JTCOメルマガ『風物使』
2013年08月23日 配信「流るる汗綿布で拭う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』処暑号
*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜
「流るる汗綿布で拭う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』処暑号
vol.60 2013年08月23日発行(旧暦 7月17日・文月)
*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜
┏‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓
このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
ジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただ
いている個人/団体/法人様にお送りしています。
┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┛
拝啓
秋に向かう中、時折涼しい日も訪れるようになった今日この頃、皆さまいかが
お過ごしでしょうか。もはや日本の風物詩ともなったゲリラ豪雨に備えて、雨
具やタオルなどを携帯したいものです。
+‥‥+ 2013年処暑号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
・今号のテーマ……… かつては高級品でした:『木綿』
・季節の行事………… 臼杵石仏火祭り [大分県臼杵市]
・JTCOからのお知らせ まだまだ暑い!夏におススメの商品特集
・編集後記
,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…
【生活】かつては高級品でした:『木綿』
「敷島の やまと(大和)にあらぬ 唐人(からびと)の 植ゑにし綿の 種は絶
えにき」
(衣笠大臣、鎌倉時代)
(訳: 外国から日本に来た人が植えていった綿は、今ではすっかり種が絶え
てしまったよ。)
二十四節気、処暑の初候は「綿柎開(めんぷ ひらく) : 綿を包む咢(がく)が
開く」です。夏服の素材としては、シャリ感があり湿気を良く通す麻も人気で
すが、現代では麻よりも安価で扱いやすい綿は、衣料だけなく生活のあらゆる
場面でなくてはならないものになっています。
しかしながら、綿布が日本で普及し始めたのは意外にも江戸時代以降のことで、
それ以前は中国や朝鮮からの輸入に頼る高級品でした。庶民は麻や葛(くず)、
山藤、山桑などの野生樹木の繊維を布として利用しており、絹は主に貴人への
献上用でした。
日本に初めて綿の種が渡ってきたのは、平安時代初期の799年で、三河(今の
愛知県)に船で漂着したインド系の崑崙(こんろん)人の若者が伝えたとされ
ています。この崑崙人は、その後日本に住み着き、北は越中国(富山)から南
は太宰府(福岡)まで、日本全国で綿の栽培を試みました。この種は高温地に
適していたようで、中でも一番よくできたのは大宰府でした。栽培はその後12
0年あまり続いたようですが、もともと日本の気候には合わなかったのか、上
記の歌が詠まれた鎌倉時代にはすっかり絶えてしまっていたことが伺えます。
若者が漂着した地は天竺(インドの旧名)と改称され、その後天竹となったと
いいます。愛知県西尾市には、この若者を綿の神(新波陀神=にいはたがみ)
として祀る天竹神社(てんじくじんじゃ)があり、毎年10月の最終日曜日に行
われる棉祖祭(めんそさい)では、船で漂着したことにちなんで船みこしが担
がれ、古式の道具を使った棉打ちの儀式が行なわれます。
室町時代に編纂された「七十一番歌合」(職人を題材にした歌合せ)には、職
業としての「綿売り」が登場しますが、木綿の栽培が普及するまでは、綿とい
えば蚕の繭を伸ばして作った「真綿」のことを指していました。綿布は中国や
朝鮮からの輸入物で、武士たちの衣料、船の帆布、火縄銃の縄などに使用され、
庶民には手の届かないものでした。
その後、綿の種が再伝来した時期や方法には諸説ありますが、中国や朝鮮、ま
たはポルトガルからもたらされた種をもとに、戦国時代の初め頃(15世紀後
半)には木綿栽培が広がり始め、16世紀の後半には木綿が庶民の衣料用として
利用されるようになったようです。
江戸時代になると、近畿地方、瀬戸内地方を中心に木綿栽培と綿業(綿紡績・
綿織物)が発展し、庶民が絹織物を禁じられたことから、木綿は一般的な衣料
素材となっていきました。
明治時代には綿布の生産が奨励され、輸出量が世界一となりますが、その後戦
後の一時期に復活はあったものの、安価な輸入物に押され、現代では個人やグ
ループ単位での生産を除き、日本での綿花栽培はほぼゼロとなっています。
二十四節気が日本で設定されたのは江戸時代のことですから、そのころは晩夏
の風物詩として熟した綿花がはじける風景が見られたのだと思います。今では
工業製品としてしか触れ合う機会のない木綿ですが、これもまた自然の恵みと
して手塩にかけて育てられていた時代があったことを思い出し、一枚の布も大
切に使いたいものです。
,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
臼杵石仏火祭り(うすきせきぶつひまつり)
[大分県臼杵市](8月31日土曜日)
60余体のうち、59体が国宝に指定されている石仏群の周辺で行われる火祭りで
