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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品長崎県

長崎県
工芸品の分類 陶磁器
工芸品名 三川内焼

主要製造地域:長崎県




《特徴》
三川内焼の特徴は、唐子絵に代表される染付と透かし、起こし、貼り付け、彫刻などの細工、また陶土の可塑性の限界まで削って成形した薄手(卵殻手)等が挙げられます。

唐子絵とは松の木の下で無心に蝶とたわむれる中国の子供を描いた図柄のことで、「献上唐子」とも言われています。

描かれている人数によって使用する人が定められており、7人が朝廷と将軍家、5人が大名とその重臣、3人が一般武家となっておりました。

また、磁肌の白さを強調した白磁を使用していることも特徴です。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定)]
提供 : 三川内陶磁器工業協同組合 様

素材 天草陶石
製法・工法 【1】 砕石
三川内焼の陶石は、熊本県の天草で採取された高品質の天草陶石を使用します。原石をクラッシャーで叩き、スタンパーでさらに細かくします。一日じゅうつきつづけると、白い粉になります。

【2】 沈殿
水槽で荒い粒子を沈殿させて取り除き、フィルタープレスで絞ると、細かい陶石の粉だけが集まり、粘土となります。最後に真空ドレイン機で粘土から空気を抜きます。これが陶器を焼くための「陶土」です。

【3】 成形
器に「透かし彫」「手びねり」「貼り付け」といった技法もあります

【4】 乾燥
太陽のもとで乾燥された器の表面を削り仕上げをし、滑らかにします。

【5】 素焼き
器を窯に入れ素焼きします。900度、約8時間で適度な固さになり、この後の絵付作業が行いやすくなります。

【6】 下絵つけ、濃(だみ)
呉須(ごす)という絵の具を使い、下絵をつけます。線描きした絵に、呉須で濃淡をつけます(「濃(だみ)」)。呉須は黒っぽく見えますが、焼きあがると青く美しいコバルト色に変化します。ここでも熟練の技が光ります。

【7】 施釉(せゆう)
絵付が終わった器に釉薬をかけます。釉薬は、高温で焼き上げると、溶けてガラスのようになり、美しい光沢と強度をもった被膜となります。

【8】 本焼成(ほんしょうせい)
1,320℃、20時間かけて焼き上げます。焼きあがると、器が壊れないよう、ゆっくり時間をかけて冷まし、いよいよ窯だしです。

【9】 上絵(うわえ)つけ
本焼成の後、器の上から赤や黄色といった鮮やかな色を付けることもあります。上絵をつけた後は、上絵焼成といって、750℃の窯で7時間かけて色を定着させます。
歴史 豊臣秀吉によって起こされた朝鮮の役において、各地の大名達は秀吉に命じられ競って朝鮮の陶工を連れ帰りました。

26代平戸藩主松浦鎮信(しげのぶ)が慶長三年(1598)に連れ帰った陶工の一人古巨関(こせき)は藩主の命を受け平戸・中野で最初の窯入れをしました。これが三川内焼の始まりです。

南蛮交易以降、オランダ商館が長崎出島に移ったことで交易の利を失いましたが、この三川内焼の誕生、藩の奨励により、三川内皿山の御用窯が年と共に盛大になることにより、販路を海外に求めるようになります。
輸出用陶磁器の開発に努め、薄手のコーヒー茶碗等が開発されました。文化元年(1804)にはオランダや中国に輸出し、海外の王侯貴族に愛されたそうです。

明治維新を迎え、三川内皿山も遂に御用窯から民窯に転じざるをえなくなりましたが、豊島政治が再建に乗り出し、販路を拡張しました。
また明治三十二年(1899)三川内焼の伝承の技を守るために三川内山に意匠伝習所を創設しました。

三川内御用窯の優れた技術は伝習所の指導のもとに若い陶工たちによって受け継がれ、これに新しい意匠考案が加えられて、みごと今日の三川内焼に伝承されています。

◆展示場所
三川内陶磁器工業協同組合
 組合HPに、情報が掲載されておりますので、ご参照ください。