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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品神奈川県

神奈川県
工芸品の分類 漆器
工芸品名 鎌倉彫

主要製造地域:神奈川県




《特徴》
鎌倉彫とは、カツラやイチョウなどの木を用いて木地を成形し、文様を彫り、その上に漆を塗って仕上げた工芸品で、鎌倉市およびその周辺地域で作られたものをいいます。

鎌倉彫は木地づくりから始まって、彫りも漆塗りも、手間と暇をかける細かい作業の連続です。
物によって違いますが、30cm位のお盆で1か月から1.5か月位かかります。

日本的な草花の絵柄を中心に力強く大胆に彫刻し、柔らかさとあたたかみを出した漆塗りが特徴です。
技法としては刀痕や乾口(ひくち)とりが鎌倉彫独特のものです。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 伝統鎌倉彫事業協同組合 様

素材 カツラ・イチョウ
製法・工法 【ロクロ挽き】
木はおもに桂(かつら)が使われ、6ヶ月から1年間乾燥してから製品の用途にあわせて成形します。
丸いものはロクロ等をつかって加工します。

【たち込み】
形、大きさ、用途にあわせて図案をつけ、小刀で切り込みをいれます。
このたち込みの角度によって、図の遠近感、ボリュウムなどが表現できます。

【刀痕】
たち込んだ線の外側を、彫刻刀で落とし文様部分をうきあがらせ、各種の刀を使って肉付けし、文様以外の部分には刀痕をつけます。
刀の彫り跡をわざと残すのは鎌倉彫の特徴で、深い味わいを与えています。

【下地】
漆(うるし)の木から採取したそのままの樹液を生漆(きうるし)といい、この生漆を全面に塗りしみ込ませて、塗膜の基礎をつくります。
彫刻面には彫をいかすため蒔地をして徐々に肌をつくっていきます。
塗りと塗りのあいだには必ず研ぎという工程がはいります。

【蒔き下地】
彫刻面に生漆を同じ厚さに塗って、炭粉または砥の粉を蒔き付け、乾燥後研ぎます。
これにより、彫刻面の凸凹を十分に生かし、なめらかな塗り上がりにします。

【中塗り】
黒漆で中塗をおこないます。
彫りの際に漆が溜まらぬよう細心の注意をはらいます。
乾燥後砥石や研ぎ炭、サンドペーパーをつかって研ぎあげます。

【上塗り】
透明度の高い透漆に朱色の顔料を練り合わせた上塗り漆を塗ります。

【乾口とり マコモ蒔き】
上塗り漆の表面が落ち着き、漆が固まる寸前にマコモ、もしくは煤玉(すすだま)の粉を蒔きつけます。
乾燥後研ぎを行うと、彫刻部分に陰影ができ、全体に古色がかった落ち着いた色調となります。

【摺漆】
生漆を薄く全面に塗り付け綿布でよくふきとり磨きをかけます。
ほどよい艶に仕上るまで、2~3回くりかえします。
現代の鎌倉彫の代表的な塗り技法です。
歴史 鎌倉彫の起源は、江戸時代の文献に「鎌倉彫は、四條帝の御宇、運慶の孫康運の男康圓、陳和卿とともに法華堂の仏具を彫りたるを始とす」とあり、遠く鎌倉時代までさかのぼります。

鎌倉時代、中国から禅宗とともに伝来した堆朱や堆黒等の影響を受け、工夫を凝らしながら木彫り漆塗りの技法で仏具を作ったのが、鎌倉彫の始まりです。
室町時代には茶の湯の興隆とともに茶道具として大いに珍重されました。

これらの仏具や茶道具の制作に携わっていたのは仏師でした。
しかし、明治新政府の公布した神仏分離令は、廃仏毀釈の運動を引き起こし、寺院の衰退から仏師の仕事は激減しました。

この頃、鎌倉では、多くの仏師が転職を余儀なくされる中で、二人の仏師が活躍します。
一人は後藤齋宮、もうひとりは三橋鎌山でした。
二人は仏像彫刻の技術を生かしながら新しい活路を鎌倉彫に見出し、今日の発展の基礎を築きました。

また、明治政府は政策に富国強兵、殖産興業を掲げ、国内産業を大いに推奨しました。
明治十年代には内国勧業博覧会に連続して鎌倉彫を出展し、受賞の栄誉に輝いています。
関連URL http://www.kamakurabori.or.jp/

◆展示場所
鎌倉彫工芸館
 〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3丁目4番7号
 TEL : 0467-23-0154 / FAX : 0467-23-9816


◆イベント開催
鎌倉彫工芸館
 *講習会や体験教室を行っております*
 詳しくは
 「伝統鎌倉彫事業協同組合」ホームページ
 組合からのお知らせ内 講習会情報