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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品石川県

石川県
工芸品の分類 漆器
工芸品名 輪島塗

主要製造地域:石川県




《特徴》
輪島塗と他産地とを識別する最大の特色は、下地に地の粉(珪藻土)が用いられていることです。これを焼成粉末にして下地塗りに用いますが、微細な孔を持つ珪藻殻の粒子に漆がよくしみこみ、化学的にも安定した吸収増量材になることと、断熱性に優れていることが重要な特色です。つまり漆とガラス質の微化石・鉱物による固く堅牢な塗膜によって柔らかいケヤキの木地が包まれ、くるい(変形)がなく熱に強い漆器の基礎ができあがるのです。輪島塗が堅牢無比といわれる理由はここにあります。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]

提供:輪島漆器商工業協同組合

素材 木・漆
製法・工法 工程1:漆
漆かき

工程2:木地
【曲物木地(まげものきじ)】
側面の板を円形または随円形等に曲げて作る木地(丸盆・茶櫃・湯筒・飯櫃など)
指物木地(さしものきじ)
角物木地ともいい、板の組合わせにより作る木地(御膳・硯箱・重箱・箸箱など)。
【朴木地(ほうきじ)】
曲線を持たせた花台の脚など、彫刻技術によって作る木地(盛器・花器・置物・座卓の脚など)。材料に朴の木を多用するためこの名前がつきました。
【椀木地(わんきじ)】
ロクロの回転を利用して、カンナで円形に内側、外側を削りだして(挽く)作る木地(椀・菓子鉢・茶托・丸盆など)。量産可能な技術です。

工程3:塗装工程
漆を塗ることを「きゅう漆(しつ)」ともいいます。生漆をおしみなく多量に使うことは、輪島塗の特色のひとつです。工程は原則として下地、中塗、上塗の順で行われます。きゅう漆の工程は20~37工程以上に及び、通常は半年から1年程かかります。

工程4:加飾
【呂色(ろいろ)】
水で濡らしたように、艶やかに漆器の面を磨きあげる技法が呂色工程で、磨き上げられた漆器の表面は深い色合いに輝きを増します。輪島では呂色業が独立しており、研ぎ出し艶上げのほか、乾漆塗、梨地(なしじ)塗など、さまざまな変わり塗の工程も行います。
【蒔絵(まきえ)】
蒔絵とは漆で絵を描いて、その漆が乾かないうちに金や銀の細かな粉を蒔き付けて、金色や銀色の絵を描く加飾技法のことで、平蒔絵、高蒔絵、研ぎ出し蒔絵等の種類があります。輪島では、文政年間会津の蒔絵師安吉がその技法を伝えたといわれています。
【沈金(ちんきん)】
沈金は漆塗の肌をノミ(沈金用の刀)で彫り、彫ったところへ金箔や金粉を入れて絵を描く技術で、輪島の大工五郎兵衛が創設したと伝えられています。ノミで彫るには下地が厚く丈夫な輪島塗が最も適しており、それゆえに発達した加飾技法です。長い伝統の中で沈金ノミの改良や、新技法の開発に創意工夫が重ねられ、日本を代表する優秀な沈金技術が確立しました。
歴史 輪島塗の起源にはさまざまな説がありますが、現存する最古の輪島塗は河井町にある「重蔵権現本殿の朱塗扉」で、室町時代の大永4(1524)年の作といわれています。漆器の技法そのものは縄文時代にまでさかのぼることができます。長い時間をかけ、幾世代にもわたって受け継がれてきた技。しかし、それはたんに伝統を守ることだけにとどまりません。創意を重ね、技を磨き、つねに進化と深化を続けてきたのです。たとえば、「輪島地の粉」の発見。これは珪藻土の一種を焼いて粉末にしたもので、漆に混ぜることで頑丈な下地がつくれるようになりました。弱くなりがちな所に布をかぶせる「布着せ」という手法も生みだされました。こうして、輪島塗ならではの「優美さと堅牢さ」を支える、本堅地法とよばれる工法が完成したのです。江戸時代に入り、享保年間には沈金の技術が確立。さらに文化文政の頃には蒔絵の技術が伝わり、「暮らしの中で使う道具であると同時に、ひとつの芸術でもある」という輪島塗ならではの価値が確立していきます。つねに、より美しいもの、よりよいもの、より優れたものを求める。その強い意志を持つ人々が価値を高め、磨きあげてきた輪島塗の歴史。時を超える価値は、時を超えて磨かれてきた技から生まれます。
関連URL http://www.wajimanuri.or.jp/

◆展示場所
輪島漆器会館
開館時間 AM8:30~PM5:00 年中無休
〒928-0001 石川県輪島市河井町24-55
TEL0768-22-2155 FAX0768-22-2894



石川県輪島漆芸美術館
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
〒928-0063 石川県輪島市水守町四十苅11番地
TEL 0768-22-9788 FAX 0768-22-9789