どこまでシェアする?(前編)
2013/08/02どこまでシェアする?(前編)
今、「シェア」という価値観が一つのトレンドとなっています。
ここ数年で、カーシェアリング、シェアハウス、オフィスシェアリング、ソーシャルネットワークによる情報のシェア。最近では3Dプリンターを介してプロダクトの設計図をシェアする「オープンソース化」というのも話題になっていますね。
多くはビジネス、ライフスタイルの多様化や変化から出てきた「新しい考え方」と思われているかもしれません。
いわゆる「ノマドワーカー」や、20-30代を中心とした若い世代にこの考え方が浸透しておりますが、抵抗を持っている人がいるのも事実ですね。
一方で、日本において少し前までは「向こう三軒両隣」、お隣さん同士で調味料の貸し借りや「お湯(風呂)」の貸し借りなどが一般的に行われていました。
それに加え、日本人は「謙虚」を美徳とし、相手に「配慮」しお互いの「間」を大事にすることで、親交を深めてきました。
また「配慮」を英訳すると”share one's heart”(「[対訳ニッポン双書]日本人の心」より)であり、つまり相手の気持ちを慮り「心をシェアする」ことこそ肝要である!というのが伝統的価値観と言っても過言ではないでしょう。
その考え方は今も変わらず、狭い道で道を譲ってくれた人に対して軽く会釈すれば「ありがとうございます。」と伝わりますし、「空気を読む」というのは正にその場にいる全員で心を「シェア」している好例ですね。
伝統的に言えば、「以心伝心」、「江戸しぐさ」など、当時の社会生活には欠かせないノンバーバルコミュニケーションもやはり「心のシェア」であり、そういった文化の根底には、こんな日本人の独自性が隠れていたのですね。
ではそんなシェア上手な日本人が「シェア」に躊躇するのはどんなときでしょうか。
後編ではそこに迫っていきたいと思います。
お楽しみに!
2013/7/28 yasuda