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JTCOメルマガ『風物使』

2015年07月24日 配信
「瓢箪に夏宿る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大暑号

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  「瓢箪に夏宿る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』大暑号
    vol.83 2015年7月24日発行(旧暦 6月9日・水無月)

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拝啓
梅雨明け後、夏休みに入った方も多いのではないでしょうか。酷暑の続く毎日、
水分補給を十分に行い、熱中症に注意するように致しましょう。

+‥‥+ 2015年 大暑号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【植物】異世界へのいざない:瓢箪     
 ・季節の行事…………   福島わらじまつり[福島県福島市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革・白なめし革】Hasu no Hana(蓮の花)
 ・JTCOからのお知らせ   【印伝】新商品のお知らせ~お財布~
 ・編集後記


,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥…

【植物】異世界へのいざない:瓢箪

瓢箪は、ウリ科の一年生つる草。ユウガオの一変種です。源氏物語第四帖夕顔
の巻に「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」と詠まれている
夕顔は、瓢箪と同種の植物です。大きさにより、豆ひょうたん(5cm以下)、千
成(10cm前後)、百成(13~20cm)中成(20~30cm)、大瓢(30~50cm)、長瓢
(100~150cm)などの種類に分かれます。他に、立姫、鶴首、ダルマなど変形
したものもあります。日本では、夏の日除けとして瓢箪の棚作りが盛んにおこ
なわれてきました。(*1)

瓢箪は世界最古の栽培植物のひとつで、ペルーのアヤクチャの洞窟から紀元前
1万3000~前1万1000年、メキシコのオカンポ洞窟から前7000年頃、中国の河姆
渡遺跡から6500年前、日本の鳥浜貝塚(福井県若狭町)から8500年前の瓢箪の
果皮や種子が出土しています。原産地は、野生種の存在、種子の形の多様性か
らアフリカとみられます。(*2)

用途は、水入れのほか酒、香辛料、塩、炭入れ、食器、酒杯、薬壺、矢筒、花
器、虫かごなどの多様な容器、種子入れなどの農具、魚籠としての漁具、呪術
や祭事用品、シンボル、食料、楽器と100以上の分野に渡ります。特に、楽器
としては東南アジアの笙、インドのコプラ笛、アフリカのマラカス、マリンバ、
メキシコのギロ、ハワイのフラダンスの太鼓など多様な民族楽器があります。
弓と組み合わせた弓琴はもっとも古い楽器のひとつで、現在もカボンのムベッ
ト、ブラジルのビリンバウなどに残っています。(*2)日本では、平安時代
に念仏踊りの楽器として太鼓、鉢とともに、ひょうたんを打ち鳴らし節をとっ
ていたのだそうです。世界中で打楽器、弦楽器、管楽器としてマルチに使用さ
れていたのですね。

瓢箪は、日本では古くは「瓢(ひさご)」とという名で、水汲み用としてのひ
しゃく、食事の椀、酒の容器、穀物の種入れなどに利用されてきました。農耕
民族の日本人にとっては、生活になくてはならないものでした。(*3)

また、古くから呪具のひとつとして使用されていたため、邪気を鎮める容器と
みなされていました。日本で初めてひさごとして公式文書として記述された
『日本書紀』では、仁徳天皇11年(323年)にひょうたんが水神を鎮めるもの
として登場し、『延喜式』には、火神を鎮める呪具のひとつにあげられていま
す。(*3)伊勢神宮の祭祀にも、不可欠な祭器であり神聖な器として用いら
れてきました。これは瓢箪の持つ円い空洞のふくらみや中空にぶら下がって実
る姿に古人たちが神霊さを認めてきたためと思われます。(*4)このような
ことから、瓢箪は厄を払い、災難を逃れ、福を呼ぶ魔よけの作用があると信じ
られ、庶民の間で植物の葉で瓢箪の作り物を作り、子供の腰に下げて病気や災
難除けのお守とする風習があったとされています。(*3)

瓢箪の名は『和漢朗詠集』の「瓢箪屡空(しばしばくう)」から広がったといわ
れています。中国の『論語』で、「瓢」はお椀、「箪」はお皿という意味で、
一椀一皿の粗末な食事を表す「一瓢の飲」「一箪の食」の瓢と箪(飯盛り器)
を、誤って瓢箪と重ねたことによるのだそうです。(*1)

中国では、瓢箪は最古の詩集である「詩経」にも登場するほど古くから人々に
よって栽培されていました。食用、薬用のほか、穀物や液体を入れる容器とし
て広く使われてきたといいます。また、ひょうたんのそのくびれた形から「入
るのは容易だが出るのは困難」とされ、いったん吸い込んだ邪気を外に出さな
いとされる化殺効果が信じられてきました。『西遊記』の孫悟空が瓢箪の中に
吸い込まれることは、その信仰の一例とされています。また、生命や繁殖の象
徴、例の宿る入れ物として、瓢箪の中には異世界があると信じられてきました。
(*3)

日本でも、瓢箪は神秘的で、膨らんだ中身は異次元空間で不思議な力が宿って
いると信じられており、様々な物語や伝承として昔から伝えられてきました。
瓢箪にまつわる昔話で日本最古の13世紀前半(鎌倉時代前半)に成立されたとい
われる宇治拾遺物語の「腰折雀」(四十八『雀報恩の事』巻三の十六)には、
傷ついた雀を助けた老女の元に雀が届けた瓢箪の種からなった実の中から大量
の米が出てきた話は、とても有名です。その他にも、伝承として青森県では願
ったものが瓢箪から出てくる話の「ひょうたん長者」、沖縄では豊作に実った
瓢箪が全て米に変わった「宝瓢箪」などの逸話があります。(*3)