す。豊作祈願や、虫送りのために火を灯したものが発展したもので、室町時代
から約700年もの間、続いています。
国宝臼杵石仏公式ホームページ ブログより一部引用
http://sekibutsu.com/blog/?p=3213
,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
まだまだ暑い!夏におススメの商品特集
あと一週間あまりで9月とはいえ、まだまだ残暑の厳しい毎日です。そんな
時期に涼感を運ぶ小物類はいかがですか。扇子入れ、お財布など、小物をたく
さん取り揃えてお待ちしております。
オンラインショップ『和遊苑』「涼感を呼ぶ!夏におススメの商品特集」
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=660287
6/10に新規独立店舗を立ち上げております!お買い物がしやすくなった『和遊
苑』で、どうぞお買い物をお楽しみください。
,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
『風物使』第60号(2013年処暑号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。
当機構の事務局は東京の虎ノ門にありますが、今年はあまり蝉の声を聞かずに
夏が終わりそうな雰囲気です。暑さを増幅させるようなあの大音響も、やはり
夏にはなくてはならないものなのだと改めて感じました。来年はたくさんの蝉
の声を聞きたいと思います。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
▼配信先の変更・メールマガジンの解除
JTCOサイトからお申し込みいただいた方:
https://www.ssl-im2.com/jtco/magazine/
メルマガ配信サービスからお申し込みいただいた方:
☆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0001175473.html
☆メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_187367/
☆メルモ(携帯用ダイジェスト版)
http://merumo.ne.jp/00581395.html
▼バックナンバーはこちら(PC用)
http://www.jtco.or.jp/pages/magazine.html
▼ご意見ご感想はこちらまで(PC用)
https://www.ssl-im2.com/jtco/inquiry/
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【発行元】
特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
Copyright(C) 特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
All rights reserved.
「流るる汗綿布で拭う」~ 季節の使い・JTCO『風物使』処暑号
vol.60 2013年08月23日発行(旧暦 7月17日・文月)
*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜
┏‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓
このメルマガは、NPO法人日本伝統文化振興機構(JTCO)のメールマガ
ジンにお申し込みくださった方、もしくは当機構活動にご協力いただ
いている個人/団体/法人様にお送りしています。
┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┛
拝啓
秋に向かう中、時折涼しい日も訪れるようになった今日この頃、皆さまいかが
お過ごしでしょうか。もはや日本の風物詩ともなったゲリラ豪雨に備えて、雨
具やタオルなどを携帯したいものです。
+‥‥+ 2013年処暑号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
・今号のテーマ……… かつては高級品でした:『木綿』
・季節の行事………… 臼杵石仏火祭り [大分県臼杵市]
・JTCOからのお知らせ まだまだ暑い!夏におススメの商品特集
・編集後記
,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…
【生活】かつては高級品でした:『木綿』
「敷島の やまと(大和)にあらぬ 唐人(からびと)の 植ゑにし綿の 種は絶
えにき」
(衣笠大臣、鎌倉時代)
(訳: 外国から日本に来た人が植えていった綿は、今ではすっかり種が絶え
てしまったよ。)
二十四節気、処暑の初候は「綿柎開(めんぷ ひらく) : 綿を包む咢(がく)が
開く」です。夏服の素材としては、シャリ感があり湿気を良く通す麻も人気で
すが、現代では麻よりも安価で扱いやすい綿は、衣料だけなく生活のあらゆる
場面でなくてはならないものになっています。
しかしながら、綿布が日本で普及し始めたのは意外にも江戸時代以降のことで、
それ以前は中国や朝鮮からの輸入に頼る高級品でした。庶民は麻や葛(くず)、
山藤、山桑などの野生樹木の繊維を布として利用しており、絹は主に貴人への
献上用でした。
日本に初めて綿の種が渡ってきたのは、平安時代初期の799年で、三河(今の
愛知県)に船で漂着したインド系の崑崙(こんろん)人の若者が伝えたとされ
