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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品鳥取県

鳥取県
工芸品の分類 和紙
工芸品名 因州和紙

主要製造地域:鳥取県




《特徴》
因州和紙の起こりは10世紀前半であるとされていますが、青谷町には次の2説が伝わっています。 
僧侶説
寛永5年、美濃の国(現在の岐阜県)から諸国巡錫をしていた旅の僧侶が因幡の国河原村(現在の青谷町河原)にやってきました。
しかし、旅の僧侶はこの地で病気になってしまい、旅を続ける事が出来なくなりました。
その時、村人が僧侶を手厚く看病したところ、病気はほどなく治りました。
村人達の心暖まる手当てに感激した僧侶は、お礼として和紙の製法を伝授してこの地を去っていきました。

美濃の弥助説
寛永10(1633)年、諸国流浪の旅に出た美濃の国生れの浪人、弥助は因幡の国河原村にやってきました。
しかし、僧侶説の僧侶同様、弥助はこの地で病気になってしまい、旅を続ける事が出来なくなりました。
その時、河原村の鈴木弥平が弥助を自宅につれていき手厚く看護したところ病気はほどなく治りました。
弥助はお礼にと当時ご法度であった美濃の国の紙漉きの技法を弥平に教えて、再び旅に出たといいます。
この弥助の世話をした鈴木家は代々「美濃屋」と称し、また、弥助を供養する石碑「因幡紙元祖碑」が建てられているそうです。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 鳥取県因州和紙協同組合 様

素材 コウゾ・ミツマタ・ガンピ
製法・工法 【1】 原料
三椏(みつまた)、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)の原料を水につけ柔らかくします。
次にこの表面についている黒い皮を包丁で撫でるように取り除きます。

【2】 煮る
再び原料を水につけ、繊維を柔らかくしたら、竹、ワラ、麻などを加え、さらにアルカリ性の薬を入れ釜で蒸し煮します。

【3】 水洗い、さらし 煮た原料を清流に浸して粗洗いし、繊維質でない部分と残っている薬品を取り除きます。
そして、漂白後さらに水洗いし、ゴミやキズのある所を手で丁寧に取り除きます。

【4】 たたく 原料の繊維をたたいて、ほぐし、繊維を必要な長さ、大きさに揃えます。
色のついている紙を作る場合は、この時に染料を加え、温めながら希望の色に染めます。

【5】 紙漉き(かみすき)  紙に質に応じて、各種の原料を混ぜ合わせ、紙を漉く元になる液を作ります。
この液に「トロロアオイ」の根から取り出した粘液を加えます。
こうしてできた液を「スゲタ」で汲み、紙全体の厚さが均一になるよう、揺り動かしながら、繊維をからめていきます。
この動作を希望の厚さの紙ができるまで何回も繰り返します。

【6】 脱水
こうしてできた紙を「湿紙(しっし)」と呼びます。
この湿紙を数百枚積み重ねた紙床を圧縮機にかけ=花見月」て、充分に水分を取り除きます。

【7】 乾燥
脱水された紙床から湿紙を1枚ずつていねいにはがし、しわを作らないよう、ハケを使って乾燥機に貼り付け乾かします。

【8】 裁断
乾かした紙は、穴があいている紙、ごみのついている紙など、不良な紙を検査しながら取り除き、決まった枚数にそろえていきます。
そして、画仙紙、半紙など紙の種類に応じて、それぞれの寸法に裁断します。
歴史 史実として記録されている因州和紙は今から約1070年ほど前「延喜式」という書物に朝廷へ紙麻70斤が献上されたという記述が最初です。
その後、紙質を決める清流と豊富な自然が生み出す原料に恵まれた事から因幡の紙の里として年々栄えていきました。

慶長時代には時の領主亀井滋矩(かめいこれのり)の御朱印貿易により海外へ輸出され江戸時代には鳥取藩の御用紙として更に発展していきました。

◆展示場所
鳥取県因州和紙協同組合
 〒689-0501 鳥取県鳥取市青谷町青谷4063-11
 TEL : 0857-85-0408 / FAX : 0857-85-2500