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JTCO日本伝統文化振興機構
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JTCOメルマガ『風物使』

2011年03月16日 配信
「咲く春花に希望見る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』啓蟄号

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 「咲く春花に希望見る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』啓蟄号
    vol.18 2011年03月16日発行(旧暦 2月11日・如月)

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 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
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      【東北地方太平洋沖地震で被災された方々へ】

3月11日に東日本を襲った巨大地震で被災された方々には、心よりお見舞
いを申し上げます。また、被災地で救援・復旧に当たられている方々に、
深い敬意を表します。皆さまのご健康と、一日も早い復興を切にお祈り申
し上げます。

微力ではございますが、JTCOオンラインショップ『和遊苑』の3月分の利益
を被災者支援の用に供するとともに、その後の継続支援についても検討して
まいります。


+‥‥+ 2011年啓蟄号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・季節の祭り…………… 稲荷詣でで開運祈願:『初午(はつうま)』
 ・旬の味………………… 「グレる」の語源にも:『ハマグリ(蛤)』
 ・季節の花……………… 生命力を湛えて:『タンポポ(蒲公草)』
 ・JTCOからのお知らせ… 姫革細工のお取り扱いを開始いたしました!
 ・編集後記


○o 季 節 の 祭 り ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

稲荷詣でで開運祈願:「初午(はつうま)」

今日3月16日は、旧暦の2月では初めての午の日で、「初午(はつうま)」と
呼ばれます。新暦の初午は寒風吹きすさぶ1月下旬~2月中旬にあたりますが、
本来の初午は虫も地面から這い出してくる、春めいた時期にめぐってくるも
のでした。

初午には、稲荷詣でをするのが古来からの風習で、今でも稲荷神社の総本山
である京都の伏見稲荷大社をはじめ、全国のお稲荷さんで初午祭が催されま
す。伏見稲荷の縁起によれば、祭神が711年2月の初午に降臨したと伝えられ、
この日を稲荷の縁日と定めたとのことです。平安時代には、稲荷詣では都の
人々にとって一大レジャーだったようで、参拝客が行き交う賑やかな様子が、
「今昔物語」や「枕草子」にも残っています。

稲荷とは、「稲生り」から来たという説もあり、祭神は宇迦之御魂神(うか
のみたまのかみ)という五穀の神です。農村では、春の耕作を始めるにあた
って山から田の神をお迎えするのが初午の儀礼であり、これが稲荷信仰と結
びついて初午の稲荷詣でとなったというわけなのです。

現在、初午のお供えには、団子や赤飯のほかにお稲荷さんのお使いであるキ
ツネに油揚げが供されます。キツネはイネが実るころに山から下りてきて子
育てをするため、「ミサキ・オサキ(先駆けの意)」と呼ばれる田の神の使
いとして崇められるようになりました。キツネがキツネ色の油揚げが好きか
どうかはともかく、再び秋に豊かな実りをもたらしてくれるよう願った昔の
人の気持ちはよくわかりますね。その後、神のお告げを託されたキツネの信
仰は広まり、商売繁盛や開運をもたらす守り神として、全国に盛んに稲荷社
の祠が作られるようになりました。

今日では寒い新暦の2月に初午が行われることもありますが、本来の季節に
あった今の時期に行う稲荷社もあります。町を歩いていてお稲荷さんの祠を
見かけたら、そっと今年の実りと開運をお願いしてみてください。


○o 旬 の 味  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

「グレる」の語源にも:「ハマグリ(蛤)」

縄文時代の貝塚からも貝殻がたくさん見つかっており、太古から日本人に親
しまれてきたハマグリ。一年中水揚げされますが、国産の天然ハマグリの旬
は2月~4月頃です。

ハマグリは貝類の旨み成分であるコハク酸や、グルタミン酸、グリシンなど
のアミノ酸を持ち、上品な味わいで幅広い料理に利用されます。また低コレ
ステロール・低脂肪で鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラルや、粘膜を強く
するビタミンB2、ヘモグロビンを増加させるビタミンB12などのビタミン、
血圧やコレステロール値を下げるタウリンなどを含みます。

