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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品高知県

高知県
工芸品の分類 石工品・貴石細工
工芸品名 宝石珊瑚

主要製造地域:高知県




《特徴》
宝石珊瑚のジュエリーは幅広い年代層に支持され、宝石珊瑚の希少性とも相まって普遍の価値を生み出しています。地域や時代により宝石珊瑚を使用した宝飾品にも違いがあります。宝石珊瑚素材を最大限に生かした丸玉を使ったオーソドックスなリングやネックレスが根強い人気がありますが、日本では和装に彩を添えるかんざしや帯止めなどの宝飾品としても、時代を超えて愛用されています。

宝飾品に使われている「宝石珊瑚」は、海の生き物達が生息する珊瑚礁を形成する「造礁珊瑚」とは別物になります。主に深海(水深100m以上)に生息する硬質の珊瑚で、ポリプ(珊瑚虫)の触手が8本に分かれ、多くは太陽の光が届かない深く冷たい海の底でひっそりと生息しています。その骨格はとても硬く磨くと美しい光沢を放ち、太古の時代から洋の東西を問わず宝飾品として愛されてきました。

[高知県伝統的特産品]
提供:日本珊瑚商工協同組合 様

素材 珊瑚
製法・工法 【1】原木選材
宝石珊瑚の原木の形状、色、質などにより、原木をジュエリー・立体彫刻・平面彫刻・和装小物など様々な用途に選別します。

【2】デザイン
原木の形に合ったイメージを図柄に合わせて、材料にデザインして形取りをします。

【3】カット
電動式ダイヤ盤の切断機を使用してデザインに不要な部分を切断します。カットされた宝石珊瑚は、その用途に応じた加工を施されます。

【4】荒彫り
デザインした形状に合わせておおまかな形に荒く削り取ります。技工士が使用するリューターという加工用具で、熟練した職人が手先の感覚と頭の中のイメージをもとに彫りを行います。

【5】仕上げ彫り
より細かい部分の加工は、20種類以上の仕上げ用工具を用いてより細かいアクセントをつけます。最後に粒子の異なるサンドペーパーを掛けて彫りを終了します。

【6】磨き仕上げ~艶出し
希塩酸に製品を浸し、その後、水で冷やしたり、湯に浸けたりする作業を反復して20分程繰り返すと宝石珊瑚本来の光沢が引き出されます。そして最後に仕上げ磨きを行い完了です。
歴史 古来より愛されてきた海の神秘宝石珊瑚は古くから、真珠と並ぶ海の宝石として人々に愛されてきました。ドイツの旧石器時代(約2万5千年前)の遺跡から珊瑚の玉が発掘され、古代ローマ人も子供の健やかな成長を祈って揺り籠に添え、また兵士たちは護符として身に付けて戦場に赴きました。遥々とシルクロードを辿って日本にもたらされた地中海の珊瑚は、奈良・正倉院の御物として今に伝えられています。

キリスト教や仏教だけではなく、イスラム教やヒンズー教においても、宝石珊瑚は装飾素材を超える重要な意味を与えられて来ました。それ以外にも中国やインドでは医薬品として、またカルシウムが不足する土地では補給食品として珍重されたようです。
関連URL https://www.japan-coral.net