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JTCOメルマガ『風物使』

2014年06月24日 配信
「蓮の香気に心澄む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号

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 「蓮の香気に心澄む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号
    vol.67 2014年06月24日発行(旧暦 5月27日・皐月)

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拝啓
サッカーW杯のリーグ戦も佳境となり、寝不足の方も多いと思われる今日この
頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
梅雨も本番となり、雨の日と暑い日が交互に訪れるなか、体調管理には十分注
意を払ってください。


+‥‥+ 2014年夏至号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 【草花】逆境から美しく咲く:ハス
 ・季節の行事………… 愛染祭り[大阪府大阪市]
 ・JTCOからのお知らせ 工芸品館に記事を追加しました!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【草花】逆境から美しく咲く:ハス

「はちす咲くあたりの風のかほりあひて 心のみづを澄す池かな」
(藤原定家)

(訳: 蓮の花が咲く池の風に乗って、あたりに蓮の香気が漂っている。私の
心まで澄んでいくようだ。)

どなたでも、公園の池などで一度は見たことがあるであろう、ハスの花。よく
似たスイレン(睡蓮)とともに「蓮華(れんげ)」と呼ばれ、仏教を象徴する
花です。如来像や菩薩像が鎮座する台座には蓮華を象ったものが多く見られま
すね。なぜ、ハスの花は仏様と深いつながりがあるのでしょうか。

ハスの花はインド周辺が原産地で、地域や品種によりさまざまな色や花姿が見
られます。インド、スリランカ、ベトナムではハスの花が国花となっており、
仏教だけでなく国や国民の象徴としても大切にされていることがわかります。

ハスの花が咲く環境を思い起こしていただくと、流れのある清流では見ること
はありませんね。池でも澄んだきれいな水では小さな花しか咲きません。ハス
が大輪の美しい花を咲かせるためには、淀んだ泥水が必要なのです。悪環境で
あればあるほど清らかな美しい花を咲かせるハス見た古代の人々は、この花に
聖性を感じ、神仏の象徴としました。

仏教では、このようなハスの特性を「泥中の蓮華」として、仏の智慧や慈悲、
娑婆や煩悩の中から得る「悟り」の象徴としています。泥からこそ養分を得て
凛と咲くハスの花以上に、煩悩が渦巻く世に染まることなく、むしろそれを包
み込み、理想の境地へと昇華させていく生き様を表現する花はなかったのでし
ょう。

このようにアジア南部で敬愛されてきたハスは、日本には2000年以上前に中国
から伝えられたと考えられています。冒頭の歌にあるように、古くは花托(か
たく、花をつける台)が蜂の巣に似ていることから、「蜂巣(はちす)」と呼
ばれました。仏教伝来が6世紀半ばごろとされていますから、ハスの伝来はそ
れより前となり、古くから日本の池ではなじみ深い花であったことが考えられ
ます。

ハスは花姿やさわやかな香気を楽しむだけでなく、アジア地域では種子、芽、
茎、花、そしてシャキシャキとした歯ざわりでおなじみの地下茎(レンコン)
全てが食用や薬用として利用されます。葉には水を玉のようにはじく性質があ
り、茎が中空となっているため、酒やハス茶を葉に注いで茎から飲む、「象鼻
杯」という習慣もあります。

食用や薬用としてハスが日本人の生活に定着する一方で、日本での仏教の発展
とともに、「一蓮托生」という言葉も生まれました。これは仏典にはない、日
本の浄土思想から来たもので、死後同じ蓮華の上に生まれ変わるという意味か
ら転じて、どのような状況でも行動や運命をともにするという意味で使われる
ようになりました。

ハスの花季は種類によっても異なりますが、6月~7月ごろが見ごろとなります。
埼玉県行田市や千葉県千葉市には、「古代蓮の里」があり、今の時期には午前
中の早い時間に白とピンクの清楚なハスの花を楽しむことができます。ここで
咲くハスの花は、いずれも2000年以上前の地層から発掘された種子から育てた
もので、その生命力は東洋的な輪廻の思想と重なるものがあります。

世にあって世に染まらず、力強く生き続ける。夏の朝、池一面に咲いたハスの
花を眺めたとき、あなたの心に何か感じるものがあるかもしれません。


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

愛染祭り
[大阪府大阪市](6月30日~7月2日)

593年に聖徳太子が始めた日本最古の夏祭りと言われています。宝永年間に芸
妓がかごに乗って愛染祭りに訪れたのを再現した「宝恵駕籠パレード」に始ま
る数々のイベント、「夏越(なご)しの祓えの大法要」やご本尊のご開帳など、
現代的なイベントと歴史ある行事がミックスされたにぎやかなお祭りです。

愛染祭りサイト(愛染堂勝鬘院)
http://www.aizendo.com/festival.htm


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

工芸品館に記事を追加しました!

しばらくコンテンツアップをお休みしておりました伝統工芸品館に、新しい工
芸品が5件掲載されました。価値ある伝統工芸品データベースとなるべく、ス
タッフ一同努力してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたしま
す。

出石焼
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=196&p=28&c=2

小千谷縮
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=197&p=15&c=16

小千谷紬
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=198&p=15&c=16

京繍
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=199&p=26&c=15

京くみひも
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=200&p=26&c=15


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第67号(2014年夏至号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

ブラジルW杯では、日本のサポーター恒例となった試合後のお掃除が世界的に
賞賛されています。時間を守る、落し物を届ける、場所を清潔に使うなど、日
本人として当然と思っている振る舞いが海外では高く評価されることは案外多
いのです。

議会の品性を疑うような野次など、日本の一部の当たり前が世界で笑いものに
なっていることも事実ですが、私たちの国の常識を客観視しながら、よき伝統
はこれからもずっと受け継いで行きたいものです。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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