.com/douwa/i/minwa/07/18.htm



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

胡子大祭
[広島県広島市](11月18~20日)

地元の方からは「えびす講」や「えべっさん」と呼ばれ親しまれている胡子大
祭。「とうかさん」「住吉祭」と並んだ広島三大祭りの1つとして知られてい
る代表的なお祭りです。1603年(慶長8年)に胡子神社がこの地に鎮座してから
今日まで、原爆被災後も一度も途切れることなく400年以上続けられています。

祭りの期間中は地元のえびす通り商店街で大売出しが行われ、街中が多くの
人々で賑わいます。商売繁盛の縁起物とされるこまざらえ(熊手)を手に持って
参拝する風景は、広島の初冬の風物詩となっています。


※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/10556



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【東京切子】バッグハンガー(バッグチャーム用チェーン付き)

外出先の喫茶店やレストランでバッグの置き場所にお困りの経験はありません
か。特にお気に入りのバッグは、形が崩れたり汚れたりしないか気になります。
床に置いたり背もたれにかけたりするのは少しためらわれますよね。

そんなとき、【東京切子】バッグハンガーをお持ちになってはいかがでしょう
か。バッグハンガーとして大活躍するだけでなく、宝石のように美しい切り子
は、素敵なバッグチャームとして装いに華やかさを添えてくれます。

実用性と美しさを兼ね備えた【東京切子】バッグハンガー。お出かけのお供に
ぜひご愛用下さい。

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?pid=86562305



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

1) トウキョウもっと!2 元気計画研究所に出演します!

伝統工芸品の未来を視聴者の皆さんと考える番組に、当機構スタッフが研究員
として出演します。

東京都議会の議員の方々、および東京都の風鈴職人の方といっしょに、東京都
の伝統工芸品産業の現状と、今後の在り方を考えます。

10/23(日)の本放送は終了しておりますが、10/29(土)14:00-15:00に再放
送がございます。すでに視聴いただいた方々からも、なかなか興味深く考えさ
せられたとご感想をいただいております。

東京エリアにお住いの方は、ぜひご覧ください。

詳しくは、番組ホームページで:
http://s.mxtv.jp/genki/

■番組名: 『トウキョウもっと!2 元気計画研究所』
■放送局: 東京エリア局 TOKYO MX (デジタル 9ch)
■司会: いとうせいこう / 一戸奈美 (敬称略)
■放送日時:
平成28年10月23日(日) 20:00~21:00 ※終了
平成28年10月29日(土) 14:00~15:00 (再放送)


2) 銀座歌舞伎座:「関西のええもん・すごいもん 職人の技」、残りあと
1週間になりました!

10月31日(月)まで、銀座歌舞伎座・木挽町広場にて、「関西のええもん・
すごいもん 職人の技」が出店しております。

おかげさまで、15日まで出店していたなにわべっ甲は、たくさんのお客さ
まにご利用いただきました。ご来店誠にありがとうございました。

毎回ご好評をいただいている、奈良の草木染、大阪唐木指物の出店も残すと
ころあと1週間となりましたので、銀座にお越しの際は、ぜひお立ち寄り下
さい。

↓↓詳しくはこちら↓↓
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=127


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第100号(2016年霜降号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今号は、『風物使』の記念すべき100号となりました。2010年の創刊より早
や6年、なかなか隔週で発行できないことも多く申し訳なく思いますが、こ
こまで続けられたのも、ひとえに読者の皆さまのご理解、ご支援の賜物と心
よりお礼を申し上げます。

200号を無事迎えるまでに、当機構の事業も益々充実させていく所存ですので、
引き続きご愛読のほど、なにとぞお願い申し上げます。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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