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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品岩手県

岩手県
工芸品の分類 漆器
工芸品名 浄法寺塗

主要製造地域:岩手県




《特徴》
木の幹につけた傷口からしみ出てくる乳白色の樹液。
それが麗しい光沢を放ち、堅牢な塗料になることを、日本人は9千年も昔から知っていました。
ウルシの木の樹液である「漆」。
「うるわし」を語源にするとも言われています。

漆黒の光沢を放つ漆芸品は、近世になると、西欧の人々までも魅了します。その流行は、「ジャパニング」と呼ばれる模倣品が作られるほどでした。

しかし漆の歴史を知るほどに分かるのは、漆と日本人の絆の深さです。
日本の風土に生まれ育つウルシは、日本の伝統文化の中でこそ「漆」としての魅力と特性が存分に生かされてきたと言えるでしょう。

漆の里、浄法寺―。
国産漆のうちの約7割を生産している浄法寺では、漆の文化を絶やしてはならないと、漆掻き職人たちがウルシの木を育て、塗師たちは国産漆にこだわった漆器を作り続けているのです。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 二戸市浄法寺総合支所 漆産業課 様、滴生舎 様

素材 ケヤキ・ホオ・トチ・ブナ・ヒバ
製法・工法 【1】 木固め
サンドペーパーでよく磨いた木地に漆をたっぷり浸み込ませます。
伸縮を防ぎ、防水性の高い丈夫な漆器を作るために大事な作業です。

【2】 下塗り
精製した漆にベンガラを混ぜた下塗り用の漆を塗ります。

【3】 研磨
塗った後に必ず耐水ペーパーや研ぎ炭を使って研磨します。
漆の密着が良くなり、強度も向上します。

【4】 中塗り
塗り重ねと研磨の作業を7回、8回と繰り返し、漆だけで厚みを作ります。

【5】 上塗り
最高品質の漆を自家精製し、ゴミをつけないように専用の上塗部屋で最後の塗りを行います。
歴史 森閑とした杉木立の下、濃い色の花を咲かせる紫陽花が迎えてくれる参道の石段。
地元の人々が「御山」と呼び親しんでいるみちのくの霊山・八葉山天台寺は、浄法寺塗の発祥の地と言われています。

寺伝によると、開山は奈良時代の神亀5年(728)。
聖武天皇の命を受けた僧行基が、桂の木を彫った観音様を祀り、八つの峰と八つの谷を有するこの地に「八葉山」の山号を冠しました。

「浄法寺塗」がいつ頃始まったかは定かではありませんが、天台寺には漆を使った寺宝がいくつか残されています。
たとえば、聖武天皇の宸筆と伝わる「天台寺」の勅額、吉凶を占う筮竹を入れた筒、金泥で「補陀洛場」(「観音様の住む山」という意味)の文字が刻まれた扁額など。
どれも艶やかで堅牢な黒漆が塗られています。

天台寺の僧たちは、自ら作っていた什器をやがて参拝者らに供するようになり、漆器とともに塗りの技術も庶民に広がったのでしょう。
それらの漆器は「御山御器」として、呼び名が今も残っています。地元で「御山御器」と言われるものは、飯椀・汁椀・皿の三ッ椀のこと。
その神聖な名とはかけ離れ、ふだん使いの器のことを指しています。
かつて天台寺の例大祭の日に、境内の露天で漆器が売られていたために「漆器=御山」として庶民の生活に浸透したからです。

藩政時代になると、南部盛岡藩の統制下、この地方に漆掻奉行が置かれ、漆は他領へ持ち出すことを禁じられました。
この時代を象徴するのが「箔椀」。金箔を施した雅やかな漆器で、藩主への献上品として作られたものです。

明治になると箔椀は廃れますが、「御山御器」をはじめとする庶民の漆器は、大正・昭和にかけて需要が高まり、国内はもとより海外にも販路が広がりました。

戦後、生活の変化により、浄法寺の漆器が途絶えそうになったこともありました。
しかし、それを乗り越えた今、「原料から製品まで」生み出せる地域は、浄法寺の他にありません。

[ 滴生舎のHPより引用 ]
関連URL https://urushi-joboji.com/life/tekiseisha

◆展示場所
滴生舎
 〒028-6941 岩手県二戸市浄法寺町御山中前田23-6
 TEL : 0195-38-2511 / FAX : 0195-38-2610