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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品山梨県

山梨県
工芸品の分類 染色品
工芸品名 本染甲州武者のぼり・鯉のぼり

主要製造地域:山梨県




《特徴》
染物はすべて手作業で行われており、全体的に色鮮やかな作風です。

◎本染甲州武者のぼり(ほんぞめこうしゅうむしゃのぼり)
武者のぼりの起源は、武士の旗差物(はたさしもの)からです。山梨県では江戸末期頃から、我が子が武田信玄公のように強く大きく育ってほしいという願いをこめ、勇敢な武者絵巻として端午の節句ののぼりとして建て始められました。
代々受け継がれている下絵(川中島の戦い、富士の巻狩りの絵)と鮮やかな色合いが特徴です。

◎本染甲州鯉のぼり(ほんぞめこうしゅうこいのぼり)
鯉のぼりは武者のぼりと同様、すべて手染めで作られています。上質な餅米粉と米糖からつくる糊から始まり、布の精錬・下絵・糊置き・染め付け・水洗い・干しまですべてが手作業で丁寧に仕上げられています。
江戸末期から続く技を受け継ぎ、ダイナミックに染め上げられた鮮やかな色合いが特徴です。

[山梨県郷土伝統工芸品]
提供:井上染物店 様


伝統工芸品「本染甲州鯉のぼり」の写真

素材 布、糊(餅米粉、米糖)、奈良墨、膠(にかわ)
製法・工法 【1】糊づくり
のぼりの染めは「糊染め」といわれ、その糊づくりは作業工程の命です。上質な餅米の粉と米糖を丁寧に練り、蒸し、また練り続けます。この糊こそが、輪郭線を強く白く書き上げ、立体感の際立った染め物を生み出す源となります。

【2】布の精錬・下絵・糊置き
布の不純物を取り除く精錬と下絵写し作業です。下絵が終わると、糊置きにより輪郭線を描いていきます。輪郭線が決まると、そのまま数日間乾燥に入ります。

【3】豆汁(ごじる)を塗る・染付・色止め
最初に豆汁を塗り、その後、奈良墨に膠(にかわ)を加え、毛足の短い江戸刷毛で一気に染め上げます。その後も膠と豆汁の力を借り、最後の仕上げを行います。

【4】水洗い・干す
昔は、水洗いの工程を河原で行っていました。現在は作業場の水槽で行い、ここで輪郭をしっかり止めていた糊が初めて流され、迫力のある白線に縁どられた伝統の絵柄が浮かび上がります。細かい目をくばらせて水洗いした布は、日向でよく乾燥させます。

【5】仕上げから完成まで
武者のぼりは、染め上げた後に布地の周囲を補強し、片側にチ(乳)(※1)を付け、下にきらびやかな飾りをつけて完成です。

※1…のぼりとポールを繋いでいる袋状の部分。

鯉のぼりは、鯉の形に裁断された布を左右の形がずれないように縫合し、1匹の鯉に仕上げます。



伝統工芸品「本染甲州鯉のぼり」の制作風景
歴史 本染甲州武者のぼり・鯉のぼりの歴史は、井上染物店の初代、井上品兵衛が始めた藍染にまでさかのぼります。二代目文左衛門と三代目豊松が藍染をもとに「武者のぼり」「鯉のぼり」を取り入れ始めました。三代目豊松と四代目孫太郎の時代には、数十人の染職人を抱えるまでとなっていました。
この頃から井上染物店の武者のぼりは「甲州武者のぼり」と呼ぶようになり、その染めの技は優秀な染め職人の先頭に立った五代目豊、時代を感じさせない感性を持った六代目豊彦にまで伝承され、平成6年に「山梨県郷土伝統工芸品」の認定を受けました。
現在、七代目、展弘が先代たちが残した伝統の技術とものづくりに対する姿勢を大切にしながら、時代に合った商品作りに取り組んでいます。
現在、本染甲州武者のぼり・鯉のぼりは井上染物店でのみ作られています。

伝統工芸品「本染甲州鯉のぼり」の歴史
関連URL https://kousyu-koinobori.jp/

◆展示場所
井上染物店
〒400-0404
山梨県南アルプス市古市場460
TEL:055-282-1030
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日(節句時期を除く)