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JTCOメルマガ『風物使』

2016年01月31日 配信
「回る独楽に春来る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立春号

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  「回る独楽に春来る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立春号
    vol.88 2016年1月31日発行(旧暦 12月22日・師走)

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拝啓
暖冬と言われながら、寒波の到来で南の島々にも雪が降った1月。地震や津
波だけでなく、大雨や降雪にも日々備える必要性を感じつつ、立春を迎え
る準備をいたしましょう。


+‥‥+ 2016年立春号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【玩具】もとは儀式の道具でした:独楽
 ・季節の行事…………   刈和野の大綱引き [秋田県大仙市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】カードケース
 ・JTCOからのお知らせ   サンフランシスコ桜祭りで工芸品を販売!
 ・編集後記



,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【玩具】もとは儀式の道具でした: 独楽(コマ)

「たとふれば独楽(コマ)のはじける如くなり」
(高浜虚子)

(解釈: 君と私との関係は、例えるなら触れ合えば弾ける独楽のようだっ
た。心を許しあえる間柄だったからこそ、激しい衝突もあったのだ。)

早いもので2016年の1月も今日で終わりです。今年のお正月は、ご家族や友
人とどのように過ごされましたか。一昔前のお正月の遊びといえば、凧揚げ、
羽根突き、独楽回し、かるたに福笑いなどいろいろ思いつきますが、近年で
はこういった遊びを実際にする機会は少なくなっているのではないでしょう
か。今号では、その中から「独楽(こま)」について、その歴史を見て行き
ましょう。

世界最古の独楽は、古代エジプトの遺跡から発見されたもので、円錐形をし
ており紀元前2000~1400年ごろのものと考えられています。エジプトだけで
なく、インダス文明やギリシャ文明など世界中の古代遺跡からも独楽が発見
されています。南米大陸やアフリカ、太平洋の島嶼国などでもそれぞれの土
地で採れる材料を使った独楽が伝わっており、それらは伝播したものなのか、
独自に開発されたものかは不明ですが、大人も子供も独楽回しに興じてしま
うのは、どうも人間の性なのかもしれません。

日本でもっとも古い独楽は、7世紀の藤原京跡から見つかったぶちゴマ(叩
きゴマともいい、鞭のようなもので独楽を叩いて回す)で、回転軸が定まり
やすいよう、先端が細く突起した形状になっています。「コマ」という名前
が確認できるもっとも古い記述は、平安時代中期の10世紀前半に作られた辞
書、『和名抄』に見られる「古末都玖利(こまつぐり)」というもので、
「古末」は朝鮮半島から伝来したという意味で「高麗(こま)」とも書かれ
ました。「都玖利(つぐり)」とは円の意味で、これが独楽本来の名前とな
り、「ツグムリ」とも言われました。大陸から伝わったこのタイプの「古末
都玖利」には孔が開いており、回すとうなる音がする鳴りゴマであったと考
えられています。『和名抄』では、独楽は雑芸具(遊具)に分類されていま
すが、古代の日本では、独楽は多くの場合遊興のためではなく、神仏会や相
撲節義の際に吉兆を占う道具として用いられました。儀式の際には、独楽び
ょう師と呼ばれる専門の占い師が、独楽のうなる音で吉兆を占ったとも、そ
の音で悪魔祓いをしたとも言われています。

時代が下るにつれて、独楽の神儀性が薄れて行くと、宮廷から市井の人々の
間に独楽が広まっていきます。南北朝時代の『太平記』(14世紀)には、
「コマ廻シテ遊ケル童」という記述が見られ、略称である「コマ」が文献に
初出するとともに、子供の娯楽として独楽が用いられていたことがわかりま
す。

江戸時代に入ると、独楽の種類や遊び方は一気に多様化します。17世紀後半
には、丸木を八角や六角に削って文字や絵柄を描いた、「八方独楽」が流行
します。これは元々中国から入ってきたもので、独楽回しよりも、双六の際
にサイコロと同じ目的で使われました。回転を愉しむ目的では、博多独楽が
秀逸でした。博多独楽は鉄心で丈が高く回転が安定しているため、回し方が
簡単で回転時間が長く、手のひら、棒の先、ピンと張った紐の上など、どこ
でもよく回ります。江戸時代には、博多独楽遊びが流行った場所の風紀上の
理由から禁止令が出されてしまいますが、様々な趣向を凝らした「曲独楽
(曲芸)」として、現代まで伝統芸能として伝えられています。

筑前博多独楽(福岡県無形文化財)
https://youtu.be/TejMP0Z5R1w
(※音声が出ます)

