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JTCOメルマガ『風物使』

2011年01月24日 配信
「冬枯れの道に椿咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号

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  「冬枯れの道に椿咲く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大寒号
    vol.15 2011年01月24日発行(旧暦 12月21日・師走)

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拝啓
早いもので1月も下旬。南日本では梅の便りも届き始める今日この頃、皆さ
まいかがお過ごしでしょうか。暦の上ではすでに冬も終わりです。暖かい
春を心待ちに、温かい食べ物で冬の寒さを乗り切りましょう。


+‥‥+ 2011年大寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・季節の祭り…………… 歳神様をお送りします:『左義長』
 ・旬の味………………… ダイコンとは他人です:『カブ(蕪)』
 ・季節の花……………… 常緑の神秘を感じて:『ツバキ(椿)』
 ・JTCOからのお知らせ… 江戸柄のお手紙に冬の便りをしたためて。
 ・編集後記


○o 季 節 の 祭 り ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

歳神様をお送りします:『左義長』

松飾りが飾られている元旦から14日まで(もしくは7日まで)を「松の内」
と言うのに対し、15日から月末までの餅花やまゆ玉が飾られる期間を、「花
の内」ということがあります。いわゆる「小正月」(こしょうがつ)と言わ
れる時期で、特に農村では豊作祈願や鬼やらい、神送りの行事が行われます。

その中で、どんと焼き、サイト払いなどと地方によって呼び方は異なります
が、正月飾りや書初めなどを火にくべて、炎や煙とともに歳神様をお送りす
るのが「左義長」という行事です。

左義長の起源は、平安時代の小正月に、宮中で男の子たちが行う「毬杖
(ぎちょう、杖につけた槌で毬を相手陣内に打ち込む遊び)」の杖を、遊び
のあとに三本まとめて扇子や短冊とともに焼いて吉凶を占った行事にあると
されています。鎌倉時代の『徒然草』では、同様の行事が「さぎちやう」と
書かれており、「三毬杖」のことを指すと考えられますが、これがいつしか
「左義長」と記されるようになりました。

火災予防のために江戸時代にいったん廃れたと言われる左義長ですが、今で
も全国で行われており、小正月だけでなく、2月、3月により大きな祭りとし
て行う地域もあります。左義長の炎や煙には特別な力があって、この火に当
たると若返る、餅を焼いて食べると一年間病気にならないなど、いろいろな
言い伝えがありますから、まだ今年その力に預かっていない方は、お祭り見
物も兼ねてお出かけになってはいかがでしょうか。

▼勝山 左義長まつり(福井県)
2/26(土)・27(日)
太鼓や笛、三味線などを使ったお囃子が特徴です。
http://www.city.katsuyama.fukui.jp/kankou/sagityo/top.htm

▼近江八幡 左義長まつり(滋賀県)
3/12(土)・13(日)
町の人々の手作りの山車が特徴です。
http://www.omi8.com/maturi/sagicho.htm


○o 旬 の 味  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

ダイコンとは他人です:『カブ(蕪)』

お漬物や煮物、汁物の実など、くせのない味とやわらかな食感でさまざまな
料理でいただけるカブ。世界中で古くから栽培されていた野菜で、ヨーロッ
パや中国では紀元前の記述があるそうです。

日本では『古事記』にはカブと思われる野菜の記述が見られ、『日本書紀』
では持統天皇が栽培を推奨したと記されています。痩せた土地でもよく育ち、
全国で今では約80品種が栽培されており、東日本では小ぶりなヨーロッパ
系、西日本では京都の聖護院カブに代表される、大型~中型のアジア系が多
く見られます。春に出回るものもありますが、「春の七草」にカブの葉であ
るスズナが数えられているように、冬に旬を迎える野菜です。

根の部分にはビタミンCや、消化を助け整腸作用のある消化酵素のアミラー
ゼが含まれ、葉の部分にはカロチンなどのビタミンのほかに、鉄、カルシウ
ム、カリウムなどのミネラルを含みます。胃腸を温めるので、冷えが原因の
腹痛を抑えることが昔から知られています。また解毒作用があり、根と葉か
ら抽出した汁は虫刺されやあかぎれ、しもやけに効果があります。

緑の葉と白い根を持つので、同じく「春の七草」のスズシロであるダイコン
と兄弟かと思いきや、ダイコンとは他人でハクサイやコマツナ、チンゲンサ
イの兄弟でこれらとは掛け合わせが可能なのだそうです。ちょっと意外な気
がしますね。

体を温めてくれ、ビタミン・ミネラル補給にもぴったりのカブ。冬の健康維
持に、ぜひいただきたいものです。

▼かぶら寿司(富山県)
寒ブリの都、氷見の名物料理。カブとブリ、米などをいっしょに漬け込みま
す。
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/83.html


○o 季 節 の 花 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

常緑の神秘を感じて:『ツバキ(椿)』

「あしひきの 八峰(やつを)の椿 つらつらに 見とも飽かめや 植ゑて
ける君」(大伴家持『万葉集』巻20-4481)

(訳:峰々に咲くツバキをどれだけ眺めても飽きないように、この庭にツバ
キを植えたあなたも見飽きることがありません。)

日本原産の花で、学名もCamellia japonicaとつけられているツバキ。花が
美しい上に上質の油が採れ、硬く均質でなめらかな木質は建材、印材にも利
用されてきました。

ツバキという名は、葉が厚く艶があることから「厚葉木(あつばき)」もし
くは「艶葉木(つやばき)」から来たと考えられています。漢字では「椿」
と書きますが、これは日本で当てられた文字です。厳寒の季節に冬枯れる植
物が多い中、変わることのない艶やかな緑の葉と華やかな花をつけるツバキ
は、春の訪れを心待ちにする人々の気持ちを映したものであったのでしょう。

19世紀にヨーロッパに渡ったツバキは、冬でも常緑を保ち日陰でも花をつけ
る性質が大変愛され、さまざまな品種が作られるとともに、『椿姫』など小
説やオペラの題材にもなりました。

ツバキの花の季節は長く、寒くなる季節から5月頃まで咲くものもあります。
厳寒の季節にこそ美しく咲き誇るツバキとともに、春の訪れを楽しみに待ち
たいものですね。


○o JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

江戸柄のお手紙に冬の便りをしたためて。

しっとりと温かな質感の土佐和紙に、洗練された江戸柄を鮮やかに表現した
EDOOSAレターセット。寒い季節のご挨拶に、お気に入りの柄で心の伝わるメ
ッセージを届けませんか。

オンラインショップ「和遊苑」で、色柄豊富にそろっております。
http://www.piconet.co.jp/jtco/

※お詫び※
ショップのオープンより一定期間、特定のブラウザで買い物かごが表示され
ない不具合が発生し、お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。今後
はこのようなことのないよう、細心の注意をもって運営にあたりますので、
どうぞよろしくご愛顧のほどお願いいたします。


○o 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第15号(2011年大寒号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

今回カブの記事を書きながら、学生時代にふとフランス人の先生が「日本で
は下手な役者を大根役者というけれど、フランスではカブ(navet)というの
よ」と言っていたのを思い出しました。

なぜ下手な役者がダイコンなのかは謎ですが、フランスでもなぜカブなのか
は謎なのだそうです。「フランスと日本は昔から相思相愛なのよね」とはフ
ランス人の友人の弁ですが、なんだかこういったところにも共通の感性が垣
間見られる気がしました。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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