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JTCOメルマガ『風物使』

2017年01月10日 配信
「南天の実赤く灯る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒号

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  「南天の実赤く灯る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小寒号
    vol.104 2017年01月10日発行(旧暦 12月13日・師走)

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 いている個人/団体/法人様にお送りしています。         
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拝啓
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。酉年のスタート、皆さま
いかがお過ごしでしょうか。素晴らしい一年を祈念して、本年最初のメルマガを配
信いたします。


+‥‥+ 2017年小寒号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【植物】裏鬼門を守る木: 南天
 ・季節の行事…………   笹野観音初十七堂祭[山形県米沢市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【唐木指物】印籠ピルケース
 ・JTCOからのお知らせ   歌舞伎座1月は、山形の織りと染めの工房が出店!
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…


【植物】裏鬼門を守る木: 南天

「雪に折る 南天の葉や 配り餅」 (吉沢蕪洲)

2017年も早くも2週目に入り、お正月飾りを外してどんどん焼きの準備を始めたお
宅も多いかと思います。今年のお正月飾りや飾り花の中には、緑の葉に、鮮やかな
赤い実をつけたナンテンはありましたでしょうか。

前々回、小雪号の『風物使』では、ヒイラギが防犯のための庭木として植えられて
きたというお話をしました。生垣としての実用性だけでなく、家の鬼門除けとして、
南東の表鬼門にはヒイラギ、南西の裏鬼門にはナンテンを対で植えるのが良いとさ
れています。2017年最初の風物使は、今年一年の平安を願ってナンテンのお話をし
ましょう。

ナンテンは中国原産の常緑低木で、6月の初めごろから白い花をつけ、秋から冬にか
けては真っ赤な実をたくさんつけます。中国では古来、赤い実をろうそくの炎に見
立てて「南天燭」、もしくは根元から複数の枝が生える姿が竹に似ているため「南
天竹」と呼ばれます。

日本ではナンテンの実といえば、のど飴でおなじみですね。ナンテンの実には鎮咳
や抗アレルギー作用があり、日本には奈良時代に薬用としてもたらされたのが始ま
りのようです。繁殖力が非常に強く、ナンテンでできた弘法大師の古い杖から日本
各地に広がったという伝説が残っています。日本では「南天」が「難転(難を転じ
て福となす)」に通じることから、昔から縁起のよい木とされ、武将はナンテンの
枝を床に生けて勝利を祈り、出陣したといいます。

ナンテンは古代から呪力を持つ樹木と考えられてきたようで、中国や日本にはナン
テンにまつわる不思議な話が伝えられています。

昔、廬生(ろせい)という迷える若者が、趙の都の邯鄲(かんたん)にたどり着き、
仙人に夢が叶うという枕を授けられます。それを枕に床に就くと、みるみる出世し
て国王にまで上りつめます。子孫にも恵まれて幸せに暮らし、皆に惜しまれる中息
を引き取ったところで目覚めると、寝る前に火にかけた栗粥さえ煮上がっていませ
んでした。

これは、唐の沈既済(しんきせい)による『枕中記(ちんちゅうき)』の中の「邯
鄲の枕」という故事で、人生の儚さの例えとして有名ですが、この枕はナンテン材
で作られていたと言われています。このことから、日本でもナンテンを枕元に活け
たり、ナンテンの葉を枕の下に敷いて寝ると悪夢を払ってくれるという言い伝えが
あります。

さて、ナンテンはなぜこのように邪を払うと考えられるようになったのでしょうか。
冒頭の俳句では、ご近所への配り餅にナンテンの葉を添えていますね。江戸時代に
は重箱にナンテンの葉を敷き詰めてから赤飯をよそったようですし、今でも折詰の
彩りにナンテンの葉を添えることがあります。これはナンテンの葉に含まれる微量
のシアン化水素が、防腐剤の役目を果たしてくれるためです。また、昔は厠の前に
ナンテンの木を植えて、手水がないときには殺菌効果のあるナンテンの葉で手を清
めたのだそうです。

寺島良安による江戸時代の百科事典『和漢三才図会』(1712年)には、防火対策とし
て庭にナンテンを植えることが推奨されています。常緑樹や葉の厚い植物は保水力
が高く、防火の効果が高いとされており、ナンテンの木にもそのような性質がある
ということなのでしょう。よって江戸期には庭先に盛んに植えられました。