ハマグリの二枚の貝殻は、貝合わせの貝や白い顔料(胡粉)として利用され
たり、意匠となって家紋にあしらわれたりと、古くから生活に取り入れられ
てきました。また、対になったもの以外とは決して合わないことから、夫婦
和合の縁起物として結婚式のお吸い物に供されたり、よい伴侶に出会えるこ
とを願って、ひな祭りに食されることもあります。うそのようですが、「グ
レる」という言葉は、「逆にすると合わない」という意味から「ぐりはま→
ぐれはま→ぐれ」と変化してできたものだという話さえあります。

かつて東京湾はハマグリの一大産地だったそうで、明治期の写真には、横浜
の魚介店で大量のハマグリが売られている様子が残っています。真水の流れ
込む河口付近の浅海で育つハマグリは、埋め立てや干拓などの影響で住みか
を失い、残念ながら在来種は各地でほぼ全滅、もしくは激減しています。国
産の天然ものは有明海、周防灘、伊勢湾だけで採れ、全流通量の10%と希少
ですが、旬を迎えた今頃のものを大切に味わってみたいですね。


○o 季 節 の 花 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

可憐な姿に生命力を湛えて:「タンポポ(蒲公草)」

「多摩川の砂にたんぽぽ咲くころは われにもおもふ人のあれかし」
(若山牧水『路上』)

(訳:多摩川の砂地にタンポポが咲き始めるころには、砂地でも根を下ろす
この花のように、私を深く愛してくれる人がいてくれたら。)

春めいてくると、アスファルトの隙間からでもたくましく黄色い花を咲かせ
るタンポポ。幼い頃、春の草原でタンポポを摘んだり、綿毛を飛ばして遊ん
だりした思い出のある方も多いのではないでしょうか。

タンポポは古くは「田菜(または多奈、たな)」や「布知奈(ふちな)」
「乳草(ちちくさ・折ると白い液が出ることから)」などと呼ばれ、古来か
ら薬草として利用されてきた植物です。抗ウイルス・抗癌作用、利尿・肝機
能改善などの効能があります。漢名である「蒲公草(たんぽぽ)」は、安土
桃山時代ころくらいから使われ始め、江戸時代に定着したようです。

在来種のタンポポはあとから入ってきたセイヨウタンポポに駆逐されてしま
ったと言われていますが、実際はそうではなく、生育場所や花の時期がセイ
ヨウタンポポよりも限られているのだそうです。

また、一口にタンポポといっても、在来種だけでも20種類ほどがあり、地域
によって異なるものが見られます。たとえば関東地方では黄色いカントウタ
ンポポがよく見られますが、九州では白い花をつけるシロバナタンポポが多
く生育します。

食用として品種改良されたものは野菜として出回っており、花から根まで全
て食べることができます。根にはコーヒーに似た苦味と甘味があり、コー
ヒーが高価だった頃に代用品として利用されることもありました。

黄色い可憐な姿ながら、しっかりと地に根を下ろし、強い生命力を持つタン
ポポ。本格的な春の始まりを告げる花として、ふさわしい花ですね。


○o JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

オンラインショップ『和遊苑』で、姫革細工のお取り扱い開始しました!

しっくりと手になじむしなやかな姫革の手触りを存分にお楽しみいただける、
姫革細工の文庫サイズブックカバーのお取り扱いを開始いたしました。
華やかな柄からシックな柄まで、柄も8種類取り揃えております。お気に入
りを見つけて、豊かな読書時間をお楽しみください。

▼お店はこちら
http://www.piconet.co.jp/jtco/

▼職人さんインタビューはこちら
http://www.jtco.or.jp/tradition_craft/


○o 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第18号(2011年啓蟄号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今回の未曾有の大災害には、改めて人知を超えた自然の力の恐ろしさを思い
知らされました。しかしながら、被災した方々の前向きな姿を見るに、古来
から度重なる天災や戦災を乗り越えてきた日本人の底力を感じ、逆に力をい
ただく思いでした。一日も早い復興を願うばかりです。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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