JTCOメルマガ『風物使』
2013年05月20日 配信「蛙の声に若葉咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立夏号
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「蛙の声に若葉咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立夏号
vol.57 2013年05月20日発行(旧暦 4月11日・卯月)
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いている個人/団体/法人様にお送りしています。
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拝啓
さわやかな風が頬を撫でる日も増えてきた今日この頃、皆さまいかがお過ご
しでしょうか。6月に向けて、そろそろ衣替えの準備もしていきたいですね。
+‥‥+ 2013年立夏号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
・今号のテーマ……… 不死を象徴する縁起物『カエル』
・季節の行事………… 大山寺の例大祭 御幸(みゆき)
・JTCOからのお知らせ 印伝の実用小物、好評発売中!
・編集後記
,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…
【生物】不死を象徴する縁起物『カエル』
「苗代に心のたねを蒔きそへて なくやかはづのやまとことのは」
(津守国冬 『新千載』2153)
(訳: 苗代に、稲の種だけでなく「心の種」もいっしょに蒔いておいたの
で、そこに啼くカエルの声もまた大和歌なのである。)
「風薫る五月」とはよく言ったもので、この時期は日本の多くの地域でさわ
やかな風が吹き、過ごしやすい日々が続くようになります。そんな中、カエ
ルたちが冬眠から目覚めて、求愛のために鳴き始めます。
「カエル」という名は万葉時代からすでに存在し、貝原益軒の『大和本草』
(1709年刊行の生物学、農学書)によれば、別の土地に放しても、必ず元の
土地に帰ってくるという習性に由来しているのだそうです。ヒキガエルなど
は、数キロも離れた繁殖池と縄張りを行き来する本能があり、繁殖期になる
と縄張りを出発して池で交尾・産卵を済ませ、また自分の縄張りまで旅をす
るそうです。
別名の「カハズ」は「川に棲むもの」という意味の略語と言われ、冒頭の歌
のように、主に和歌で使われてきました。この語は本来鳴き声の美しいカジ
カガエルのことを指しましたが、平安初期ごろからカエル一般を指すように
なりました。
カエルといえば、洋の東西を問わず「醜いもの」と捉えられている反面、神
社の神使や、縁起物としても崇められる存在でもあります。これにはどんな
理由があるのでしょうか。
中国では、冬眠をして春には生き返ることを繰り返すカエルが、不死の象徴
とされました。日本の神話では、カエルは死に近い生き物とされています。
縄文土器に描かれたカエルの背中には女性器や新生児の顔が見られ「死から
生が生まれる」ことを表していると考えられています。
「夫婦岩」で有名な三重県伊勢市の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじ
ゃ)の祭神、猿田彦(サルタヒコ)大神の神使はカエルで、人々は参拝のあ
とにカエルの塑像を奉納します。猿田彦は古事記の中で天から降りてきた神
を地上で道案内した神とされており、カエルがお使いとなったのはあの世と
この世を結びつける存在と考えられていたためかもしれませんね。
冒頭の歌は、『古今集仮名序』にある、「やまとうたは、人の心をたねとし
て、よろづの言の葉とぞなれりける。(中略)花になくうぐひす、水にすむか
はづのこゑをきけば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。」
(=和歌とは、人の心を種として、世の中をさまざまな言葉で表現したもの
です。花に啼くウグイス、水に棲むカエルの声を聞けば、生きとし生けるも
の全てが歌を詠むことがわかります。)を受けたものです。長い眠りから覚
めたカエルが水辺で鳴くその声は、木々の力強い芽吹きを導くものとして、
心強く、心地よく響くものであったに違いありません。
,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
大山寺の例大祭 御幸(みゆき)
[鳥取県西伯郡大山町](5月24日)
平安時代から伝わる権現様を配した神聖な行列。新緑の大山で繰り広げられ
る王朝絵巻は見物です。
山陰・大山(だいせん)の旅ホームページ
http://www.daisen.jp/p/2/area/yamagawa/67/1/
,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
印伝のお財布・名刺入れ・ペンケース小物好評発売中!