遊び方の多様化だけではなく、江戸時代には日本各地でその土地に根差した
独楽や独楽遊びが数多く開発され、日本が「独楽の宝庫」と称される所以と
なります。雪深い東北地方では、固めた雪の上で回す「ずぐり独楽」、関東
地方では、独楽の回転により人形が動くからくりが仕込まれた「江戸独楽」
が作られます。江戸独楽は洒脱な形と華やかな色使いで見た目にも美しく、
ルーブル美術館にも収蔵され高く評価されています。西日本では回すと
「ブーン」という甲高い音が鳴る、古代の独楽の形をとどめた「竹鳴り独
楽」、九州地方では相手の独楽を叩き壊す鋭い鉄心を持つ勇壮な「けんか独
楽」や、紐を使って空中で回す、大陸の影響の色濃い「ちょんがけ独楽」な
どが愉しまれました。


【青森の魅力】雪上に独楽、津軽ずぐり回し - 黒石市 全日本ずぐり回し
選手権大会
https://youtu.be/o_mG1-phsvg
(※音声が出ます)

肥後ちょんかけごま 実演 熊本城にて(熊本市指定無形文化財)
https://youtu.be/-fhzP0dEFLk
(※音声が出ます)

独楽が長く元気に回り続ける姿は新春の縁起物として好まれ、お正月の遊び
として定着するようになりました。冒頭の歌は、俳人高浜虚子が竹馬の友で
あるも、同じ俳人としては不倶戴天の間柄であった河東碧梧桐(かわひがし
 へきごとう)の死を悼んで詠んだ句です。心を許し合えるからこそ、近づ
きすぎるとふたつの独楽のように衝突する。お正月に独楽回しで楽しんだ方
もそうでない方も、時には近しい間柄の人と独楽回しに興じる時間を持てる
と良いですね。


参考サイト:
Wikipedia 独楽
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E6%A5%BD

日本の独楽&世界の独楽
http://www.tokorozawa.saitama.med.or.jp/machida/index.html

日本玩具博物館
http://www.japan-toy-museum.org/


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

刈和野の大綱引き
[秋田県大仙市](2月10日)

国の重要無形民俗文化財にも指定されている刈和野の大綱引きは、上町(二
日町)、下町(五日町)と町を二分し、太さ2.2mの大きさの綱を引き合う伝
統行事です。

引き合いに使われる大綱は、長さが雄綱64m(42尋)雌綱約50m(33尋)重さ
各々10トンにもなり国内最大級です。左右に振られる提灯と「ジョウヤサ
ノー」の掛け声がある種のリズムを奏でています。

室町時代から500年以上の歴史をもっており、上町が勝つと米の値段が上が
り、下町が勝つと豊作になると伝えられています。


※秋田県大仙市ホームページより引用
http://www.city.daisen.akita.jp/docs/2013110800314/



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【姫革・白なめし革】カードケース
http://wayouen.jp/?mode=cate&cbid=1691745&csid=0

今年こそは金運がアップしますように…。
新年を迎え、このようなお願い事をしながらお財布の整理整頓をする方もい
らっしゃるのではないでしょうか。

あっという間に気が付けばたまってしまうカード類。そんなカード類をまと
めてくれるお財布の心強い味方、【姫革・白なめし革】カードケースをお使
いにってはいかがですか?

10枚のカードを収納でき、少し大きめのカードや伝票などを入れられるスラ
イドポケットも付いております。姫革の柔らかく軽い素材でカバンの中でも
かさばることはありません。

カバンをのぞけば、無駄な物が入っていないスリムなお財布ときれいにまと
まったカードケース。金運アップはもちろんですが、気分も上がることでし
ょう。

詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
サンフランシスコ・桜祭りで伝統工芸品を販売!

かねてよりお知らせしておりましたとおり、日本出版貿易株式会社さまとの
協業にて、4月9日(土)・10日(日)および16日(土)・17日(日)の二週
間に渡って開催されるサンフランシスコ桜祭りにて、伝統工芸品の展示販売
を行います。

2月29日(金)に、出品に関する説明会を東京・虎ノ門にて行いますので、
ご案内をご希望の方は、JTCOまでお問い合わせくださいませ。

お問い合わせフォーム:
https://www.ssl-im2.com/jtco/contact-us.html



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第88号(2016年立春号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

1月は奄美大島で115年ぶりに降雪が観測されるなど、まさに大寒にふさわし
い気候になりました。ここ100万年の地球の歴史を振り返ると、温暖な時期
と氷河期が10万年周期で繰り返しているとのこと。惑星の悠久の営みの中で
は、気候の変動など微々たるものなのかも知れません。その一瞬を生きる私
たちは、その営みに抗わず、備えを怠らずにいたいですね。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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