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JTCOメルマガ『風物使』

2012年06月22日 配信
「驟雨に石榴花咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号

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  「驟雨に石榴花咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』夏至号
    vol.40 2012年06月22日発行(旧暦 05月03日・皐月)

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拝啓
各地で激しい雨に見舞われることの多い今日この頃、皆さまいかがお過ご
しでしょうか。梅雨の晴れ間を見つけたら、熱中症には気をつけて野外で
夏を見つけてみたいですね。


+‥‥+ 2012年夏至号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ……… 鏡磨きにも使われた子宝の象徴:『ザクロ』
 ・季節の行事………… 伊雑宮 御田植祭 [三重県志摩市]
 ・JTCOからのお知らせ オンラインショップで夏のセール!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【植物】鏡磨きにも使われた子宝の象徴:『ザクロ』

「水かねやざくろのすます影なれや 鏡と見ゆる月のおもては」
(『七十一番職人歌合』鏡磨)

(訳:水銀やザクロで磨いた鏡の面に、月影が映りこんでいるよ。)


旧暦5月の異称に、「榴月(りゅうげつ)」というものがあります。「榴」
とはザクロ(漢字で石榴、または柘榴)のことであり、旧暦5月は赤いザク
ロの花が咲く季節です。北宋の政治家、王安石が詠んだザクロの詩には「万
緑叢中紅一点(ばんりょく そうちゅう こういってん)」という一節があ
り、夏の力強い草木の緑に、あたかも女性が一人佇んでいるかのような、艶
やかに咲くザクロの姿が描写されています。

ザクロは古代から世界中で薬効のある植物として医学書に記述されており、
その実に種子が多いことから、どの地域でも子孫繁栄や再生の象徴となって
います。種子の部分には微量ながら女性ホルモンが含まれているそうですの
で、科学的な分析ができなかった古代でも、人々は経験的にその効用を知っ
ていたのかも知れませんね。

仏教で子宝や安産、育児の神として信仰されている鬼子母神の像を見ると、
懐に赤ん坊を、右手に吉祥果であるザクロを手にしています。鬼子母神は千
人もの子を儲けて可愛がっていましたが、人の子を奪って食べるため、子供
を奪われた大勢の母親が嘆き悲しんでいました。そこでお釈迦様が鬼子母神
の末の子を隠してしまったところ、彼女は必死でいなくなった子を探し回り
ます。そこで彼女は子を奪われた母親たちの悲しみに気づき、返された子と
ともにお釈迦様から与えられたザクロの実を食べるようになりました。以来、
彼女は子宝や子供の守り神となります。鬼子母神を祀る寺で境内にザクロの
木を植えたり、ザクロを描いた絵馬を奉納したりするのはこのためです。

ザクロが日本に伝来したのは10世紀中頃で、中国もしくは朝鮮半島からもた
らされました。日本語の「石榴」は漢語の「安石榴(安石とはペルシャの国、
榴とはコブのこと、つまりペルシャ伝来のコブの木の意)」から来ており、
平安中期に編纂された辞書『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には
「さくろ」という読みが記載されています。平安時代には果実が菓子として
宮廷で食され、果皮、樹皮、根皮、花が薬用に、果汁が菓子に利用されるよ
うになっていきました。

日本での興味深いザクロの利用法として、冒頭の歌にある「鏡磨(かがみと
ぎ」があります。この歌が収められている『七十一番職人歌合』は、室町時
代の1500年末ごろに成立した職人を題材にした歌合せで、この頃は職人が
家々を回って鏡を研いでいました。当時多かった銅製の鏡は、スズに水銀を
合わせた合金に砥の粉を混ぜ、少量の酸を加えて研ぎましたが、酸としてク
エン酸やリンゴ酸を含むザクロの外種皮を布に包んで利用していたようです。

時代が下って江戸時代の銭湯では湯船の入り口を「柘榴口(ざくろぐち)」
と呼びましたが、ここをくぐって中に入るためには体をかがめる必要があり、
「屈み入る」と、「鏡要る」、つまり鏡を磨くのにザクロが必要なのをかけ
て、このような名前をつけたのだそうです。江戸時代らしい洒落ですね。

今の季節に艶やかな花を咲かせるザクロの木が実をつけるのは秋になります
が、それまでは花を楽しんだり、グレナデン・シロップ(ザクロのシロッ
プ)を飲み物や料理に利用したりして、ザクロに関するさまざまな謂れに思
いを馳せてみるのもよいですね。



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


伊雑宮 御田植祭 (いざわのみや おたうえまつり)
[三重県志摩市](6月24日)

※志摩市観光協会ホームページ参考
千葉の香取神社、大阪の住吉大社とともに日本三大御田植祭の1つに数えら
れるお祭りです。勇壮な男達が大きな団扇のついた忌竹(いみだけ)を奪い
合う竹取神事、白い着物に赤いたすきがけをした早乙女たちによって厳(お
ごそ)かに行われる御田植神事、一の鳥居に向けて行われる踊込みなど、た
くさんの見所があります。

志摩市観光協会の情報:
http://www.kanko-shima.com/saijiki/otauematsuri/otaue.html


,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


オンラインショップ『和遊苑』で夏のセールを実施します!

これからの季節にふさわしい、夏をテーマにした商品の特別セールを7月よ
り実施します。内容についてはお楽しみに!

オンラインショップ『和遊苑』
http://www.piconet.co.jp/jtco/



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第40号(2012年夏至号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

最近は地球温暖化のためか、日本も熱帯地方のようなスコールのような雨が
多くなってきた気がします。日本語には雨を表現することばがたくさんあり
ますが、「驟雨(しゅうう・にわか雨、降水の強度変化が激しい雨のこ
と)」という語がどこまでをカバーするのか、ちょっと気になるところです。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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