ています。この崑崙人は、その後日本に住み着き、北は越中国(富山)から南
は太宰府(福岡)まで、日本全国で綿の栽培を試みました。この種は高温地に
適していたようで、中でも一番よくできたのは大宰府でした。栽培はその後12
0年あまり続いたようですが、もともと日本の気候には合わなかったのか、上
記の歌が詠まれた鎌倉時代にはすっかり絶えてしまっていたことが伺えます。
若者が漂着した地は天竺(インドの旧名)と改称され、その後天竹となったと
いいます。愛知県西尾市には、この若者を綿の神(新波陀神=にいはたがみ)
として祀る天竹神社(てんじくじんじゃ)があり、毎年10月の最終日曜日に行
われる棉祖祭(めんそさい)では、船で漂着したことにちなんで船みこしが担
がれ、古式の道具を使った棉打ちの儀式が行なわれます。
室町時代に編纂された「七十一番歌合」(職人を題材にした歌合せ)には、職
業としての「綿売り」が登場しますが、木綿の栽培が普及するまでは、綿とい
えば蚕の繭を伸ばして作った「真綿」のことを指していました。綿布は中国や
朝鮮からの輸入物で、武士たちの衣料、船の帆布、火縄銃の縄などに使用され、
庶民には手の届かないものでした。
その後、綿の種が再伝来した時期や方法には諸説ありますが、中国や朝鮮、ま
たはポルトガルからもたらされた種をもとに、戦国時代の初め頃(15世紀後
半)には木綿栽培が広がり始め、16世紀の後半には木綿が庶民の衣料用として
利用されるようになったようです。
江戸時代になると、近畿地方、瀬戸内地方を中心に木綿栽培と綿業(綿紡績・
綿織物)が発展し、庶民が絹織物を禁じられたことから、木綿は一般的な衣料
素材となっていきました。
明治時代には綿布の生産が奨励され、輸出量が世界一となりますが、その後戦
後の一時期に復活はあったものの、安価な輸入物に押され、現代では個人やグ
ループ単位での生産を除き、日本での綿花栽培はほぼゼロとなっています。
二十四節気が日本で設定されたのは江戸時代のことですから、そのころは晩夏
の風物詩として熟した綿花がはじける風景が見られたのだと思います。今では
工業製品としてしか触れ合う機会のない木綿ですが、これもまた自然の恵みと
して手塩にかけて育てられていた時代があったことを思い出し、一枚の布も大
切に使いたいものです。
,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
臼杵石仏火祭り(うすきせきぶつひまつり)
[大分県臼杵市](8月31日土曜日)
60余体のうち、59体が国宝に指定されている石仏群の周辺で行われる火祭りで
す。豊作祈願や、虫送りのために火を灯したものが発展したもので、室町時代
から約700年もの間、続いています。
国宝臼杵石仏公式ホームページ ブログより一部引用
http://sekibutsu.com/blog/?p=3213
,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
まだまだ暑い!夏におススメの商品特集
あと一週間あまりで9月とはいえ、まだまだ残暑の厳しい毎日です。そんな
時期に涼感を運ぶ小物類はいかがですか。扇子入れ、お財布など、小物をたく
さん取り揃えてお待ちしております。
オンラインショップ『和遊苑』「涼感を呼ぶ!夏におススメの商品特集」
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=660287
6/10に新規独立店舗を立ち上げております!お買い物がしやすくなった『和遊
苑』で、どうぞお買い物をお楽しみください。
,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
『風物使』第60号(2013年処暑号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。
当機構の事務局は東京の虎ノ門にありますが、今年はあまり蝉の声を聞かずに
夏が終わりそうな雰囲気です。暑さを増幅させるようなあの大音響も、やはり
夏にはなくてはならないものなのだと改めて感じました。来年はたくさんの蝉
の声を聞きたいと思います。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
▼配信先の変更・メールマガジンの解除
JTCOサイトからお申し込みいただいた方:
https://www.ssl-im2.com/jtco/magazine/
メルマガ配信サービスからお申し込みいただいた方:
☆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0001175473.html
☆メルマ!
http://www.melma.com/backnumber_187367/
☆メルモ(携帯用ダイジェスト版)
http://merumo.ne.jp/00581395.html
▼バックナンバーはこちら(PC用)
http://www.jtco.or.jp/pages/magazine.html
▼ご意見ご感想はこちらまで(PC用)
https://www.ssl-im2.com/jtco/inquiry/
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
【発行元】
特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
Copyright(C) 特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
All rights reserved.