メートル原器、重要文化財に
2012/06/18メートル原器、重要文化財に
物差しの物差し、日本で70年
小さなレールのようにも見える細い棒。1メートルを定める物差しにあたるメートル原器だ。産業技術総合研究所の所有で、近く国の重要文化財に指定される。
原器の素材は白金90%、イリジウム10%の合金でできている。
熱で膨張しにくいうえ、年月がたっても変形が小さいく、硬いといった要求を満たす。しかも断面はX型に加工して曲げにも強い。
重さが3.28キログラムで、長さは102センチメートル。作製当初は両端から1センチメートルの所にそれぞれ3本の線があり、真ん中の線を結んだ長さを1メートルと決めていた。
メートル条約が結ばれたのは1875年。3年後に国際度量衡委員会が
30本の原器を製作した。
そのうちの1本が122年前、フランスから日本に渡ってきた。
日本では1891年にメートル法に基づいて度量衡法が公布され、メートル原器が長さの標準となった。
関東大震災や太平洋戦争の災禍を免れて保存されてきたが、メートルの決め方は変わった。
1960年にメートルの定義は光の波長に基づくものに変わり、原器は役目を終えた。
今では、1メートルの長さを「1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ」と決めている。
(出典・日本経済新聞 2012/6/17)