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JTCOメルマガ『風物使』

2012年08月07日 配信
「青空に天透ける」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号

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  「青空に天透ける」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号
    vol.42 2012年08月07日発行(旧暦 06月20日・水無月)

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拝啓
暦の上では秋とはいえ、猛暑の続く今日この頃、皆さまいかがお過ごし
でしょうか。日焼けや熱中症対策は十分に、盛夏を楽しみましょう。


+‥‥+ 2012年立秋号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 包容力を秘めた色:『青』
 ・季節の行事………… 木曽義仲旗挙げまつり [長野県木曽町]
 ・JTCOからのお知らせ 好評実施中!オンラインショップ夏のセール!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【色】包容力を秘めた色:『青』

「人間(じんかん)到るところ青山(せいざん)あり。」
(釋月性(しゃくげっしょう)「将東遊題壁」)

(訳:人の世にはどこにでも骨をうずめる場所がある。臆せず広く世に出て
悔いなく生きよ。)

空の青、海の青、青々とした草木・・・夏はたくさんの青に出会える季節で
す。カラーセラピーでは、気持ちを落ち着かせ、集中力を高める色、また聖
画の中のマリア像が纏う外套の色に象徴されるように、包容力を意味する色
として知られています。

ところで、「青々とした草木」という表現に見られるように、青という色が
表現する色は今でもブルーだけではありません。古代、日本では固有の色表
現は「明るい」を表す「赤」、「暗い」の「黒」、「顕(あきら)か」の
「白」そして「漠(ひろ)い」の「青」の4つしかありませんでした。形容
詞として「赤い」「黒い」「白い」「青い」というように、色を表す語に直
接「い」をつけて終わる色がこの4色しかないのはこの名残りなのです。そ
して、「漠=青」が示すように、赤、黒、白以外の青、緑、紫、灰色がかっ
た白まであいまいな色はすべて「青」とされていました。

青にまつわる面白い話として、鎌倉時代に編纂された『宇治拾遺物語』の中
に「青常(あをつね)の事」(巻第11-124)というお話があります。村上天
皇の時代に、背がひょろ高く、声が甲高く、常に青白い顔をしている左京大
夫がいました。口さがない殿上人たちは、彼を「青常の君」と呼んで笑いも
のにしていました。これを聞いた帝にたしなめられたため、殿上人たちは今
後「青常の君」と言ったら罰として皆に酒や果物を振舞うことに決めました。
それからしばらく経って、堀川殿(藤原兼道)が左京大夫の後姿を見て、つ
い「青常くんはどこに行くのかな」と言ってしまいました。堀川殿はその2
日後、約束通り「青常の君のあがひ(懺悔会)」を行うのですが、登場した
堀川殿は全身青づくめ、同じく青づくめのお付きの者3人は小桑の実を盛っ
た青磁の皿を青い盆にのせ、青竹の杖に山鳩をぶら下げ、口を青い紙でくる
んだ青磁の酒瓶を持っています。これを見た殿上人たちは大喜びで笑い騒ぎ
ました。

さて、ここで出てきた「青」は「青白い」顔、装束、青磁や小桑の実、青竹
や山鳩などですが、どれも現代でいうブルーとは異なります。顔の「青」は
沈んだ白のこと、この頃の青磁はオリーブ色に近く、小桑の実、青竹や山鳩
は深い黄緑色系、装束もそれに準じていたと思われますから、これだけ見て
も当時の「青」が現代といかに違っていたかということがうかがい知れます。

このように古くは広い意味を持っていた「青」ですが、色だけではなく、冒
頭の歌にあるように、「終焉=死」という意味で使われていたのも興味深い
点です。日本全国には、青山、青島、青野、青海、青波など、青のつく地名
が数多くありますが、これらの多くは死者の埋葬地や水葬の地に由来すると
いうことです。

空の青、海の青、草木の青など、気づけば私たちが生きてきた土地は「青
い」色で囲まれています。青が多くの意味を持ち、気持ちを鎮める色である
のも、私たちがいずれ還っていく母なる自然の色であるからなのかも知れま
せん。


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


木曽義仲旗挙げまつり(らっぽしょ)
[長野県木曽町](8月14日)

「らっぽしょ」の語源は不明ですが、古くからお盆に行われている木曽義仲
を弔うお祭りです。木曽義仲のお墓参りをする「らっぽしょ行列」、義仲の
愛人巴御前にちなんだ女性だけの「巴太鼓」の演奏など、さまざまな行事が
行われます。

木曽観光協会Webサイト:
http://www.kankou-kiso.com/event/kisoyosinakahataage.html



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


好評実施中!オンラインショップ夏のセール!

セール開始後、ご好評をいただき売り切れ間近のカラーも!夏らしいひょう
たんとトンボのレターセットを特別価格(1480円→980円)でご提供。ぜひご
利用ください。

オンラインショップ『和遊苑』
http://www.piconet.co.jp/jtco/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第42号(2012年立秋号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

青空はいつ見ても清々しいものですが、今まで見た中で忘れがたいものとし
て、学生の頃に旅したボリビアの青空があります。ボリビアは山国で、訪れ
た街のいくつかは手を伸ばせば雲が手に届きそうな、3000メートル以上の高
地にありました。ある晴れた日にその雲の向こうに見えた、黒いほど青い空
は、その先の宇宙を感じさせるものでした。澄んだ薄い空気がそう見せてい
たのだと思いますが、「抜けるような青い空」とはまさにあのことなのだと、
今でも鮮やかに思い出すことができます。日本でも、富士山の頂上に上れば
あのような空が見られるのでしょうか。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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