発売以来大変好評をいただいている、印伝の実用小物。高級感のある作りな
がら、手に取っていただくと、その軽さに驚く方も多いはず。どんなシーン
にも自信を持ってお持ちいただける印伝グッズ、ぜひご利用ください。
オンラインショップ『和遊苑』
http://www.piconet.co.jp/jtco/
人気の姫革、箱根寄木細工のグッズも好評発売中です!
,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
『風物使』第57号(2013年立夏号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。
小さいころ、カエルを卵から育てたことがあり、その変態の神秘に魅せられ
たことを思い出します。尻尾がなくなり、小さなカエルになったところで
野に放してしまったので、その後の習性については観察することができな
かったのですが、家の小さなバケツで育ったカエルは、無事大人になった
のだとしたらどこに帰ったのかしら、といまさらながらに心配になってしま
いました。
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【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
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特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
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・季節の行事………… 大山寺の例大祭 御幸(みゆき)
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【生物】不死を象徴する縁起物『カエル』
「苗代に心のたねを蒔きそへて なくやかはづのやまとことのは」
(津守国冬 『新千載』2153)
(訳: 苗代に、稲の種だけでなく「心の種」もいっしょに蒔いておいたの
で、そこに啼くカエルの声もまた大和歌なのである。)
「風薫る五月」とはよく言ったもので、この時期は日本の多くの地域でさわ
やかな風が吹き、過ごしやすい日々が続くようになります。そんな中、カエ
ルたちが冬眠から目覚めて、求愛のために鳴き始めます。
「カエル」という名は万葉時代からすでに存在し、貝原益軒の『大和本草』
(1709年刊行の生物学、農学書)によれば、別の土地に放しても、必ず元の
土地に帰ってくるという習性に由来しているのだそうです。ヒキガエルなど
は、数キロも離れた繁殖池と縄張りを行き来する本能があり、繁殖期になる
と縄張りを出発して池で交尾・産卵を済ませ、また自分の縄張りまで旅をす
るそうです。
別名の「カハズ」は「川に棲むもの」という意味の略語と言われ、冒頭の歌
のように、主に和歌で使われてきました。この語は本来鳴き声の美しいカジ
カガエルのことを指しましたが、平安初期ごろからカエル一般を指すように
なりました。
カエルといえば、洋の東西を問わず「醜いもの」と捉えられている反面、神
社の神使や、縁起物としても崇められる存在でもあります。これにはどんな
理由があるのでしょうか。
中国では、冬眠をして春には生き返ることを繰り返すカエルが、不死の象徴
とされました。日本の神話では、カエルは死に近い生き物とされています。
縄文土器に描かれたカエルの背中には女性器や新生児の顔が見られ「死から
生が生まれる」ことを表していると考えられています。
「夫婦岩」で有名な三重県伊勢市の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじ
ゃ)の祭神、猿田彦(サルタヒコ)大神の神使はカエルで、人々は参拝のあ
とにカエルの塑像を奉納します。猿田彦は古事記の中で天から降りてきた神
を地上で道案内した神とされており、カエルがお使いとなったのはあの世と
この世を結びつける存在と考えられていたためかもしれませんね。
冒頭の歌は、『古今集仮名序』にある、「やまとうたは、人の心をたねとし
て、よろづの言の葉とぞなれりける。(中略)花になくうぐひす、水にすむか
はづのこゑをきけば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。」
(=和歌とは、人の心を種として、世の中をさまざまな言葉で表現したもの
です。花に啼くウグイス、水に棲むカエルの声を聞けば、生きとし生けるも
の全てが歌を詠むことがわかります。)を受けたものです。長い眠りから覚
めたカエルが水辺で鳴くその声は、木々の力強い芽吹きを導くものとして、
心強く、心地よく響くものであったに違いありません。
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大山寺の例大祭 御幸(みゆき)
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『風物使』第57号(2013年立夏号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。
小さいころ、カエルを卵から育てたことがあり、その変態の神秘に魅せられ
たことを思い出します。尻尾がなくなり、小さなカエルになったところで
野に放してしまったので、その後の習性については観察することができな
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【季節の使い・JTCO『風物使』】
発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日
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TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/
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