NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
日本語 | English
JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization
メルマガ一覧
 2021年
 2019年
 2018年
 2017年
 2016年
 2015年
 2014年
 2013年
 2012年
 2011年
 2010年

JTCOメルマガ『風物使』

2015年05月19日 配信
「邪気除けの香り立つ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』穀雨・立夏号

:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜

 「邪気除けの香り立つ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』穀雨・立夏号
    vol.80 2015年5月19日発行(旧暦 4月2日・卯月)

*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜


┏‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓
 このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
 ジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただ
 いている個人/団体/法人様にお送りしています。
┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┛

拝啓
すっかり初夏の陽気となり、季節の移り変わりの早さには驚きます。5月は旧
暦では皐月と呼ばれるように、田植えの時期です。水田が一面に広がる風景を
早く眺めたいものですね。

+‥‥+ 2015年 穀雨・立夏号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【植物】邪気を払う:菖蒲       
 ・季節の行事…………   御神火祭(殺生石) [栃木県那須町]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】扇子ケース
 ・JTCOからのお知らせ   1.父の日特集開催中!
2.和遊苑がロンドンJP BOOKS店舗にデビュー!
3.文化コラムを追加しました
4.カラミーショップ大賞投票のお礼 
・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【植物】邪気を払う:菖蒲 

節は、五月にしく月はなし。菖蒲(しょうぶ)、蓬(よもぎ)などのかをりあ
ひたる、いみじうをかし。
(清少納言『枕草子』)

(訳:節は、5月に勝る月はない。菖蒲や蓬などの香りがとても素晴らし
い。)

菖蒲は、水辺に生える、サトイモ科の常緑多年生植物です。根茎や葉に芳香が
あり、葉が剣状で、初夏に黄緑色の小花が円柱状の穂になって咲きます。同じ
菖蒲という名前でも、大きな花をつけるものはアヤメ科のものです。

平安京の貴族たちの間では端午の節会に、天皇、群臣ともに菖蒲かずらを冠に
つけ、菖蒲や蓬など季節の草花を使って作った薬玉を身に帯びたり柱にかけた
りする風習がありました。端午の節供は、「菖蒲の節供」といわれるほど、菖
蒲が重要な役割を担っていました。菖蒲の強い香りが、邪気を払ってくれると
信じられてきたからです。(*1)

「菖蒲の節供」で使われる薬玉は、菖蒲や蓬などの薬草を丸く編んだものです。
別名「続命縷(しょくめいる)」とも呼ばれ、中国から邪気を払い寿命を延ば
す縁起物として伝わってきました。薬玉を貴族同士で互いに贈りあい、ひじに
かけたり、御帳台(みちょうだい)や母屋(もや)の柱に付けたりする風習が
あり、その様子が『源氏物語』の「蛍」の巻にも記載されています。柱に付け
た薬玉は九月九日の「重陽(ちょうよう)の節供(せっく)」までそのままに
され、その日に茱萸袋(ぐみぶくろ)や菊瓶に取りかえられるのが平安時代の
後宮で行われていたと言われています。(*1)

近世以来、農村社会でも、菖蒲を使う風習が定着してきました。菖蒲や蓬を屋
根に挿し、菖蒲湯に入り、菖蒲の腹巻をして、菖蒲湯を飲み、粽や柏餅を食べ
るなどすることで、邪気を祓うと信じられてきました。また、菖蒲を使うこと
は湿気やカビ防止などに役立つなど、生活にも欠かせないものでした(*2)

雨に恵まれる旧暦5月は田植えの季節でもあり、「五月忌み(さつきいみ)」
や「忌みごもり(いみごもり)」といって種苗を田に植える早乙女達の体の精
進潔斎の習俗が伝えられてきました。近松門左衛門の『女殺油地獄』に、「五
月五日の一夜さを 女の家といふぞかし」とあるように、田植えが始まる前の
晩には早乙女(さおとめ)と呼ばれる若い娘達が、菖蒲や蓬で屋根を葺いた仮
小屋や神社などにこもって菖蒲酒を飲み、田の神様(稲の神様)のために穢れ
を祓い、神聖な存在になってから田植えに臨むようになったと言われています。
この風習は昭和三十年代まで日本の各地に伝えられていたのだそうです。(*2)

旧暦の五月五日は、元々はこのように女性のための行事でありましたが、鎌倉
~江戸時代に入ると武士の間で「菖蒲」が武を尚(たっとぶ)「尚武」や「勝
負」に通じたり、葉の形が刀に似ていることから兜に菖蒲を飾ったりすること
で、徐々に男の子のお祭りに変わっていきました。そして江戸幕府によって五
節供のひとつと定められたことで、男の子の成長と立身出世を願う行事として
定着することになったのです。(*3)

