風鈴は新しいメディアへ
2013/07/16風鈴は新しいメディアへ
毎日暑い日が続いておりますが、皆様夏バテなどしておりませんでしょうか。
空調の効いた涼しい部屋で乗り切るのも一つの手ですが、暑さと上手に付き合うというのも、日本人が培ってきた知恵ですね。
打ち水、簾(すだれ)、ござ、浴衣にかき氷…。様々ございますが、やっぱり風鈴は外せません。
「音に涼をとる。」というのは日本独自の文化です。
ガラスや鉄、銅、陶器など素材も幅広く、奏でる音色も高く透き通るように響くものもあれば、コロンとした心地よい濁りのある音もあります。
そんな音の中に「川のせせらぎ」や「虫の鳴声」を連想し、ほっと一息つく。
このように風鈴から涼を感じるようになったのは、江戸時代頃からのようです。
じっとりと暑い日本の夏に、耳から心を涼む、という何とも奥ゆかしく豊かな感性は、江戸も平成も変わらないということです。
ただ、最近は近隣住民の騒音などを考えて、この風鈴を楽しむにもマナーが必要です。
室内で、外に音の漏れないように、夜は外して、などなど…。
多様な価値観がありますから、マナーは大事ですね。
そんな現代で「500個の風鈴の音を聴く」という大胆な催しがあるのをご存知でしょうか。
東京都大田区にある池上本門寺の境内にて、今年で9回目を迎えるイベントです。
東急池上線池上駅を下車し商店街を歩いていくと、商店の軒先にかかった風鈴が、優しい音色で誘います。
山門を臨むアプローチに辿り着くころには、境内へ続く長い階段の上から、微かに、風に乗って高い澄んだ音が聞こえてくるのです。
いざ境内に着くと、風の強弱に合わせて500もの風鈴が短冊を揺らし、時に壮大に、時に漂うように、共鳴します。
ワークショップを通じて来訪者に書いてもらったという短冊には、それぞれの願いが書かれています。
テーマは「つながり」。
風を感じる=自然と「つながる」。
願い事を通して想いが重なる=人と「つながる」。
平安時代に中国から日本に伝来し、長い歴史を経て厄除けから夏の風物詩となった風鈴は今、新しいつながりを生む「メディア」としての役割を担おうとしているのかもしれません。
伝統とは変化、革新を以て初めて次代に受け継がれていくものです。この変化の途上こそ、「伝統」が生まれる瞬間なのかもしれないと思うと、ワクワクしますね。
イベントは7月20日土曜日まで行われています。
皆様ぜひ一度足を運んでみてください。
HP:http://www.ikiiki-community.org/event.html
facebook:https://www.facebook.com/500windbells
2013/7/15 yasuda