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JTCOメルマガ『風物使』

2010年09月06日 配信
「月空澄み秋虫啼く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』白露号

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  「月空澄み秋虫啼く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』白露号
      vol.6 2010年9月6日発行(旧暦 7月28日・文月)

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拝啓
夜は時折涼しい風を感じるようになり、秋虫の便りも届き始めた今日この頃、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
夜空を見上げると、心なしか月が澄んだ空に明るく輝いているように見えま
す。長かった夏も、そろそろ終わりなのでしょうね。


+‥‥+ 2010年白露号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・季節の祭り…………… 月明かりを感じて:『十五夜』
 ・旬の味………………… 縄文からの縁起物:『サトイモ(里芋)』
 ・季節の花……………… 「カヤ」ともいいます:『ススキ(芒、薄)』
 ・編集後記


○o 季 節 の 祭 り ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


月明かりを感じて:『十五夜』

「夕闇はみちたづたづし月待ちて 行ませ吾が背子その間にも見む」
(大宅女『万葉集』巻4-709)

(夕闇の路は暗くて足元がおぼつきません。どうぞ、月が出るまで待って、月
明かりの中をお帰りください。その間にもう少し、あなたを見ていたいので
す。)

ネオンや街灯が煌々とともる現代の夜には、月明かりも霞みがちですが、それ
でも湿気が去った後の澄んだ秋空に上る満月の輝きは、それまでの季節からは
際立っているのがわかります。

旧暦8月15日のお月見は、旧暦で秋にあたる7~9月の真ん中にあたることから、
「中秋の名月」と言われます。中華圏では、「中秋節」としてこの日に月餅を
家族や友人と一緒に食べる習慣が今でも盛んですが、中国では古代からこのよ
うな月見の風習があり、これを遣唐使が持ち帰ったことから日本のお月見が始
まったといわれています。平安貴族たちは、空の月を見上げるのではなく、庭
の池に船を浮かべて、水面に映る月や、盃の酒に揺れる月を観て歌を詠んだと
いいます。

日本でのお月見は、この旧暦8月の十五夜と、もうひとつ美しいとされる旧暦9
月13日の「十三夜」の両方を祝うという独特の習慣になりました。どちらかだ
けを観るのは「片見月」といわれ、縁起が悪いこととされていました。

この時期には、イネが実り始めイモ類が収穫できることから、収穫に感謝する
ための農耕儀礼の要素も色濃く見られます。地域によって内容や形式は異なり
ますが、十五夜の晩には、イネに見立てたススキや秋の花、満月を模したお団
子、そして今年収穫したイモや果物などをお月さまにお供えします。

2010年の「十五夜」は、9月22日(水)です。電灯を落とし、ろうそくを灯し
てお月見を愉しむ催しが各地で行われているようですので、今年は月明かりが
夜の暗闇をどのくらい照らすのかを、ぜひ感じてみてください。



○o 旬 の 味  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


縄文からの縁起物:『サトイモ(里芋)』

十五夜の月を「芋名月」とも言うように、9月はイモ類の収穫が始まる季節で
す。現代の日本の食生活では、江戸時代にようやく入ってきたジャガイモやサ
ツマイモに圧されがちな気もするサトイモですが、日本での栽培の歴史はイネ
よりも古く、縄文時代にアジア南部から伝えられたといわれています。それ
で、江戸時代まではイモといえばこのサトイモのことを指していました。

「サトイモ」の呼び名の由来は、山でできるヤマイモ、ヤマトイモ、ナガイモ
に対して人里で作られるので「里芋」ということになったのだそうです。サト
イモはコメの凶作時には代替食として大切な作物であったと考えられ、親イモ
から子イモがたくさん収穫できることから、子孫繁栄の象徴ともなって、お正
月や祭事のお祝い料理に供されるようになりました。

サトイモはイモ類の中では水分が多く低カロリーで、塩分の排出やむくみ、血
圧の抑制に効果のあるカリウムや、代謝を促進するビタミンB1・B2が含まれて
います。また食物繊維のガラクタンは脳細胞を活性化して老化を防ぎ、ヌメリ
成分であるムチンには肝臓や胃腸を丈夫にする作用があります。

サトイモの茎の部分は『ズイキ(芋茎)』と呼ばれ、皮をむいて乾燥させ、食
べるときに茹でて酢の物や和え物にします。炭水化物やミネラル、たんぱく質
や脂肪分をバランスよく含み、長期の保存が利くため、戦国武将の加藤清正
(1562~1611)は、熊本城の畳にズイキを仕込んでおき、籠城のときの食糧と
して備えたという話も伝わっています。

日本人の食生活に古くから根付いて命を支えてきたサトイモ。これからの旬の
時期、収穫に感謝して、汁物や煮物でおいしくいただきましょう。


▼いものこ汁(岩手県)
鶏ガラベースの具沢山の汁物です。
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/51.html


○o 季 節 の 花 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


「カヤ」ともいいます:『ススキ(芒、薄)』

「秋の野の尾花(をばな)が末(うれ)の生ひなびき 心は妹に寄りにけるか
も」(柿本人麻呂『万葉集』巻10-2242)

(秋の野に揺れなびくススキの穂先のように、私の心もあなたの方になびいて
しまいました。)

ススキは古名を「ヲバナ(尾花)」といい、同じイネ科のチガヤなどとともに、
「カヤ(茅、萱)」とも呼ばれます。秋風に揺れなびく姿は万葉の時代から秋
の風物詩で、秋の七草にも選ばれています。

動物の尾のように見える穂(花穂・かすい)は、時期や場所によって、赤や紫、
黄金色など色合いが異なります。白や銀色に輝くのは実がついて綿毛の出るこ
ろになります。この綿毛は、タンポポと同じように、風に乗って遠くまで種子
を運んでいきます。

ススキはかつて、茅葺き屋根や炭俵の材料、家畜の飼料や田畑の肥料など、
人々の生活には欠かせないものでした。集落の近くには、定期的に借り入れを
するススキの草原があって、「茅場(かやば)」と呼ばれていました。東京に
は、「茅場町」という町名が残っていますが、ここは隅田川のほとりで沼沢地
であり、江戸時代に大切な建材であるカヤを火災から守るために、神田橋外か
らカヤの集積地をここに移したからとも、茅商人たちをここに移住させたから
とも言われています。

ススキなど、カヤ類の植物の旺盛な生命力は古代から神秘的なものとされ、厄
除けや五穀豊穣の祈願にも利用されてきました。今でも各地の大祓(おおはら
え)の神事で茅の輪(ちのわ)くぐりが行われることにもそれが表れています。
また、関東地方の集落では、十五夜の晩に茅の箸を作ってお供えしたり、その
箸で赤飯などを食したりする習俗が残っているところもあるようです。

ススキが普段の生活から姿を消してから久しくなりますが、十五夜の晩、スス
キをお月さまにお供えして秋の風情を楽しみながら、ススキの力をちょっぴり
おすそ分けしてもらえたらよいですね。



○o 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

『風物使』第6号(2010年白露号)を最後までお読みくださったみなさま、誠
にありがとうございました。

筆者は以前、東京の茅場町の外れのオフィスビルで仕事をしていたのですが、
昔はここにカヤが集められて、人々の暮らしの中に運ばれていったのだと思う
と、なんとなくほっとする気がしました。このあたりの川のほとりは、いまは
遊歩道が整備されて、生活感はもうないですが、ちょっとしたお散歩にはもっ
てこいです。もう少し涼しくなったら、カヤを載せた船が行き交う様子を思い
浮かべつつ、歩いてみようかなと思っています。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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