時代を経ても、日本人の生活に欠かすことのできない菖蒲。効能としては、食
欲増進や疲労回復、解毒作用にも効果があるそうです。葉の部分からは穢れを
祓うと言われるさわやかな香りでセラピー効果も期待でき、根の部分には精油
成分が多く含まれているため保湿効果や血行促進にも効果があると言われてい
ます。葉や根を刻んだ菖蒲湯など、旬の今の時期に重宝したいものです。

<参考文献>
*1風俗博物館, 皐月(五月), http://www.iz2.or.jp/rokushiki/5.html
*2 新谷尚紀. 日本人の春夏秋冬‐季節の行事と祝いごと, 1版. 東京都, 小
学館, 2007, p.72-73. (ISBN 978-4-09-387740-4)
*3ホテル龍名館お茶の水本店, 端午の節供|こどもの日,
http://www.ryumeikan-honten.jp/blog-may5.html


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

御神火祭(殺生石)
[栃木県那須町] (5月24日・日曜日)

顔は真っ白で9本の尾をもち、子牛ほども大きく、全身が黄金色の妖狐があり
とあらゆる悪行を働いていたが、那須で退治されたという「九尾の狐伝説」。
この伝説の狐に扮して、九尾太鼓の演奏を行う。大松明に浮かび上がる白面金
毛九尾の狐の姿は妖艶だ。

るるぶ.com 御神火祭(殺生石)より引用
http://www.rurubu.com/event/detail.aspx?ID=12582
※PCサイト


,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

初夏の蒸し暑さも吹き飛びます

【姫革・白なめし革】 扇子ケース
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=85

すっかり初夏の暑さとなって参りましたが、この時期に大変人気なのが、【姫
革・白なめし革】 扇子ケースです。蒸し暑い時期でも、お気に入りの扇子を
傷めずに持ち歩きが出来ます。 姫革・白なめし革の白い美しさが、夏の暑さ
をやわらげてくれることでしょう。

蓋付き、蓋無しのご用意がございますので、お好みのものをお選びください。


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

1.父の日特集開催中!

和遊苑   :http://wayouen.jp/
特集ページ :http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=578411

当機構のオンラインショップ『和遊苑』にて父の日特集を開催中です。
いつもの感謝を本物の伝統工芸に託して贈りませんか?
和のラッピングでは、商品に合わせた色柄をセレクトしてお包みいたします。


2.和遊苑が、ロンドンJP BOOKS店舗様にデビュー!

『和遊苑』取り扱い商品が、4月下旬より、ロンドンの中心部ピカデリーサー
カスにあるJP BOOKS店舗様にデビューしました!

ロンドンで日本に触れたくなったときには、ぜひこちらにお立ち寄りください。

現地の写真はこちら
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=79


3.文化コラムを追加しました!

先日、当機構の紹介記事作成の関係で、とある伝統工芸品を作成していらっし
ゃる団体さまとお話をさせていただく機会がございました。その際、伝統工芸
品の現状に関する、とても貴重なお話を伺うことができました。

伝統を「うけつぐ」という意味
http://www.jtco.or.jp/readings/column/index.html?act=detail&id=68


4.カラミーショップ大賞投票のお礼

カラミーショップ大賞への投票、誠に有難うございました。
当機構のオンラインショップ和遊苑では、47票の投票数を皆様から頂戴いたし
ました。
結果は、残念ながら今回は賞を逃してしまったのですが、皆様からの暖かいご
支援を頂き、とても感動いたしました。

今後は、さらに商品数やコンテンツなどを増やし、皆様に長くお付き合いいた
だける店舗造りを目指して参りますので、今後とも暖かい目で見守っていただ
けましたら幸いでございます。


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第80号(2015年 穀雨・立夏号)を最後までお読みくださったみな
さま、誠にありがとうございました。

今号は、配信に大変お待たせいたしまして、申し訳ございませんでした。
先月配信させていただいた頃とはすっかり天気が様変わりして、都内では初夏
の陽気に包まれています。今月で2015年の上半期が終わり、来月からは下半期
に入ります。時間の流れが過ぎるのがとても早く感じます。一日一日を大切に
生きていきたいものですね。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

▼配信先の変更・メールマガジンの解除

JTCOサイトからお申し込みいただいた方:
https://www.ssl-im2.com/jtco/magazine/

メルマガ配信サービスからお申し込みいただいた方:
☆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0001175473.html
☆メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_187367/
☆メルモ(携帯用ダイジェスト版)
http://merumo.ne.jp/00581395.html

▼バックナンバーはこちら(PC用)
http://www.jtco.or.jp/pages/magazine.html

▼ご意見ご感想はこちらまで(PC用)
https://www.ssl-im2.com/jtco/inquiry/

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/
編集責任者: 小坂 典子

※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

Copyright(C) 特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
All rights reserved.