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NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。
伝統工芸館 カテゴリ

総数:400件


都道府県

総数:400件

伝統工芸品熊本県

熊本県
工芸品の分類 陶磁器
工芸品名 天草陶磁器

主要製造地域:熊本県




《特徴》
天草陶磁器は熊本県天草地方で焼かれる陶磁器類の総称で、国の伝統的工芸品に指定された際に、新たに名付けられることになった呼び名です。内田皿山(うちださらやま)焼、高浜焼、水の平(みずのだいら)焼、丸尾焼の四つが主な産地です。

磁器は、純度が高くて良質な天草陶石を使い、透明感のある純白や、木灰釉によるあたたかみのある風合いの作品が特徴です。
また、陶器は、性質の異なる釉薬の2重掛けの技法を用いたなまこ釉や、黒釉を使った個性的な作品が多く作られています。

《内田皿山焼》
天草陶石を原料として、白磁の食器類を中心に作られています。 絵付けは、呉須染付(ごすそめつけ:素地は厚ぼったく灰白色で、奔放な絵模様が特徴)の荒磯くずし、雲竜文などがあります。

《高浜焼》
天草西海岸に産出される純度の高い陶石を使用した磁器です。白磁の食器類を中心に作られており、透き通るような白さは、他に類をみません。

《水の平焼》
もともと釉薬のない焼物でしたが、やがて釉薬がつくられ、研究を重ねながら、水の平焼の特色であるなまこ釉が誕生しました。 なまこ釉は、下釉に鉄釉を使い、ワラ灰等の上釉をかけて焼くと、上釉と下釉が溶け合って、独特の絵模様となります。  

《丸尾焼》
丸尾ヶ丘周辺の粘土質の赤土と天草陶石を使い、窯変流し釉(ようへんながしゆう:人の手によらず、窯の炎によって変化する釉薬のこと)を基調とした素朴な荒削りの作品です。食器類を中心に作られています。

[ 国指定伝統的工芸品(経済産業大臣指定) ]
提供 : 天草陶磁振興協議会 様

素材 天草陶石、陶土、粘土など
製法・工法 【内田皿山焼 製法】
陶石を採掘し粉砕します。攪拌した後に水簸(すいひ:比重の小さい部分を洗い流し、底に沈んだ重い部分を取出す)を行い、土練します。
手ロクロまたは足けりロクロで成形、もしくは鋳込成形(石膏の鋳型を使った成形)を行います。乾燥させた後に素焼を行い、一部染付けます。その後釉かけをして、本焼します。

【高浜焼 製法】
原料粉砕し、原石と水とを攪拌し、水簸します。脱水した後、土練を行い、粘土から空気をとります。ロクロや石膏型などを使用し、成形します。自然乾燥させた後に900度程度で素焼を行います。下絵付した後、施釉し本焼します。

【水の平焼 製法】
原土を採掘し、撹拌機でまぜて水簸を行って脱水した後、土練機や人の手で練ります。
ロクロや石膏型等で成形し、半乾きの時、カンナで削って仕上げます。700℃~800℃で素焼し、施釉した後に高温で本焼します。

【九尾焼 製法】
原料を粉砕し、攪拌、水簸します。脱水した後に土練りを行い、蹴ロクロなどで成形します。
半乾きの時、竹ベラなどで模様をつけて仕上げます。しっかり乾燥させた後、素焼して施釉し、本焼します。
歴史 天草は、天領(幕府の直轄地)であったため、藩の御用窯的なものはなく、村ごとに庄屋がいて、それぞれ各村で陶石を売ったり焼物を焼いたりして、振興をはかっていました。

天草陶石は、元禄の頃から砥石として売り出されていましたが、正徳2年ころから磁器原料として、佐賀・長崎方面に供給され、やがて全国へ広まっていきました。
天草島内では、延宝4年には、内田皿山で磁器が焼かれていることが古文書からわかっています。また、宝暦12年には、高浜村の庄屋上田家も肥前の陶工を呼んで磁器を焼き始めていることが記録に残されています。
一方、陶器は明和2年に本渡村水の平において岡部家が焼きはじめ、さらに江戸後期にいたり、金澤家が陶器窯を始めました。

天草陶磁器は、200年以上にわたり絶えることなく焼き続けているところもあり、高い伝統性と近代の若い感性をまじえた、豊かで個性的あふれる作品が多いです。

◆展示場所
詳しいお問合せは…
天草陶磁振興協議会
 〒863-2505 熊本県天草郡苓北町内田554-1 (有)木山陶石鉱業所 内
 TEL : 0969-35-0222 / FAX : 0969-35-0358