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JTCOメルマガ『風物使』

2014年04月14日 配信
「雀の子に春盛る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』清明号

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 「雀の子に春盛る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』清明号
    vol.65 2014年04月14日発行(旧暦 3月15日・弥生)

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拝啓
桜前線がそろそろ本州の北端に達しつつある今日この頃、皆さまいかがお過ご
しでしょうか。朝晩はまだ冷える日も多いので、外出の際は1枚多めに持って
出かけましょう。

+‥‥+ 2014年清明号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 【生物】予言者とも呼ばれる鳥:『雀』
 ・季節の行事………… 古川祭 [岐阜県飛騨市古川町]
 ・JTCOからのお知らせ 和遊苑が、日本パリ文化会館にデビューします!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【生物】予言者とも呼ばれる鳥:『雀』

「ねやの上に雀の声ぞすだくなる 出で立ちがたに子やなりぬらむ」
(曾祢好忠 『好忠集』 毎月集 春・三月中)

(訳: 寝屋の上で、雀たちのさえずりが賑やかになってきた。子雀たちが巣
立ちする頃になったのだろう。)

一年中、私たちの身近で夜明けを知らせてくれたり、愛らしい姿で心を和ませ
てくれるスズメ。春から夏にかけては、スズメたちの子育てのシーズンです。

スズメの「スズ(古くはスス)」とは、古代にその鳴き声が「シウシウ(チウ
チウ)」と表されていたことや、小さいことを表す「ササ(細小)」に由来し
ていると考えられています。「メ」とは、ツバメやカモメと同じく、鳥を表す
接尾語です。

一年を通して身近な鳥として親しまれてきたためか、ウグイスやガン(雁)の
ように季節感のある歌に詠われることは少ないスズメですが、古典文学では冒
頭の歌のように何気ない生活の一こまに表現されることが常のようです。

この時期、家屋の軒先の巣から落ちてきた子スズメを保護することは昔からあ
ったようで、『枕草子』では、「うつくしきもの」として「雀の子の、ねず鳴
きするに踊り来る(雀の子が、人がチュチュっとネズミの鳴きまねをするとぴ
ょんぴょんと跳んでやって来る)」とありますし、『源氏物語』の源氏と紫の
上の出会いの場面で、上が可愛がっていた子スズメを逃がしてしまって泣いて
いるくだりは有名ですね。近年では、巣から落ちた子スズメは親鳥が近くにい
るかも知れないので保護はしないようにと呼びかけられていますが、愛らしい
子スズメを助けてあげたいと思うのは今も昔も人情なのでしょう。

身近な鳥だけあって、「雀」を用いたことわざはたくさんあります。その意味
するところは、「雀の涙」に代表される「少ない」「小さい」「取るに足らな
い」というものから、「雀の子に針」「雀の脛から血を絞る」など、弱者とし
ての例えや、噂に詳しい人を「江戸雀(または京雀)」、賑やかでうるさいこ
とを「雀の酒盛り」など、日常的に人々が見ているスズメの印象や習性が反映
されています。

さえずりの賑やかさは否定的に見られる反面、四国や和歌山地方では、スズメ
のことを「イタコ(巫女)と同じように予言する小鳥」という意味で、「イタ
クラ」と呼ばれます。讃岐の佐伯氏はさえずりを「さえ」にかけて雀紋を家紋
にしています。讃岐の寺に三羽雀紋が多いのは、弘法大師(空海、774-835年。
幼名は佐伯真魚)が佐伯氏の出身であることにあやかったものなのだそうです。

北陸と東北を支配した上杉氏と伊達氏の家紋もまた、「竹に雀」です。スズメ
は厄をついばむ鳥とされ、仲良く群れるさまから、一族繁栄や家内安全の象徴
でした。「舌切り雀」にもあるように、スズメのお宿が竹やぶの中にあるとさ
れているのは、スズメは夕方になると群れて竹やぶのねぐらに帰るためです。
そうした習性から、瑞鳥であるスズメと、しっかりと地に根を張り目覚しい生
命力を示す竹が結びつき、さらに一族が繁栄するようにとの願いを込めて作ら
れたのがこの家紋なのです。

このように、縁起の良い鳥とされながらも、収穫量が少なかった昔、スズメは
五穀を食い荒らす害鳥とされてきたことも事実です。豊穣の神が祀られる京都
の伏見稲荷大社の名物には、スズメを退治するという意味で「スズメの丸焼
き」があります。しかしながら、スズメは田畑の雑草類の種子を食べたり、子
育て期間中に天文学的な数の虫を捕らえてヒナの餌にするため、必ずしも害鳥
ではないという調査結果もあります。

海外では、こんな話があります。プロシアのフリードリヒ大王が好物のサクラ
ンボをスズメの食害から守るため、2年にわたり何十万羽というスズメを捕ら
えたところ、毛虫が大発生してサクラの木が丸裸にされてしまいました。また
戦後の中国でも、収穫増のために害鳥であるスズメを退治したところ、その後
まもなく凶作に見舞われたのだそうです。おいしい果物や穀物は、決して人間
のためだけに作られたのではないのですね。

近年、水田の落穂が減り、ねぐらや営巣に使っていた竹林や民家の軒下が少な
くなったからなのか、スズメの数が激減しているという報告があります。さわ
やかな朝に欠かせない、ピチュピチュというスズメたちのさえずりが失われな
いよう、私たちの生活の快適さだけでなく、スズメたちにとっても住みやすく、
安心して子育てができる環境を残して行きたいものです。



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

古川祭
[岐阜県飛騨市古川町](4月19・20日)

日本三大裸祭りの一つに数えられるお祭りで、18世紀から受け継がれて来たと
言われる気多若宮神社の例祭です。勇壮な「起し太鼓」、豪華絢爛な「屋台行
列」などが春の夜を盛り上げます。

飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」
http://www.hida-kankou.jp/event/15/article/


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『和遊苑』取り扱い商品が、日本パリ文化会館にデビューします!

昨年、パリのジャパンエキスポで好評を博した姫革細工や箱根寄木細工が、
4月下旬よりエッフェル塔近くの日本パリ文化会館で販売されます。

訪れるほとんどがパリジャン、パリジェンヌという会館では、日本文化を紹介
する四季折々の催しが開かれています。パリ観光の合間にちょっと立ち寄って
みたいですね。

パリ日本文化会館ホームページ(日本語)
http://www.mcjp.fr/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/

『和遊苑』オンラインショップでも好評発売中!
http://wayouen.jp/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第65号(2014年清明号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

幼いころ、河原でうずくまっていたスズメの子を保護したことがあります。
でも、家に連れて帰って鳥かごに入れるとひどく暴れてえさも食べず、かわい
そうなことに数日後に死んでしまいました。この子にはそばに親鳥がいたのか
もしれない、ととても後悔しました。

最近では、こんなサイトもありますので、身の回りでスズメの子を見つけたら
何をしてあげられそうか、ぜひのぞいてみてください。

スズメSOS
http://www.geocities.jp/suzumesos/



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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
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