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JTCOメルマガ『風物使』

2012年12月31日 配信
「仰ぐ空に鶴鳴き渡る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒号

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 「仰ぐ空に鶴鳴き渡る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒号
    vol.49 2012年12月31日発行(旧暦 11月19日・霜月)

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拝啓
いよいよ本日で2012年は終わり。皆さま新年の準備は整いましたでしょう
か。今年1年に感謝しつつ、明日は心穏やかに年神さまを迎えましょう。


+‥‥+ 2012年小寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 貴人の乗り物として尊ばれた:『鶴(ツル)』
 ・季節の行事………… 松例祭 [山形県鶴岡市]
 ・JTCOからのお知らせ オンラインショップ取り扱いアイテム拡充!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【生き物】貴人の乗り物として尊ばれた:『鶴(ツル)』

「若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る」
(山部赤人『万葉集』巻6-919)

(訳:和歌浦に潮が満ちて千潟を覆い隠すと、葦のほとりを目指して鶴が鳴
き渡っていくよ。)

北国の雪の便りとともに、タンチョウヅルの飛来シーズンが始まり、1月に
はそのピークを迎えます。来年の干支の代わりに、縁起物として年賀状にツ
ルのモチーフをあしらった方々もいらっしゃるのではないでしょうか。お正
月料理の箸袋や、結婚式の引き出物など、優美で高貴なツルのモチーフはお
めでたい席には欠かせないものですね。

東洋では、タンチョウはその気品ある姿から古代より神聖視され、道教の世
界では仙人の化身やその乗り物として登場し、大変な長寿であると考えられ
ていました。また皇太子や仙人の乗る車を「鶴駕」と呼び、高貴の象徴とし
ました。

源氏物語の34帖『若菜』には、宴のあとに楽人たちが褒美に賜った白い衣を
肩にかけて次々に退出していくさまを、「千歳をかねて遊ぶ鶴の毛衣に思ひ
まがへらる(=千歳の寿をもって遊ぶ鶴の白い毛衣に見間違えるほどであ
る)。」と表現しており、日本でも平安時代にはツルが千年の長寿を生きる
という考えが定着していたことがわかります。

瑞祥(ずいしょう=おめでたいことの前兆)であるツルを意匠化した鶴紋は、
古代から現代まで実にさまざまな文物にあしらわれています。日本で見つか
っている最古のツルの文様は、8世紀の皇族の邸宅跡から見つかった土器に
描かれたものでした。厳島神社に納められている平安末期の『平家納経』の
表紙や、鎌倉時代の『北野天満宮絵巻』にもツルの文様が見られ、家紋とし
ては鎌倉末期の『蒙古襲来絵詞』に、武将の旗印として初めて見ることがで
きます。

鶴紋は、その後神社、公家、武家の紋として広く使用されてきましたが、現
代でもっとも親しまれている鶴紋といえば、日本航空(JAL)の鶴丸ではない
でしょうか。この鶴丸の採用に当たっては、興味深いエピソードがあります。

日本航空が社章制定にあたり、フランスの高名なデザイナーに依頼をしたと
ころ、「日本には素晴らしい伝統があるではないか」と切り返され、日本人
デザイナーによる鶴紋をベースにしたロゴマークが作成されるに至ったとい
うことです。ルイ・ヴィトンのモノグラムも日本の家紋にヒントを得たもの
と言われていますし、さすがは日本文化に造詣の深いフランス人ですね。

日本に越冬のため飛来するツルの仲間は、タンチョウのほかにナベヅル、マ
ナヅルなどがいますが、伝統的に「ツル」といえばタンチョウのことを指し
ます。冒頭の歌は和歌山県南西部の景勝地、和歌浦で詠まれたものですので、
万葉の時代には西日本にもタンチョウが飛来していたのでしょうか。

少なくとも江戸期には、江戸近郊の三河島村(現在の荒川区荒川近辺)にタ
ンチョウの飛来地があり、10月~3月の飛来期には幕府がその一帯を竹矢来
(竹を粗く交差させて作った囲い)で囲って見張りを置き、給餌をして手厚
く保護していたのだそうです。

また「鶴御成(つるおなり)」と言って、ツルを捕らえる鷹狩りが9代将軍
徳川家重によって行われました。時期は「寒の入り(小寒)」と呼ばれるち
ょうど今頃からが多く、1羽のツルを多くの場合2-3羽のタカが捕らえました。
鶴御成は鷹狩りの中でももっとも厳かなものとされ、ツルの肉は朝廷への献
上物として京都まで運ばれて新年三が日の朝供御(あさぐご=朝食)のお吸
い物になりました。

かつては身近に見られたツルたちも、いまでは飛来地まで出かけなければ自
然の中にいる彼らを見ることができなくなりました。トキのように、環境が
整えばまた東京などにもツルが戻ってくるのでしょうか。

昔の人が仰いだ空に見た優美なツルたちの姿を思い浮かべながら、一年の平
和と幸せを願いつつ新年の空を見上げてみたいと思います。どうぞ、よいお年
をお迎えくださいませ。


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


松例祭
[山形県鶴岡市](12月31日~元旦)

日本三大火祭りのひとつ。作祭りとも称せられ1,333束の草と綱でつつが虫
という大たいまつを作り祈願の上、その綱を切ってあらかじめ待っている
群衆はこれをうばいとろうとして争い壮観をきわめる行事で綱は各戸に
もちまわりで納められる。

※鶴岡市観光連盟ホームページより引用

[鶴岡市観光連盟ホームページ]
http://www.tsuruokakanko.com/cate/p0500.html



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

新年よりオンラインショップ取り扱いアイテム拡充!

2013年、オンラインショップ『和遊苑』のお取り扱いアイテムを拡充します。
「普段の生活で気軽にお使いいただける手工芸品」をテーマに、スタイリッ
シュな箱根寄木細工革小物など、皮革製品を中心とした新規ラインナップ。
ショップリニューアルも予定しておりますので、どうぞご期待ください。

レターセット冬のキャンペーン実施中!オンラインショップ『和遊苑』
http://www.piconet.co.jp/jtco/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第49号(2012年小寒号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今年1年の当メールマガジンのご愛読、大変感謝いたします。時々お休みを
いただきつつ、来年はおかげさまで第50号の発行を迎えることになりました。
来年も皆さまに日本の季節を感じていただけるお便りができればと思います。
どうぞ引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。

穏やかなお正月をお迎えになられますよう、心よりお祈り申し上げます。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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