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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品宮崎県

宮崎県
工芸品の分類 その他工芸品
工芸品名 日向はまぐり碁石

主要製造地域:宮崎県




《特徴》
研磨された乳白色の小さな石は、手触りが優しく、まさ目の細かな縞模様と、微妙な丸みが美しい碁石です。温かみがあり、まるで宝石のような輝きがあります。
また、組織が硬くち密なため、丈夫で手あかがつきにくいという特性をもっています。
また、はまぐり碁石はその貝が自らもつ色素や砂中にある間に含まれた色素などにより、上から順に雪・月・花の3種類に分かれています。
さらに、それを厚みによって分けることで全部で50種類ほどになります。

雪印
特に厳選された碁石で、はまぐり碁石特有のきめ細かな縞目が通り、美しい乳白色をしています。

月印
風格は雪印と同じですが、縞目がやや大まかだったり、わずかに色がかかっていたりしています。

花印(実用品)
縞目がかなり大まかなものや、はまぐり貝特有の薄く赤茶色のついたものです。

[ 宮崎県指定伝統的工芸品 ]
提供 : 日向はまぐり碁石まつり実行委員会 様

素材 はまぐり貝殻
製法・工法 【1】 貝殻採取
貝殻の採取方法として、古い順にジョレン掘り、床掘り、モグリ、鉄管掘り、サンドポンプ船などがありますが、時代とともに進化しています。

【2】 くりぬき作業
貝殻をダイヤモンドドリルで直径約22ミリにくりぬく作業です。
粗取りとも言われたもので、碁石として最も適した部分をくりぬくには、かなりの熟練を必要とします。
1枚の貝殻から1~2個しか取れません。

【3】 厚み分け
くりぬかれた原料を15段階の厚み別に分類します。

【4】 面ずり
厚み分けされた原料を片面ずつ、一つ一つ研磨機で碁石の形に整えます。
この工程は、粗ずり、中ずり、仕上げの3段階に分けられていて、研磨の過程で品質を選別しながら、さらに次の研磨にかけます。
この研磨と選別を5~6回繰り返し徐々に形を整え、品質を最高のものに高めます。厚みを保ち、高級製品に仕上げるには、10~15年以上の熟練した技術が必要です。

【5】 手ずり
面ずりしたものを、厚みを出来る限り減らさずに、貝棒と砥石を使ってはまぐり碁石独特の微妙な丸みに仕上げていきます。
全工程の中で最高の技術と経験を要する重要な工程です。
この手ずりの技術によって、製品の優劣が決定するもので、最高級製品として仕上げるには、15年以上の経験が必要とされています。

【6】 さらし(漂白)
過酸化水素水に2昼夜浸し、天日で乾かします。
これを5~6回繰り返して、真っ白な碁石に仕上げていきます。

【7】 樽磨き
樽の中に4,000~5,000個の碁石と水、磨き粉を入れ、7~8時間回転させます。
これにより碁石と碁石が摩擦しあい、一段と光沢が出ます。

【8】 選別
厚みで分類した後、石の色彩、形、光沢、縞目模様、傷等を慎重に点検し、雪・月・花などに分類します。
これも豊富な経験を必要とします。
歴史 囲碁の歴史は古く、中国から伝わったものです。
碁石は以前、石や木で作られ、その後、宝石類が使われるようになりました。貝殻で製造されるようになったのは明治時代の初期のころで、三河(現在の愛知県の東部)の桑名のはまぐりが原料とされ、大阪で製造されていました。

その後、桑名のはまぐりが不足するようになったころ、大阪の碁石屋「石橋小七郎」は、富山の薬屋から日向の浜で変わったはまぐりの貝殻がたくさん打ち上げられていたことを聞き、早速、番頭の「森元次郎」を調査に向かわせました。

元次郎が日向に来てみると、確かに足の踏み場もないほどの貝殻があり、元次郎は小躍りして喜んだと言います。

元次郎は、拾い集めたはまぐりの貝殻を船を使って細島から大阪の石橋小七郎のもとへ送りました。
これが、日向のはまぐりが碁石の原料として使われだした始まりです。

◆イベント開催
日向はまぐり碁石まつり
 毎年10月末の日曜に開催されております。
 毎年日向市HPに掲載予定です。