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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品広島県

広島県
工芸品の分類 その他工芸品
工芸品名 福山琴

主要製造地域:広島県




《特徴》
[彫]
琴の甲の裏面に施す極めて精緻な装飾模様の彫りは、音響効果と装飾効果の上で大きな役割を果たしています。
種類としては、超高級品の麻型彫りをはじめとして、子持綾杉彫り・綾杉彫り・簾れ目彫りがあります。
 
[蒔絵]
琴の装飾部分で重要な役割を果たすのが蒔絵です。
蒔絵は、漆で文様を描き、あるいは地塗りを施し、金・銀・スズ粉等を蒔きつけたもので、漆を使う技法の中でも最も美術的で世界が認める日本独特の工芸です。
琴では竜舌や磯の部分にこの蒔絵が使われ、琴に華麗で繊細な美を与えています。

[甲]
琴の等級を決める上で一番重要な基準が甲の木目の複雑さです。
複雑な木目が現れている琴が高級品とみなされ、音色も良いとされています。
また木目の浮き出し具合、焼きの色具合や艶も美しい甲の条件です。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 福山邦楽器製造業協同組合 様

素材 キリ
製法・工法 原木の桐選びからはじまる琴の製作工程は桐材の乾燥までに約一年。
その後、甲の刳り・彫り・焼き・磨きへと続き、装飾工程の飾り付け・蒔絵、そして仕上げの金具付け・調整となります。

この工程の殆どが熟練した琴職人の手作業で丹念に仕上げられます。
気の遠くなるような時間と確かな技術、そして何よりも琴に対する深い愛情が日本一の福山琴を生み、琴を育てるのです。

原木選び・吟味→墨かけ→甲挽き・板挽き→乾燥工程→甲造工程→刳り→彫り→板付(裏板)→焼き→磨き→装飾工程→飾り付け(四分六)→飾り付け(柏葉)→飾り付け(竜角)→蒔絵→飾り付け(口前)→飾り付け(丸型竜脚)→仕上げ工程→金具取付け→調整(検査)→完成
歴史 福山琴の歴史は、元和5年(1619)水野勝成(徳川家康のいとこ)が福山に城を築いたころに始まると言われています。
江戸時代の城下町では、武士や町人の子女の芸事が盛んであり、備後十万石の城下町福山でも水野・松平・阿部と続いた歴代藩主の奨励もあって歌謡、音曲が盛んに行われました。

江戸の終り、文化年間には京都で箏曲を伝授された、琴の名手葛原勾当が帰郷して備後・備中で活躍しました。
その影響もあり福山を中心として、早くから琴が生産される土壌が出来たと言われています。
また、「春の海」で有名な箏曲家、宮城道雄の父菅国治郎は福山・鞆の浦の人で、先祖代々の墓は鞆の南禅坊と円福寺にあります。

そうしたことから「春の海」の舞台は宮城道雄が少年の頃よく訪れた、鞆の浦であると言われるようになりました。全国生産量の70%を占め、楽器として初めて伝統的工芸品に指定された福山琴は、瀬戸の丁度真ん中に位置する、風光明媚な城下町、福山で生まれます。

◆イベント開催
琴まつり
 大勢の市民の方々に和楽器(琴)に親しんでいただくと共に、地元小・中学生に琴演奏発表の場を提供し、生徒、児童の健全な育成と併せて、琴演奏技術の向上を図り、楽しんでいただくために平成6年より開催。

全国小・中学生箏曲コンクール
 小・中学生の情操教育と琴演奏技術の向上を図るため、北海道から九州まで、190校に930面の琴を無料で貸し出すとともに、毎年コンクールを開催しています。

琴供養
 毎年邦楽の日(6月6日)に、長年演奏会や練習の使用に耐えてきた琴の供養を福山市鞆の浦で開催。鞆の浦は「宮城道雄」ゆかりの地でもある。