このようなイメージは、日本には渡来人が持ち込んだか、または飛鳥時代~奈
良時代に渡って、仏教伝来以降一緒に伝わってきたものと考えられています。
事実、「瓢箪から駒が出る」といって、白いロバに乗って一日に数万里を移動
し、休む時はロバを紙のように折りたたんで瓢箪の中にしまい、乗る際には水
を吹きかけてもとの姿に戻したという中国の故事・伝説より、「思わわぬとこ
ろでいい結果が出る」という意味のことわざの主人公の中国唐代の道士であり、
八仙の一人にも名を連ねる張果老(ちょうかろう)(*5)が、奈良時代の神
護景雲年間(767~)に再建されたと言われる大前神社に彫刻として彫り込まれ
ています。

奈良時代の西暦717年11月には、元正(げんしょう)天皇の「養老改元の詔
(みことのり)」によって、それまで“霊亀(れいき)”だった元号が「養
老」に改められ、養老年間が始まりました。これは、「孝子伝説」と言って、
現在の岐阜県養老郡養老町に流れる養老の滝の湧き水を孝子神社の菊水泉より
ひょうたんに汲んで呑んだらお酒に変わったという伝説から来ています。実際
に元正天皇自ら行幸の際にお立ち寄りになられた際に、中国の伝承や吉事の記
録書を引用し、美泉の存在を大変おめでたいものとして、改元されたのだそう
です。このことからも、瓢箪が、日本人の生活や文化に深く親しまれたことが
わかります。(*6)

また、瓢箪といえば豊臣秀吉の馬印が有名です。その昔、織田信長が難儀して
いた美濃の斎藤攻めで、堅城の稲葉山城の攻略に実行隊長として尽力したのが
秀吉(当時は木下藤吉郎)でした。秀吉の活躍もあり、1567年に稲葉山城は落
城します。城に奇襲をかける合図を送ったのが、槍の先につけた瓢箪と言われ
ています。その功もあってか、信長は瓢箪を馬印(旗印)にすることを許しま
す。その後、秀吉は戦に勝つたびに馬印の瓢箪を増やし、いつの日か秀吉の馬
印は千成瓢箪と呼ばれるようになりました。現在、そのひとつが先に紹介した
岐阜県養老郡養老町に有形文化財として秀吉のひょうたんの馬印「愛瓢馬票」
が残っています。(*7)

大正時代となり、秀吉も足を運んだことがある商人の町・尾道では、浜問屋の
旦那衆の道楽からはじまり、瓢箪のない家がないといわれるほどに瓢箪集めが
大流行していたそうです。その頃、たまたま道中の船上で瓢箪話を聞いた志賀
直哉は、その話をもとに小説「清兵衛と瓢箪」を書き上げることとなります。
(*4)ひょうたんには、化殺効果のほか、末広がりの形から、「財運の気」
をひょうたんが吸い込んで千客万来、商売繁盛の良運をもたらすと信じられて
いました。「子孫繁栄」や「家運興隆」の意味も有し、縁起がいいものと信じ
られてきました。

太古から、人々の生活とともにあった瓢箪。その意味を考えながら、今年は家
に飾ってみたいものですね。


<参考文献>
*1 開運なび, ひょうたん百科事典,
http://www.kaiun-navi.jp/navi/magazine/hyotan_info.html
*2 コトバンク, ヒョウタン,
https://kotobank.jp/word/%E3%83%92%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%B
3-1582733
*3 禦 殿武, 『宝のひょうたん』論 -昔話から近代児童文学への再話につ
いて-,
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/assist1/Sh-H0142.pdf
*4 桂馬蒲鉾商店 蒲鉾歳時記, 瓢箪,
http://keima-kamaboko.com/bimi/saijiki_5.html
*5 財団法人 戸栗美術館, 瓢箪から駒がでる,
http://www.toguri-museum.or.jp/gakugei/back/2012_08.php
*6 養老町, 養老改元1300年祭って何だろう?,
http://www.town.yoro.gifu.jp/view.rbz?cd=2126#005
*7 masayanのEmotion Inmotion, 信長と秀吉と千成びょうたん発祥の地,
http://masayan-ei.sakuraweb.com/blog/2015/02/27/sennaribyotan/


,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

福島わらじまつり
[福島県福島市] (7月31日、8月1日・金、土曜日)

古くより歌枕で知られる信夫三山(信夫山)にある羽黒神社の大わらじ ( 長
さ12m・重さ2t ) は日本一と称され、古来より健脚を願って毎年2月の
「暁 ( あかつき ) まいり」において健脚、旅の安全、無病息災などを祈って
奉納されています。福島わらじまつりは、大わらじ(片足分)を奉納すること
により、「暁まいり」に奉納された大わらじとあわせて一足(両足分)とし、
より一層の健脚を祈願する意味も込められております。

わらじまつり 由来についてより引用
http://www.fmcnet.co.jp/waraji/yurai.html
※PCサイト


,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【姫革・白なめし革】 <Hasu no Hana(蓮の花)>
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,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

【印伝】新商品のお知らせ~お財布~
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,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

『風物使』第83号(2015年大暑号)を最後までお読みくださったみなさま、誠
にありがとうございました。

小さい頃、暑い季節になると通園や通学の途中にある民家の軒先に瓢箪がなっ
ており、「ヒョウタン」というものだとは知りつつも、日常で使っているもの
ではなかったので、珍しい不思議な植物だと思って眺めていたのを覚えていま
す。

昔は生活用具として重宝されており、多くのおめでたい謂れを持つ瓢箪。瓢箪
の水筒は飲み物を冷たく保つ効果もあるとか。持ち歩くにも軽そうですし、か
つては実用にもお守りにもうってつけのアイテムだったのでしょうね。

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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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編集責任者: 小坂 典子

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