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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品石川県

石川県
工芸品の分類 織物
工芸品名 能登上布

主要製造地域:石川県




《特徴》
能登上布とは、中能登一帯に神代の時代より伝わる伝統の麻織物で、質・量ともに日本屈指の本麻手織上布です。主要製造地域は、石川県の羽咋市となっています。

「蝉の羽」とも形容される、薄くて軽い盛夏の着物生地となり、麻の持つシャリ感とひんやりとした風合い、丈夫さが特徴です。
品質は堅牢で「能登上布の白絣は一生もの」と言われるほど優れています。
また、能登の風土に合った素朴な色合いと伝統の絣模様には、時代を超えて飽きのこない気品と美しさがあります。

元々は亀甲や十字、蚊絣で男物だけでしたが、現在では櫛押捺染(くしおしなっせん)や、ロール捺染など豊富な手法を取り入れて、亀甲絣、十文字絣、横惣、縮などが生産されています。
昭和に入り、紡績されたラミー糸を使用したことにより、更に丈夫で細やかな絣模様を生み出すことができるようになりました。限られた織り幅に、数多くの十文字の絣を織り出していく「絣合わせ」の正確な技術には比類がありません。
精緻さが必要な作業のため機械化が難しく、全て手仕事で仕上げられています。

櫛押し捺染やロール捺染といわれる能登独特の絣染め技法による精緻な経緯絣(たてよこがすり)の製造を代表とする工芸技術が、石川県指定無形文化財となっています。

[ 石川県指定無形文化財 ]
提供 : 山崎麻織物工房 様
参考 : 羽咋市 様(製法・工法)

素材
製法・工法 能登上布の製造工程は、
原糸の糸繰りから手織りの仕上げまでたくさんの複雑な工程からなります。

長い間継承されてきた熟練の職人技によって作り上げられた能登上布は、比類なき麻の芸術品となります。

1.糸繰
染色した糸をボビンに巻き取る。

2.経糸・緯糸整経
経糸・緯糸を必要な本数・長さ分「巻きぶし」に巻き取る

3.巻取り・染め
模様ごとに必要な経絣糸を必要な本数・長さ分を捺染板に巻き取る。
「櫛」に木綿を張り付けたものに占領を付け、糸に直接染料を擦り込むように染める。

4.機巻き
捺染が終わった糸を1本1本ばらし、巻く。

5.機織り
機巻きした経糸を1本1本綜絖の穴に交互に通してから織る。
歴史 古くから麻とのつながりが深く、崇神天皇の皇女がこの地に滞在した際に野生の真麻で糸を作り、地元の婦女子に機織りを教えたことが能登上布の起源であると言われています。
また、東大寺へ麻糸を納めたという記録も残っており、麻を扱う技術は遥か古(いにしえ)の時代から先人達により伝承されて来ました。

麻との関わりは古いのですが、「能登上布」という名称は近年になるまで存在せず、江戸時代の初め頃まで、この地で作られる良質の麻糸は近江上布の原糸として使用されていました。
その後独自で良質の織物を作ろうという気運が高まり、近江(滋賀県)より職工を招き、染織技術を学ぶことにより織の技術が格段に向上します。

こうして文政元年に初めて「能登」の文字を冠した「能登縮(ちぢみ)」が誕生します。その後もたゆまぬ技術向上の努力が続けられ、明治40年には皇太子殿下への献上品に選ばれるまでになります。

この頃から全国に能登の麻織物の上質さが認められ、「能登上布」という名称が定着しました。
「上布」は、麻織物の最高級品に贈られる称号です。能登上布は、能登の麻織物の長い歴史の中で先人たちの努力により培われた美の結晶といえるでしょう。

能登上布の保存・継承のため、平成8年には能登上布振興協議会により、能登上布会館が開設されました。
関連URL http://notojofu.com/

◆展示場所
山崎麻織物工房
 〒929-1571 石川県羽咋市下曽祢町ヲの部84番地
 TEL : 0767-26-0240
 見学ができますが、事前に連絡をお願いします。
 (見学可能時間 : 9:00~18:00 休日 : 日曜)