またナンテン材は緻密で虫がつきにくいと言われていますが、太くまっすぐなもが
珍しいため、太いものは「南天の床柱」と呼ばれて珍重されます。日本でもっとも
太いナンテン材は柴又の帝釈天にある太さ30センチのものとされており、これで樹
齢が1,500年とされています。弘法大師の杖も、「邯鄲の枕」も、いずれも希少なも
のの例えでもあったわけですね。

色鮮やかな赤い実と常緑の葉が目に美しいだけでなく、実用性にも優れたナンテン
は、お祝いごとや厄払いには欠かせないものであったことがわかりますね。挿し木
で容易に育てられるということですから、お庭のある方は今年一年の息災を願って、
ぜひ一株育ててみてはいかがでしょうか。

【参考サイト】 2017年1月8日参照
1) Wikipedia, “ナンテン”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3
2) Wikipedia, “邯鄲の枕”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%AF%E9%84%B2%E3%81%AE%E6%9E%95
3) 南天研究所, “南天豆知識”
http://nanten-lab.jp/knowledge/
4) 花々のよもやま話, “ナンテン(南天)”
http://plumkiw948.at.webry.info/200911/article_26.html
5) 福嶋司,森林科学講座18,"群落の防火性"
http://www.foresternet.jp/app/srch3/get_file/6191
6) Wikipedia, “柴又帝釈天”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B4%E5%8F%88%E5%B8%9D%E9%87%88%E5%A4%A9



,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

笹野観音初十七堂祭
[山形県米沢市](1月17日)

古くは旧暦12月17日に行われたので、年越し祭りともよばれています。

この日は観音堂門前と城南5丁目に一刀彫りの露店が立ち、お鷹ポッポや恵比須大黒、
十二支の縁起物を求める人で一日中にぎわいます。

祭りの日は必ず吹雪くというジンクスがあり、雪の露店市に一層の風情が漂います。
観音堂の境内では、無病息災を祈願する火渡りの荒行が行われます。


※ぴこねっと「日本ねっ島」より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/11360



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【唐木指物】 印籠ピルケース・薬入れ / アクセサリーケース

黄門様でおなじみの印籠、かつて薬入れとして使われていたものですが、実はけっ
こう優れものだということはご存知でしょうか?

紐付きで鞄などどこにでもつけておけますし、留め玉のスライドだけで開閉ができ、
紐が蓋に通してあるので開けても落とす心配がありません。薬だけでなく、ピアス
やネックレスなどのアクセサリーケースとしてもご利用いただけます。

こちらの商品は花梨、紫檀、柘植、桐などの高級木材を使用して、細部も狂いなく
仕上げた唐木職人による逸品。現代の生活の中でもぜひご活用ください。


詳しくはオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=cate&csid=0&cbid=2214338



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


【歌舞伎座】1月は、山形産シルクを使用した織り・染め工房が出店!

2017年最初の歌舞伎座は、山形より織りと染めのスペシャリスト「手織りや 虚籟
庵(きょらいあん)」(1/2-16, 1/26-31)が出店しております。

今日日本で販売される絹織物は外国産がほとんどですが、山形県鶴岡市は養蚕から
製糸・製織・捺染(なっせん)までの一連の工程を手掛ける国内で唯一の産地です。

「虚籟庵」では、この国産シルクを惜しみなく使用した、手織りの帯や小物、お手
頃価格の草木染めストール、手染めワンピースなどをお取扱いしております。

17日からは、大手百貨店にシルクスカーフなどを提供する、「芳村捺染」が25日ま
で出店いたします。

ぜひ、銀座歌舞伎座地下二階、木挽町広場にお越しくださいませ。

詳しくは、JTCOホームページで↓↓
http://www.jtco.or.jp/news/?act=detail&id=137



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第104号(2017年小寒号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

地域によっては小正月までは松の内、というところもあるそうですが、私どものい
る関東では連休も終わり、お正月気分も来年までお預けです。

皆さんは、今年はどんな年にしたいでしょうか?世の中の情勢は刻々と変わります
が、そんな中でも長く受け継がれてきたモノ、コトの意義を考えながら、私たち日
本人一人ひとりが文化の担い手になりたいものですね。

本年も、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

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〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
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