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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


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総数:400件

伝統工芸品福島県

福島県
工芸品の分類 織物
工芸品名 奥会津昭和からむし織

主要製造地域:福島県




《特徴》
からむしは、イラクサ科の多年草で、苧麻(ちょま)とも言われます。繊維を青苧(あおそ)と呼んでいます。麻をはるかに超えるといわれるからむし織の品質は、吸湿性、速乾性に富んだ肌触りの良さを持ち、夏衣としては最高級の品質と評価されています。

からむしを原料とする上布の生産地では、越後(越後上布・小千谷縮布)や宮古(宮古上布)、石垣(八重山上布)などがあり、昭和村は最高品質の上布原料の産地となっています。

[国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定)]
提供:福島県 昭和村 様

素材 からむし
製法・工法 【1】植付
からむしは、雪がとけ5月中旬頃からむしの根を植えますが、 1年目は雑草を取り除く程度で、2年目以降にからむし焼をおこない、3年目から収穫ができるようになります。

【2】からむし焼き
からむし焼きは、旧暦4月の中の日(5月21日の小満の日)を目安に行っています。これは、からむしの発芽がばらばらなので、先に出た芽を焼くとともに根に刺激を与えて一斉に発芽させるために行います。また、害虫の駆除や焼いた灰を肥料にする意味もあります。

【3】垣結い
からむし焼き・施肥を終えた後、からむし畑の周囲に杭を立て、棒ガヤ(カヤ)で垣を作ります。 これは風で倒れたり、擦れ合うのを防ぐためと、獣の侵入を防ぐために行われます。 こうして囲われたからむしは静かに成長していきます。

【4】収穫
からむしの刈り取り時期は、7月20日前後からお盆までに行います。この時期に収穫すると、品質の良い繊維がとれるのです。刈り取りは1本ずつカマを使ってていねいに行います。茎から葉を落とし、尺棒と言われる定規で一定の長さに切り揃えます。 からむしの成長具合によって品質を分けて束ねられます。

【5】浸水
刈り取り選別したからむしは、皮を剥ぎやすくするため、数時間から一晩ほど清水に浸します。

【6】からむし剥ぎ
清水に浸したからむしは、1本ずつていねいに、皮を2枚になるように剥ぎます。 剥いだ皮はひと握りくらいに束ねて、また清水に浸します。清水に浸すのは、皮を乾燥させないためとからむしから出る青水(青汁)を流すためです。

【7】からむし引き
苧引き具で剥いだ皮の外皮を除き、繊維を取り出します。取り出したばかりのからむしは真珠のような光沢(キラ)があります。取り出した繊維は、2日程度陰干しして乾かします。

【8】乾燥
屋内で干されたからむしは、昔の単位である100匁(約375g)にまとめます。出荷用の形に束ねられたからむしは、日にあてないよう保管します。

【9】苧績み(おうみ)
からむし引きによって取り出された繊維を細かく裂き、糸をつないでいきます。1本1本指で裂いてつなぐので根気のいる作業となります。 帯1本分の苧積みには2ヶ月程かかります。

【10】撚りかけ
苧桶(おぼけ)と呼ばれる丸ワッパにためられた糸を静かに取り出して湿らせ、糸車でよりをかけ、丈夫な糸に仕上げます。

【11】機織り
作った糸は、昔ながらの機織り作業(地機による手織り)により、反物に仕上げられます。 肌に付着しない夏衣として気持ちよく、一度着用すれば他の織物を着ることができなくなると言われています。
現在では、着尺、帯、小物等がからむし織で生産されています。
伝統工芸品「奥会津昭和からむし織」の製作工程
歴史 からむし布は、からむしの植物の繊維を素材とした古代からの織物で、我が国最古の織物とも呼ばれ、かつては日本各地で織られ献上布として納められた貴重な布でした。

昭和村は上布用高品質からむしの栽培地で、途切れることなくからむし栽培技術を継承してきました。昭和50年にからむし織の製品開発が始まり、平成6年からは「からむし織体験生」の募集をしています。からむしの栽培から織りまでの一連の工程を手作業で体験してもらう取り組みにより、先人たちの想いと伝統技術を受け継いでいます。
関連URL https://www.vill.showa.fukushima.jp/introduction/365/

◆展示場所
からむし工芸博物館
〒968-0215
福島県大沼郡昭和村佐倉上ノ原1(道の駅からむし織の里しょうわ構内)
TEL:0241-58-1677


◆イベント開催
道の駅 からむし織の里しょうわ
からむしのコースター織体験・ワークショップに参加できます。(要予約)
〒968-0215
福島県大沼郡昭和村佐倉上ノ原1
TEL:0241-58-1655
FAX:0241-58-1680