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JTCO日本伝統文化振興機構
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JTCOメルマガ『風物使』

2013年10月28日 配信
「霜が降り気が冴える」~ 季節の使い・JTCO『風物使』霜降号

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  「霜が降り気が冴える」~ 季節の使い・JTCO『風物使』霜降号
    vol.62 2013年10月28日発行(旧暦 9月24日・長月)

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拝啓
10月に入っても地方によっては真夏日や台風に見舞われる今日この頃、皆さま
いかがお過ごしでしょうか。天気予報は欠かさずチェックして、急な天候の変
化への備えを怠らないようにしましょう。


+‥‥+ 2013年霜降号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 【気象】秋本番を告げる:『霜』
 ・季節の行事………… 弥太郎どん[宮崎県山之口町]
 ・JTCOからのお知らせ 新歌舞伎座の「和遊苑」もうすぐ千秋楽!
 ・編集後記

,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【気象】秋本番を告げる:『霜』

「夜を寒み置く初霜をはらひつつ 草の枕にあまた旅寝ぬ」
(凡河内躬恒『古今和歌集』巻9)

(訳:夜が寒いので草花に降りた初霜を払いながら、旅の空の下、何度も寝る
ことであるよ。)

霜降の初侯は「霜始降(しも はじめて ふる)」で、この時期になると朝晩の
空気がぴんと張り詰めるようになり、野山や庭先の草花にも霜が降り始めます。

日本語には「雨」や「雪」に関する多くの表現がありますが、「霜」にもさま
ざまな表現があります。冒頭の歌のように、ちょうど今頃の「初霜」に始まり、
八十八夜(立春から数えて88日目、5月2日頃)のころ、晩春に降りる最後の霜
は「忘れ霜」「別れ霜」といいます。「朝霜」は消えやすいことから「消
(け)」の枕詞としてはかなさを表現します。「霜朽ち」とはあかぎれ、しも
やけ、ひび割れのことで、「霜枯る」とは霜にあたって草木が枯れること、
「霜冴ゆる」とは霜がいっそう寒さを冴え渡らせるさまを表します。「霜を交
える」とは頭髪に白髪が混じることで、霜が表現する物悲しさに、去り行く若
い日々への惜別が込められた美しい表現です。

源氏物語の第30帖『藤袴』は、ちょうど今ごろの時期が舞台となっており、初
霜がほの白く降りる深まる秋の風景の中に、美しい玉蔓と求婚者の兵部卿の宮
との間で、「霜」を題材にした男女の妙味あるやりとりが交わされます。

「朝日さす光を見ても玉笹の 葉分けの霜を消たずもあらなむ」
(訳:朝日さす帝の御寵愛を受けられたとしても、葉に降りた霜のようにはか
ないわたしのことを忘れないでください)

兵部卿の宮が手紙につけたのは、霜がついたままの枯れた笹の葉でした。

玉蔓は、自身を葵の葉に見立てて宮の気持ちを感じていることを伝えます。

「心もて光に向かふ葵だに 朝おく霜をおのれやは消つ」
(訳:自分から光に向かう葵でさえ、朝置いた霜をどうして自分から消しまし
ょうか)

都では優美な恋のツールとして使われた霜も、農村では作物に害を与えるもの
として恐れられていました。水が自由に確保できなかった昔の田植えは梅雨時
に行われたため、収穫は今よりも遅く、早霜は心配の種でした。

熊本県阿蘇氏の役犬原(やくいんばる)には、霜宮というお宮があり、ここで
は毎年「火焚き神事」という霜除けのお祭りがあり、8月中旬から10月中旬ま
での56日間、火を焚き続けます。

昔、建磐龍命(タテイワタツノミコト)という神様が山に腰をかけて弓の稽古
をしていましたが、矢を拾っていた鬼八という家来が100本目に飽きてしまい、
矢を命に蹴り返しました。怒った命が鬼八を斬りつけると、鬼八は命を恨んで
「天に昇ったら霜を降らせて五穀に害を与えよう。」と言って死んでいきます。
以降毎年、その地は早霜に悩まされるようになり、困った命は鬼八に神として
祀ることを約束して許しを請います。鬼八が「斬られた首が痛むから暖めてほ
しい」と言うので、命は霜宮を建てて火焚き神事を始めたということです。

そろそろ冬支度を始めるころに出会う霜、あなたは今年の初霜にどこで出会え
るでしょうか。家の窓や植え込みの草木、踏みしめた土。早朝の蒼い空気の中
に、寒さや冷たさ以上の何かを感じられるとよいですね。


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

弥太郎どん
[宮崎県山之口町](11月3日)

弥五郎どんは宮崎と鹿児島に伝わる巨人伝説の主人公で、「山に腰掛けて海で
顔を洗った」、「足跡が谷や池になった」などの逸話が残されています。
毎年11月3日に開催される山之口町の弥五郎どん祭りの浜殿下り(御神幸行
列)では、身の丈4mの弥五郎どんが四輪台車にまたがって練り歩きます。

http://www.jtco.or.jp/japanese-culture/?act=detail&id=12&p=0&c=9


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

新歌舞伎座の『和遊苑』もうすぐ千秋楽!

10月1日から新歌舞伎座の地下2階、木挽町広場で伝統工芸品をご紹介してきた
『和遊苑』の実店舗も、もうすぐ千秋楽を迎えます。これまでたくさんの方々
にお越しいただきましたこと、深くお礼申し上げます。

どの商品もとても美しいとご好評をいただき、特にオンラインショップでも人
気の姫革は、店頭に出るとすぐに売り切れてしまうほどの人気でした。品切れ
でご希望の商品をお買い上げいただけなかったお客さまには深くお詫び申し上
げます。

商品を手にニコニコしてお帰りになるお客さまの姿に、伝統工芸品のすばらし
さをお伝えしたいと店頭に立つスタッフ一同、とても励みになりました。31日
の最終日まであと数日となりましたが、ぜひお越しくださいませ。

新歌舞伎座 木挽町広場地図
http://www.kabuki-za.co.jp/guide/
地下鉄3番出口直結

オンラインショップ『和遊苑』
http://wayouen.jp/

お客さまへ:
実店舗と在庫を共有しているため、オンラインショップで多くの商品が在庫切
れとなっており、大変申し訳ございません。
10月末~11月上旬にかけて、順次入庫してまいりますので、恐れ入りますが今
しばらくお待ちくださいませ。


,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第62号(2013年霜降号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

幼いころ、冬の朝の通学時に土の上を歩くと足元でシャリシャリと音を立て
る霜の感触を楽しんだものです。最近では多くの道路が舗装され、そんな感
覚を知らない子供たちも多いのかも知れません。少々不便でも、自然の現象
を体験する機会を残しておいてほしいものですね。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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