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JTCOメルマガ『風物使』

2013年06月04日 配信
「蚕が桑の葉食む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小満号

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 「蚕が桑の葉食む」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小満号
    vol.58 2013年06月04日発行(旧暦 4月26日・卯月)

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拝啓
紫陽花が鮮やかに咲き各地で入梅のニュースが聞かれる今日この頃、皆さまい
かがお過ごしでしょうか。カラリと晴れた日には、お洗濯や外遊びなど、お日
様利用のチャンスを逃さないようにしたいですね。

+‥‥+ 2013年小満号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 神々からの贈り物『蚕』
 ・季節の行事………… 大山犬祭り [山形県鶴岡市]
 ・JTCOからのお知らせ 近日新しい『和遊苑』がオープンします!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【生物】神々からの贈り物『蚕』

「なかなかに恋に死なずは桑子にぞ なるべかりける玉の緒ばかり」
(『伊勢物語』14段)

(訳:叶わぬ恋に焦がれ死ぬならば、いっそ蚕に生まれるのだった。たとえ玉
の緒のように短い命だったとしても。)

小満の初候は、「蚕起食桑」(かいこ おこって くわを くらう=蚕が盛んに
桑を食べ始める) となっており、養蚕農家ではクワの葉が十分に茂るこの頃
から「毛蚕(けご)」と呼ばれる孵化したばかりのカイコの幼虫を育て始めま
す。小学校の理科の実習で毎日せっせと柔らかなクワの新芽を摘みにいった
思い出のある方も多いのではないでしょうか。

養蚕は5000年ほど前に中国で始まったと言われており、日本では「魏志倭人
伝」(3世紀)に「女は蚕を飼い、糸を紡ぎ布を織る」という記述があること
から、弥生時代にはすでに日本でも生糸が生産され、利用されていたことがわ
かります。
8世紀に成立した「古事記」や「日本書紀」には、死んだ女神の体から五穀と
ともにカイコが生まれたというくだりがあり、古代の日本で養蚕が食料生産と
同じくらいの重要性を持っていたことが推測されます。

農家に貴重な収入をもたらしてくれるカイコは、「お蚕さま」と呼ばれて半ば
神聖視され、東北や北関東では蚕神として「おしらさま」を信仰する風習が今
でも受け継がれています。

「おしらさま」のご神体は1尺(30cm)の棒の先に男女または馬の顔を描いた
り彫ったりしたものをつけ、布の衣を幾重にも着せたものですが、これは中国
から日本に伝わったとされる「馬娘婚姻譚」(馬と娘が懇ろになり、ともに死
んでカイコが生まれるという話)に基づいています。

佐賀の実相院という寺院には左手に繭、右手に絹糸の束を持って馬のそばに立
つ女神の石像があり、娘と馬、そしてカイコに纏わる神話が日本の広い地域で
語り継がれてきたことがわかります。養蚕と馬の世話は古くから女の仕事で、
カイコの背には馬蹄型の紋があることと関わりがあるのかもしれません。

茨城には、天竺(インド)から流れ着いた金色姫という美しいお姫様が自分の
死と引き換えに日本に養蚕を伝えたという伝承が残っています。この話の残る
「蚕影神社」は、日本の絹の発祥の地と言われています。ことの真偽はともか
く、養蚕が遥か彼方から伝えられた大切な業であるという人々の意識が信仰心
を育てたことには違いありません。

日本の養蚕は江戸時代に各藩の殖産興業策として奨励され、幕末に画期的な養
蚕技術が開発されたことにより、明治時代に隆盛を迎えることになりました。
絹糸の輸出は主要な外貨獲得手段となり、富国強兵の礎を築いたのはご存知の
とおりです。

生糸産業の凋落からすでに久しく、現代では代替となる合成繊維の普及で絹の
需要は減っていますが、軽くしなやかで夏は涼しく、冬は暖かい絹はやはりほ
かの繊維には代えがたい魅力があります。最近では気軽に洗濯できるシルクニ
ット製品も出回っていますので、シルクを纏ってちょっぴり上質な気分を味わ
ってみるのもよいですね。


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

大山犬祭り
[山形県鶴岡市](6月5日)

椙尾(すぎお)神社の裏庭に住んでいた化け物を退治した「めっけ犬」にちな
んで始まった300年の歴史を持つお祭りです。めっけ犬を象った「犬みこし」
を先頭に、「花咲か爺さん」などの趣向を凝らした「からぐり山車」などが練
り歩きます。

鶴岡市観光連盟ホームページ
http://www.tsuruokakanko.com/season/inu/index.html

めっけ犬伝説:おおやま観光協会公式ホームページ
http://bit.ly/ZJGmv1


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

近日新しい『和遊苑』がオープンします!

2011年1月のオープンから「ぴこねっと生粋市場」内で運営してきたオンライ
ンショップ『和遊苑』が、独立店舗として近日オープンします。お取り扱い
商品がより見やすくなり、お買い物も楽しく。新しい『和遊苑』にご期待くだ
さい。

オンラインショップ『和遊苑』※移行完了までご利用いただけます
http://www.piconet.co.jp/jtco/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第58号(2013年小満号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

最近久々に会った友人の小学3年生のお子さんが、学校からカイコを預かって
きたという話を聞きました。週末は家庭でお世話をするのだそうで、そういえ
ば毎日新しいクワの葉をあげなければいけなかったことを思い出しました。

私がいたクラスはお世話が行き届かなかったのか残念ながら全滅してしまいま
したが、ほかのクラスでは無事お蚕さんたちが繭を作り、羽化して産卵までこ
ぎつけました。絹糸を採取するために煮た繭からは、信じられないくらい細い
糸が採れ感動したものです。

今から思えばカイコの飼育は単なる生物の学習ではなく、自分の手で自然の恵
みから生活用品を作り出す過程を知る機会でもあったのだと思います。教育課
程も縦割りではなく、たとえば理科と家庭科を相互につなげるなど知識と実践
を組み合わせたものであるとよいのにと思います。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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