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生活の中の伝統 ― 冬至 ―

2014/12/15
生活の中の伝統 ― 冬至 ―

日本には四季折々に様々なイベントがあり、私たちも何気なく伝統に触れながら生活しています。そんな12月の伝統行事の1つに、冬至(とうじ)があります。今年の冬至は去年に引き続き、日曜日となっております。

今回のコラムは、冬至の基本と、行事の楽しみ方をご紹介しようと思います。


■ 「冬至」とは?
一年のうちで昼間が一番短くて、夜が一番長い日とされてきた日のことです。
昔の中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくると考えていました。そこで、冬至のことを陰が極まり再び陽にかえる日という意の「一陽来復(いちようらいふく)」といい、この日を境に運も上昇するとされています。また、悪いことが続いても、回復してよい方向に向かうという意味もあります。
古くは「湯治(ゆじ)」という意味もあり、そこから「柚子」の入ったお風呂に入るという行事につながったという説もあります。

■ 冬至に食べるもの「かぼちゃ」
冬至には「ん」のつくものを食べると「運」が呼びこめるといわれています。にんじん、だいこん、れんこん、うどん、ぎんなん、きんかん……など「ん」のつくものを「運盛り」といい、縁起をかついでいたのです。
かぼちゃを漢字で書くと南瓜(なんきん)。つまり、「運盛り」のひとつで、かぼちゃはビタミンAやカロチンが豊富で、風邪や中風(脳血管疾患)予防にも効果的です。
「運盛り」は縁起かつぎだけでなく、栄養をつけて寒い冬を乗りきるための知恵でもあります。本来、かぼちゃの旬は夏ですが、長期保存が効くことから、冬に栄養をとるための先人の知恵でもあったのです。
地域によってはかぼちゃに加えてこんにゃくを、冬至の日の朝のうちに食べるという場所もあるそうです。

■ 冬至の主役「柚子湯」
北風の強い日に、あったかいお風呂に柚子を浮かべ、湯船につかって深呼吸。「柚子湯」を堪能している、まさにこの瞬間こそ、「冬至」最大の醍醐味ではないでしょうか。
本来、運を呼びこむ前に体を清めて厄払いするための禊(みそぎ)のためのものですが、【ゆず=「融通」がきく】【冬至=「湯治」】という語呂合せ、という説もあります。
ゆず湯に入ると1年間風邪をひかないといわれています。ゆずには血行を促進して冷え性をやわらげたり、体を温めて風邪を予防する働きがあり、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果もあります。さらに、香りによるリラックス効果もあるため、元気に冬を越すためにも大いに役立ちます。

■ 「柚子湯」の楽しみ方
「柚子湯」には特に決まった入浴方法はなく、各々の好みのスタイルで楽しむことができます。

1:まるごと湯船に浮かべる
皮ごと、まるごと湯船に浮かべます。一番ベーシックな方法です。
1個~2個では香りを感じるほどにはなりませんので、香りを楽しみたい方は多く入れるのがおすすめです。

2:輪切りや半分にカットして湯船へ入れる
もっとも香りが感じられ、柚子の成分も出やすい方法です。ただし、切った柚子を直に入れてしまうと、だんだん形が崩れてきてしまい果肉や種がお湯に浮いてきます。ガーゼに包んだり、ネットに入れて楽しむことを使用する事をおすすめします。

その他にも、「皮を何ヶ所か削いで、柚子を丸ごと入れる」「浅く切り込みを入れてから、柚子を丸ごと入れる」「皮、または液体をしぼって湯船に入れる」「半分に切って熱湯でよく蒸らしてから、湯船に入れる」など、さまざまな方法があります。
いくつかの楽しみ方を組み合わせたり、また、新しいスタイルを発見するのも楽しいかもしれませんね。


私自身も、去年までは由来などもよく知らないままに、かぼちゃを食べて柚子湯につかっていました。こうして改めてその行事の意味を調べてみますと感心しますし、より一層、行事を楽しむことができると思います。

みなさまも、どうぞ楽しい冬至をお過ごしください。


<参考サイト>
http://kids.goo.ne.jp/parent/seasonevent/touji/detail_01.html ゆず湯の由来とやり方
http://www.syufu-jitan.com/year/winter-event/winter-solstice/1593-jitan.html 冬至にすることはこれ!



2014/12/15 kan